2024/02/28 繁盛の黄金律

お客様をほっこりさせる武器を持っていますか

コロナ禍明けの今、来店されるお客様が楽しみにしているのは、外食でしか味わえないライブ感や臨場感だといいます。注文された料理をお客様の目の前で調理、完成することができるのは、飲食店でしかできない強みと言えるでしょう。

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Vol.150

外食商品のほぼ全てがスーパーとコンビニにそろっている

皆さんも、食品スーパーやコンビニに足を運ぶことは多いでしょう。

どうです?そこには、外食業で提供する商品のほとんどが並んでいます。

とんかつ、かつ丼、親子丼、牛丼、唐揚げ、串揚げ、にぎりずし、巻きずし、海鮮丼、刺身盛り合わせ、天ぷら、天ぷらそば、かき揚げそば、カレーうどん、ラーメン、うな丼、サンドイッチ、サラダ、デザート…挙げていけばきりがありません。

価格はどうでしょうか。どの外食業と比べるかによって違いますが、飲食店りも安い価格であることは間違いありません。そして、外食でしか提供できない商品は、一つもない、と言ってよいでしょう。

ただ、じっくり見ると、スーパーやコンビニが弱いものもあります。

ステーキ、これは弱いですね。ステーキの肉は売っていても、焼かなければなりません。すぐに食べられるというものはありません。

すしはコンビニでは売っていません。一部、売っているコンビニもありますが、鮮度が低いので、売れ筋にはなっていません。すしは、スーパーでは大事な売れ筋ですが、夕方になると特売が始まります。やはり鮮度勝負の商品であることがわかります。

もう一つ弱いのは、中華とラーメンですね。レトルトやインスタント商品は数え切れないほどありますが、外食の提供商品とは質的に異なります。出来たてのおいしさを提供することが難しいのが、中華とラーメンなのです。

経時劣化が激しい商品は、スーパー・コンビニは苦手です。外食業の壁を打ち破ることができないのです。しかし、繰り返しますが、外食業がいつも頭に叩き込んでおかなければならないことは、スーパーやコンビニでは、外食で提供する商品のほとんど全てがそろっている。しかも安い価格で、という点です。

コロナ禍の4年間、外食業もテイクアウトやデリバリーに相当力を入れて、一定の売上を上げましたが、今はそこが急速にしぼんでいます。そこから撤退して、元のイートイン専門に戻っている店も少なくありません。

外食業の本領は、イートインにあります。技を持った調理人が作った商品を、熱々のまま即提供する。そして、そこには心のこもったフレンドリーなサービスがある。こればかりは、スーパーやコンビニが逆立ちをしてもできないことです。ですから、この本領を強める以外に、外食業は生きる道はないのです。

調理の技、姿、炎、音を提供しよう

「炉端焼き現象」という言葉を、よく耳にするようになりました。

目の前で注文した料理が出来上がっていく過程が見える。こういうライブ感.臨場感を提供しているところに、お客様が集まっています。

例を挙げますと、肉を焼く炎、中華の強火での鍋振り、すしを握る職人の鮮やかな技、店でスープを作るラーメン店の熱気、魚を丸からさばく鮮魚居酒屋の活気、炭火で焼く焼き鳥屋の炎と煙、同じくうなぎ屋の煙と香り、石窯で焼くピザ…これも挙げればきりがありませんが、こういう見せ場を持っている店が強力な磁力を持ってお客様を引きつけています。

これらを総称して、「炉端焼き現象」と言っているのです。

昔もありましたね。「シェフズテーブル」という言葉が。技を持ったプロが料理を作る過程を丸ごと見せる特等席です。出来上がった料理を即、提供する。これこそが、外食でしかできない得意技です。

技を見せ場にして、外食でしか出せないライブ感、臨場感を打ち出している店が今、強いのです。お客様はそれを一番に求めているのです。

サービスも同じです。お客様は、長いコロナ禍での耐久生活から解放されたいのです。心をほっこりとさせたいのです。

そんな時に、つっけんどんで無愛想なサービスをされたら、たまりませんよね。「この店には二度と来ないぞ」と、決意することでしょう。

心をほっこりさせるサービスをしなさい、といくら口で言っても、できるものではありません。どういうことをしなければいけないのか、個別的に、具体的に明確な形を提示しなければなりません。

それから何よりも、働く人が自由闊達(かったつ)に働ける条件がそろっていなければなりません。

勤務時間、給与.社内コミュニケーション、これらの条件がそろってはじめて、フレンドリーでハートフルなサービスをお客様にお届けすることができるのです。

チェーングループは、生産性を高めるために、自動調理器、キオスク販売機、サービスロボット、自動精算機を積極的に採用しています。

チェーンがやるのだからうちも…と考えてはいけません。

ニーズは真逆のところで大きくなっているのですから。アナログに徹するべきです。

つまり技を持ったプロを育成する。技と心を持った人によるサービス。人による調理とサービスに徹するべきです。

外食というのは、店舗で最終価値を生み出すビジネスです。面倒なビジネスですが、それを捨ててしまったら、強い外食業にはなれなれません。一気に外食の市場は、食品小売業に持っていかれてしまいます。

コロナ明けの今、特に外食でしか提供できないものが強く求められているのです。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

■飲食店経営の明日をリードするオピニオン誌「Food Biz」

「Food Biz」の特徴
鍛えられた十分な取材力、現場を見抜く観察力、網羅的な情報力、変化を先取りする予見力、この4つの強みを生かして、外食業に起こっている変化の本質を摘出し、その未来を明確に指し示す“主張のある専門誌”です。表層的なトレンドではなく、外食業に起こっていることの本質を知りたい人にこそ購読をおすすめします。読みたい人に直接お届け!(書店では販売しておりません)

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