2022/11/25 繁盛の黄金律

良いフランチャイズの見分け方

成功すればチャンスも大きいフランチャイズ(FC)ビジネス。自分に合ったFCを選択するために、今回は良いFCの見分け方をご紹介します。強い商品、堅牢な仕組み、利益が出やすいFCであることが重要です。

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Vol.135

商品力・仕組み力・収益力の3つがそろっていること

 前回に続いて、フランチャイズ(FC)の話です。

 今回は、あなたがフランチャイジー(加盟店、以下ジー)になることを前提に、良いFCビジネスの見抜き方についてお話します。前回は、FCビジネスの強いところと弱いところについてお話しましたが、当然のことですが、強いものをたくさん持っているところが良いFCになります。

 具体的には、

  1.  圧倒的に強い、スペシャルな商品を持っていること
  2.  堅牢な仕組みができていること
  3.  売上予測が正確で、利益が出やすいこと

この3つがそろっているところが、「強いFC」ということになります。

 1は特に大事ですね。他を圧倒する商品力を持たなければ、本来FCビジネスなんかやってはいけないのですが、この条件を満たしていないFCが意外に多いのです。2・3については、外からではなかなか分かりづらいものです。

 本部は、「労働過重ではありません。適正な人件費で、目標の売上を楽々クリアでき、売上さえ取れれば、確実に利益が出ます」、といいことずくめの案内を出しています。でも、いざやってみたら、いくら働いても売上も利益も目標に到底及ばない、ということがよくあります。いや、こちらの方が多い、と言うべきでしょう。FCを選ぶときに、まず考えなければいけないのは、自分に合うかどうか、自分がそのビジネスを好きになれるかどうか、続けられるかどうか、です。

 例えば、アルコールが苦手な人が、アルコール業態のFCジーになっても絶対にうまくいきません。ハンバーガーは苦手なんだよな、という人がハンバーガーチェーンのFCをやっても成功する見込みはありません。いくら儲かりそうだといっても気の進まないFCに踏み込んでも、破綻は目に見えています。

 それから条件が緩いFCは要警戒です。最初の加盟金だけは頂きますが、あとは好きにやってください。「あとは、オーナー様の努力次第です」なんて、平気で言う本部は信用してはいけません。何のノウハウも持たないことを満天下にさらしているようなものです。

 FCは看板を貸し、特徴のある商品の食材を提供し、その調理技術と店の運営技術を教えることによって成立するビジネスです。ですから「自由にやってください」などと言える余地はないのです。厳しければ良いというものではありませんが、ブランドの統一性を守るためには厳しい規制がなければなりません。その厳しさが、はっきりと契約条項に書かれていることが大事です。ですから良いFCは「勝手なことをやられては困ります」と言います。その断固たる姿勢を持っていないところは、避けるべきでしょう。

実際のジーの少なくとも3人から話を聞こう

 断固たる姿勢は、まず立地選択に現れます。外食業は立地が商売の要の一つです。立地が重要なのです。立地を外したらどんなにすばらしい店でもアウトです。加盟者が持ち込む立地情報をそのまま受け入れてしまうFCはヤバいといえるでしょう。

 立地に対する厳しい目を持たないFCには近づいてはいけません。見分ける方法は退店数です。出店は旺盛だが退店も多い、というFCは立地の重要性が分かっていないのです。また、いろいろな立地に店を出しているのも、いい傾向とは言えません。

 業種・業態に合った立地というものはあるもので、おのずと得意な立地は絞り込まれます。立地が多様というと聞こえはいいですが、得意な立地がないということですから、それは弱いFCです。一番安全なのは直営店を譲り渡すFCですね。まず直営で運営して収益構造を作って、その営業権をFCに譲渡する。実績がありますから安心です。しかし、この方式に徹しているFCはありません。FCの展開が遅れてしまいますし、出店のチャンスロスがあまりに多いからです。

 本部が示す収益の中身についても、目を光らせなければいけません。ジーの申し込み書で本人が必ず店長をやること、これを条件にするFCは少なくありません。オーナーが本気で取り組んでもらいたい、という本部の意思は間違ってはいません。しかし、収益の出方を精査してみると、オーナーが身を粉にして働いてやっと利益が出る。しかもその利益は、オーナーのただ働きによって出たものであったりします。他人労働に切り替えたら一銭も利益が出ない、そういう中身になっていることが少なくありません。オーナーは労賃も取り、そして利益も残るという形でなければ、身を粉にして働く甲斐がありません。まっとうなFCとは言えません。

 ロイヤリティは低いが食材費がベラボーに高いFCも多いです。特徴のある商品を売りものにするのですから、特殊な食材の供給を受けるのは当たり前です。問題はそれ以外の食材です。ビールやその他の飲料、葉物の野菜など、近くのスーパーで買った方が絶対に安いのに「本部から購入」を義務付けているところが少なくありません。ここは一般食材で儲けているな、ということが分かったら、契約話は取りやめるべきです。

 FC選択で一番良い方法は、実際にジーになっているオーナーの話を聞くことです。一人では話に偏りが出ます。最低でも3人のオーナーに面会を申し込んで実態をつぶさに取材することです。意外な話、悪い話がボロボロ出てきます。この時に必ず聞かなければならないことは、本部のSV(スーパーバイザー)がどの位の頻度で店舗を訪問するか、です。そして訪問時にどのような業務を行うか。ジーの悩みに親身になって耳を傾けてくれるか。解決策などを示してくれるか。この指導の中身などを知ることも大事です。

 複数店を持つ個人オーナーが多いFCというのは基本的に信用できます。1号店でちゃんと利益が出たから、2号店、3号店と出していけているわけですからね。FCの選択にあたっては、慎重の上にも慎重に。臆病者と言われる勇気を持ちましょう。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

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