できるスタッフがグングン育つ!3ステップ人材育成法 - 特集 -

2012/02/14

できるスタッフがグングン育つ!3ステップ人材育成法

アルバイトが一気に入れ替わる春は、お店にとっては頭の痛い季節。だが発想を転換すれば、新たにできるスタッフを育て、店舗力を高める絶好のチャンスとも言える。アルバイトスタッフに責任感を持たせ、信頼し得る戦力になってもらうには、何が必要なのか?まずは人材育成の達人であるコンサルタントにその基本を伺った。

STEP1 店側の準備を整える
株式会社アンドワークス  代表取締役社長 加藤雅彦 氏
株式会社アンドワークス
代表取締役社長

加藤雅彦
1971年生まれ。中央学院大学卒。株式会社グローバルダイニング勤務を経て、2002 年、飲食店コンサルティング会社・株式会社アンドワークスを設立。現場経験を活かした「人の心」を育てる指導に定評があり、全国の飲食店を相手に意識・組織改革に取り組む。主な著書に「飲食店完全バイブル・接客の法則50」(日経BP社)などがある。
ウェルカムの姿勢

新人の能力を引き出すには初日の印象が何より大切!

 新人アルバイトさんを「仕事のできるスタッフ」に育てられるかどうか。その成否は初日にかかっています。 大切なのは、お店側の受け入れ体制をしっかり整えておくこと。初めて職場に出勤する日は、誰でも緊張するものです。そこですかさず、「私たちは新しい仲間を歓迎しています!」というウェルカムのメッセージを発信する。まず、求められているという安心感を抱いてもらうことで、仕事へのモチベーションも高まり、いろいろな事柄をのびのび吸収する素地が作られます。問題はお店側のウェルカム姿勢をどう表現するかです。

 まず注意すべきは、「今日から新しいスタッフが入る」という情報を、店長やチーフクラスだけでなく、店舗全体で共有することでしょう。その人が出勤したら誰のところに行けばいいのか、前もってきちんと決めておく。よく、新人アルバイトが「あの人に聞いてみて」とたらい回しにされるパターンがありますが、それでは最初から不信感を与えてしまいますし、「ここの仕事はいい加減でOK」という悪い刷り込みにもなりかねません。

 そして、歓迎の気持ちを示すため、あらかじめ準備しておくべきものもチェックします。きちんと名前が書いてあるネームプレートや、清潔でサイズのあったユニフォーム、タイムカード、ロッカー、着替えの場所。これらをそろえておくだけで、スタートラインがまったく違ってきます。また、話をする際にこちらからメモ帳を渡してあげるのもいいでしょう。親切な印象を与えるのに加え、店側の真剣さをさりげなく伝える効果もあります。

ハウスルールを作る

最も基本的な「約束事」を新人・ベテランの間で共有

 学校や職場ではそれぞれ校則、社則が定められているように、本来は飲食店も従業員が働くうえで最低限守るべき指針を作っておくべきです。

 例えば、「礼儀・挨拶」「掃除の心得」など、サービス業の基本的な心構えから、「ユニフォームの着方」「ヘアスタイルや髪の長さ・爪」のような身だしなみ、「労働時間の設定」「ミーティングのルール」「まかない」「備品・食材の取り扱い」などの決まりごとまで。1つひとつは当たり前のことですが、これらをわかりやすく箇条書きにしておけば、何かあった場合にはスタッフはすぐ原則へと立ち返ることができます。とりわけ、右も左もわからない新人にとって、基本方針が示されている効果は小さくありません。

 私自身、コンサルティング業務の中でこの種の「ハウスルール」が新人育成に役立っている場面を何度も見てきました。重要なのはシンプルなものを目指すこと。すべての心得を盛り込もうとすると、膨大なマニュアルが出来上がってしまい、結局、読まれずに終わってしまうものです。また、規則で縛りすぎるとスタッフのヤル気を削ぐ結果にもなりがちです。

 必ず入れるべき要素は、(1)経営理念に関わる「この店で働く目的」、(2)職場における「具体的な心がけ」、(3)お客様の前での「身だしなみ」、(4)業務上の禁止事項、の4つ。それぞれについて10項目前後にまとめるのがコツです。ベテランから新人アルバイトまで、本当に大切な考え方を店全体で共有できるのが、ハウスルールの大きな利点。下は、弊社が経営している焼肉店「牛の蔵」の、ハウスルール「ホールスタッフの心がけ」11カ条です。どの項目もいわゆるスキルではなく、あくまで「意識」レベルでの約束事なのがおわかりいただけると思います。
「牛の蔵」ホールスタッフの心がけ11カ条

オリエンテーションを実施

時間と手間を惜しまないで最初に向き合うことが重要

 スタッフをうまく育てられない店舗の共通点。その1つに、言葉は悪いですが、アルバイトさんを「消耗品」と見なしていることが挙げられます。

 よく見られるのが、出勤初日から何の説明もなく、すぐに仕事を振ってしまうというパターン。「わからないところは遠慮なく聞いてね」が決まり文句ですが、初出勤の人からすれば「何がわからないのかすら、わからない」というのが正直な気持ちでしょう。その状態で怒られると、お店側とのマインドギャップがどんどん広がり、文字どおり悪循環です。

 それを避けるためにも、最初の段階できちんと「オリエンテーション」を行なうことが重要。仕事内容を説明することで、新人の不安感も取り除けますし、「一緒に頑張ろう」というお店側の思いを伝える絶好のチャンスにもなります。

 では、具体的にはどんなプログラムを用意すべきか? 重要なのは全体を2つに分けて考えることです。まずはうえで紹介した「ハウスルール」の説明。ここでは店の基本姿勢、何に重きを置いているかなど、スタッフが共有すべき目標を必ず伝えます。その上で日々の業務に必要な「オペレーションルール」の説明を行ないましょう。ホールやキッチンにおける仕事の流れを頭に入れてもらえれば、洗い物やバッシングなど、単純作業を任されても身の入り方が違ってきます。

 理想を言えば、初日と2日目に1時間ずつ。仕事に慣れてきた半月後くらいにもう2時間。最後に確認の意味も込めて、1カ月後に1~2時間。計5~6時間は費やしたいところです。教育係を務める店長やチーフにとって時間の捻出は大変かもしれませんが、最初に一人ひとりときちんと向き合っておけば、アルバイトの定着率や意識は驚くほど向上します。

DATACHECK
Q1 スタッフ募集を行なうのは1年でいつが多いですか?
やはり、学生アルバイトの入れ替わり時期である1~3月が最多。10~12月は繁忙期を前にしたスタッフ増員の意味があるようだ。さらに、恒常的にスタッフ不足の飲食店が多いことも見て取れる。
Q2 スタッフを採用する際、何を重視しますか?
経験やスキルよりも人柄を重視する人が圧倒的。欲しい曜日・時間に入れることも大事な要素のようだ。
Q3 スタッフの求人や教育について、どの程度問題を感じていますか?
スタッフの求人や教育について問題を感じている人は、実に50%以上。人材育成は、やはり飲食店にとって大きな問題であることがわかる。

データはすべて2012年1月ぐるなび調べ(n=回答者数)

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