ビル一棟をプロデュース。洋風おでん・ボリートが人気
【東京・銀座】銀座ロビー
地下鉄銀座一丁目駅を出て中央通りから東へ1本入った裏通り。7階建てのビル一棟を利用したレストランとして人気を集める「銀座ロビー」がある。
客層は20~50代で、女性客が全体の7割を占める。幅広い年代の集客を実現している理由の1つに店舗の多層構造がある。1階がスタンディングのワインバー「gindachi」、2階が調理場で3~7階が個室・ソファ席などを多彩に備えたダイニング「銀座ロビー」、そして地下1階は全国の珍味を肴に酒を楽しめるカウンターバー「shiokara」となっており、それぞれメニューも異なる。
「当初は個室ダイニングだった1階を、通りに開けたスタンディングバーに変えてから認知度・集客力が高まりました」と語るのは店長の川端章浩氏。その1階バー「gindachi」でオープン当初から提供している人気メニューが、イタリアおでんといわれる「ボリートミスト」(1000円)だ。ビーフとポーク、それぞれの盛り合わせは年間を通して5割以上の客が注文し、寒い季節はさらに人気が高まる。「肉と野菜の形を崩さずに煮込んでいるのは、一皿のボリューム感を出したかったのと、複数のお客様が来店された時、取り分けやすいようにと考えたため。気軽なスタンディングバーですが、銀座という立地と客層を考慮して取り入れたメニューです」と川端氏。盛り合わせ以外にも、具材ごとのオーダーが可能で「あらびきソーセージ」(580円)が1番人気だ。
そして、季節ごとに和洋折衷の料理が楽しむことができる「銀座ロビー」では、冬の献立として「聖護院大根の関東煮」(780円)や「海老芋の唐揚げ」(830円)など、京都の食材を意識した冬季限定メニューが並ぶ。なかでも人気が高いのが「京鴨鍋」(1800円)。「京都の山城農産だけで生産されている『京鴨』というブランド合鴨を使っています。合鴨特有の臭みがなく、肉質の弾力も他種とは段違いです。時間をかけて煮込むというより、しゃぶしゃぶのように赤身が残るレアな状態で食べると、さらに味わい深い肉の旨みを感じていただけると思います」(川端氏)。
また、「焼雲丹のグラタン」(1,260円)も冬になるとオーダー数がアップする名物メニュー。「寿司のイメージが強いせいか、関東ではウニを焼いて食べる習慣があまりないのでチャンスだと感じていました。そこで焼ウニを使って銀座らしい洋食メニューを提供できないかと開発したのが、このグラタンです。焼ウニがお客様の関心を引くと考えていたので、現在の評判も狙い通りの結果です。レシピは最初からまったく変えていません」(川端氏)。こちらは女性のリピーターが多く、宴席の途中でオーダーが入る場合が大半だという。
フロアごとに異なるメニューと雰囲気を持つ同店。気軽に飲みたいなら「gindachi」、食事をじっくり楽しめる「銀座ロビー」、隠れ家的な珍味バー「shiokara」と、幅広い客層に対応する間口の広さと、寒い季節にぴったりの温かいメニューが連日の盛況を生んでいる。