2017/05/16 特集

「現場」を見ることが繁盛への直観を養う! 繁盛店視察 虎の巻(3ページ目)

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誰と一緒に行く? 他2点

誰と一緒に行く?店の主要な利用シーンに合わせたメンバーで

視察に行くときのメンバーは、「できるだけ、視察店の主要な利用シーンに合わせること」と二杉氏は提案する。例えば、ファミリー向けの店なら、家族連れで、またはそれに近い人員構成で行くのがベターだ。女性は男性とは違う目線で店を評価するし、若者とシニアの着眼点も同様。また、子供のメニュー選択には、大人には思いもよらない理由があるものだ。それを感じた時は、その場で聞けばストレートな答えが返ってくるだろうから、新たな発想のヒントになる可能性が高い。

「複数の視点で、どの立場の人が何をどう評価するのか」を知ることは、視察の成果をより豊かにしてくれるだろう。これも視察をルーチン化して経験を積み重ねるからこそ。

ただし、1人客が主なターゲットの店なら、視察も1人がベスト。こうした店を4~5人で視察すると、「大皿メニューがなく不便」などといった評価をしかねない。この場合は、あくまで「1人客の気持ちになって、店を見る」ことが視察のポイントとなる。

ファミリー狙いの店なら、できればファミリーで来店

性別や年齢が変われば、あらゆることへの視点が変わる。視察メンバーは、可能な範囲で客層に合わせるのが基本だ

店でのチェックポイントは?まずは第一印象を意識! 客の表情にも注目しよう

例えば、新しい発想のヒントを得るため、高価格帯の店を視察するときは、その店の付加価値が何かに注目する。逆に、低価格帯の店では、何を“犠牲”にして安さを生み出しているのか、それを来店客がどう受け止めているのかがチェックポイントだ。看板メニューが行列を呼んでいる店なら、その料理をチェックしなければならないし、いわゆる元気系の居酒屋として有名な店なら、接客の観察が欠かせない。

いずれにしても「視察店に入ったら、まずメニューブックをチェック」と二杉氏。「どの価格帯が何品あるのかといった細かいデータよりも、メニューブックから受ける店の第一印象が大事です。カジュアルな店なのか、少しアッパーな店なのかなど、来店客がどういう気持ちになるかを最初に意識します」と語る。また、メニュー選びでは、店の「オススメ」ではなく「人気メニューはどれ?」という聞き方がベスト。さらに、周囲を見回して、来店客が何をオーダーしているのか、どんな表情をしているのか、主な年齢層や属性についてもよく観察する。

最大のチェックポイントは、「こうした観察から、客層と利用動機に、提供している商品と価格帯がしっかりと合致しているのかどうかを見ること」と二杉氏。どんなビジネスでも、これがどのくらい合致しているかが、繁盛の基礎になるからだ。

視察から帰ってきたら・・・社内・店内で情報を共有! 繁盛の秘密をキーワード化

「視察の結果は社内や店舗スタッフ同士で共有。そのためのレポート作成も有効です。また、視察で感じたことがあれば、スピード感を持って自店へ反映する必要があります」(二杉氏)。ただし、「反映すること」は、手法を「そのままコピーする」ことではない。「視察店がその手法を使って、どんな価値を来店客に伝えようとしていたのかに注目すべき」と二杉氏は言う。その価値をキーワードにして、自店に合った手法を編み出すことが大事なのだ。

例えば、日本酒の新たな魅力を発信しようとワイングラスでの提供を始めた店を視察して、ワイングラスだけを真似ても意味はない。キーワードは「日本酒の新しい魅力」であり、その表現方法を、自店にふさわしい形で編み出すことこそが、肝要なのである。

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