改装資金を毎月貯め続けよう - 繁盛の黄金律 -

2018/10/26

神山 泉の繁盛の黄金律

Vol.86
今回の黄金律
改装資金を毎月貯め続けよう

変化し続けないと、店は見棄てられる

 開店当初はそこそこの繁盛をして、利益がしっかり出ていた店も、時が経つにつれて来店客が次第に減っていって、いつの間にか売上も利益もさっぱり、というお決まりのコースをたどるものです。料理の質を落としているわけでもないし、法外な値上げをしたわけでもない。無愛想なサービスでお客様から見離されたわけでもない。開店当初と変わらぬ営業を続けているのに、確実にお客様の数が減っていくのです。

 でもその「変わらぬ営業」というやつが、客数の持続的減少の元凶(げんきょう)なのですね。基本の核は「変わらぬ」であっても、どんどん変わり続けなければいけません。お客様はいつも心の中で変化を求めています。特に変わり続けなければならないのは、「商品」と「店舗」です。

 「商品」について言いますと、主力商品は不変で、軸足がしっかりと地に着いていなければなりません。しかし、その素材の質、料理方法、提供方法は常に変わっていくことが必要です。基本は、「質は上がったが、味は変わらない」です。これを実践し続けなければなりません。それが「磨き込み」というものの本質です。そして、その主力商品の周辺に、バリエーション商品を絶えず打ち込み続けることです。実験商品、季節商品を配置するのです。もっとも得意とする領域で、変化球を投げ込み続けることです。これが、主力商品をよりいっそう光らせることになります。もちろん、光り続けるためには、先ほど言った、主力商品の磨き込みをやり続けなければなりません。

 まったく違う領域で、新商品を出すのではありません。得意分野で出す。それで変化を持続させる。そうすることによって、お店は変化をし続けながら、“専門店”の地位を高めていくことになります。

改装計画を立てることで、経営者の眼が養われる

 次に、「店舗」です。どんなに初期投資をして、いい店を作っても、経年劣化は避けられません。毎日毎日、少しずつ古びていきます。どんなに清掃を徹底しても、店は老いていくものなのです。個店とチェーングループの最大の違いはここにある、ともいえます。チェーングループは、絶えざる改装を行いながら、5年に1回は大改装を断行します。場合によっては、商売の中身をすっかり変えてしまうこともやります。そうしながら、チェーンとしての寿命を延ばすようにします。それができるだけの利益を上げている、という言い方もできますね。

 個人店の寿命が短い最大の理由は、ここにあります。追加投資ができず、店のリフレッシュができないのです。主人は毎日店に居続けているために、経年劣化に気づきにくくなっていますが、たまに来店するお客様は、かならず「老(ふ)けたな~」と思っているのです。そして次第に、お店から足が遠のいていきます。これを防ぐためには、定期的な改装を行うしかないわけですが、問題はお金です。いざやろうとしても、改装資金が手元にない、という問題に直面します。これを解決する方法は、毎月定期的に改装のための貯金をするしかありません。別の言い方をすれば、その貯金ができないくらいの利益しか出ていない店は、やってはいけない、ということです。

 5年間の短期勝負というのならば、話は別です。5年間フル稼働して、小金を貯めて、計画的に撤退、というやり方がないわけではありません。しかし、そういう経営者とは、私は個人的には深いお付き合いはしたくありません。地域にしっかり根付いて、地元のお客様に愛され、息の長い商売を目指す経営者を私は支持します。息の長い商売をするためには、定期的な改装が絶対必要なんだ、ということを、肝に銘じておかなければなりません。ですから、改装は開店したときから、スケジュール化されている必要があります。3年目に、5年目に、どういう改装を行うのか。そのためにいくらの貯金が必要か。それが工程表になっていることです。

 そうなると、月々の貯金額も明確になりますし、それが明確化することで、商売そのものを場当たり的な営業から脱却させることができるのです。計画経営のベースが築かれることになります。改装というと、看板やイス、テーブルを変えたり、壁紙を張り替えたり、ということに注意が向きがちですが、それだけにとどまってはいけません。開店して営業を続けていると、キッチンスペース、キッチン内の機器の配置、客席構成などで、問題点が次から次へと出てきます。それらを改善すれば、より少ない人数でよりレベルの高いメニューをクイックに提供できる、というメリットも浮かび上がってきます。また、不用な機器がある一方で、絶対に必要な機器も出てきます。つまり、次期改装の課題が次から次へと現出してくるのです。

 もちろん、資金には限りがありますから、それをいっぺんにやりきることはできません。当然、優先順位が付けられます。こうして、日々の営業の中で、改善ポイントを一つひとつピックアップし、書き記していくことで、経営に対する姿勢が変わっていきます。長いモノサシで経営を見る眼が養われていきます。つまり経営者として成長していくことにほかなりません。ひと皮むける、ということですね。それこそが、大事なのです。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
株式会社エフビー 代表取締役
神山 泉
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

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