最後の満足度を高めるのが〆メニュー。「これが食べたいから来てしまう」と言われるような〆の料理があれば、店が愛される理由にもなるだろう。そんな特徴のある〆メニューを提供している2店舗を紹介する。
“和×フレンチ”の組み合わせでほかでは味わえない逸品に
【東京・門前仲町】門前仲町 和フレンチ 伍六
印象が深ければ思い出し、リピートにつながる
日本とフランス、両国の料理手法や素材を融合させた創作料理が味わえる「門前仲町 和フレンチ 伍六」。洗練された和モダンな空間で、埼玉県三郷市の契約農家から仕入れた野菜や個性が際立つ鎌倉野菜、旬の魚介や肉を用いて目にも鮮やかな料理を提供。30~60代のビジネス層や女性グループを中心に集客し、野菜をふんだんに使った料理が豊富にそろうため、女性が6割を占めるという。
そんな同店でシメの逸品として人気を集めているのが、「五穀米入りチーズ焼きリゾット」(842円)と「牛タンとカッペリーニのスープスパゲッティ」(842円)だ。店長の根本義文氏は「当店に来て楽しかったと、お客様に喜んでいただきたい。そう感じてもらうために、ほかでは味わえない料理を提供したいと考え、当店ならではのシメのメニューを作りました」と語る。「五穀米入りチーズ焼きリゾット」は、2008年のオープン当初からコースのシメとして人気を博している「一口焼きリゾット」を、アラカルトとしてアレンジしたもの。クリームベースのリゾットを濃厚なチーズとともに焼き固め、チーズの香ばしさと五穀米特有の歯ごたえが絶妙に絡み合う。ワインとの相性が抜群で、シメの料理にも関わらず、ワインを追加注文して飲み直す人がいるほどだ。
一方、「牛タンとカッペリーニのスープスパゲッティ」は、2013年に登場。根本氏は「シメのラーメンから発想を得ました。飲んだ後は温かい汁物が恋しくなりますから」と振り返る。牛タンと野菜をじっくり煮たスープは、体に染みわたるおいしさ。極細のパスタを使うことで、スルっと食べられるのも特徴だ。以前は「肉巻きおにぎり茶漬け」を提供していたが、和の趣に偏りすぎていたため、同店のコンセプトに沿い、もっと洋風のエッセンスを加えようと練り直したという。パスタであるため、洋風の平皿で提供されることをイメージするが、椀で供され、箸で食べる趣向。注文した人が抱くイメージを覆すことがサプライズを生み、未知なる一品と出合う楽しさにつながっている。
同店が自信を持ってすすめるこの2つのシメメニューは、評判も上々で、シメの逸品目当てに足を運ぶリピーターも少なくない。このおいしさをぜひ味わってほしいと、友人や知人を連れて店を訪れる人もいるという。「シメの一皿の印象が深ければ、店を思い出してもらえ、再来店へのきっかけにつながると考えています」と根本氏。他店にはない料理で客を引き付けるという、店の狙いは成功しているようだ。
しかし、「手応えは感じていますが、これで満足とは思っていません」と根本氏は笑顔で語る。さらに幅広い客層を取り込んでいくため、客の声に耳を傾け、反応に目を配っているという。秋冬シーズンに向けては、新しいシメのメニューを開発中。エビを使ったグラタンを考案中とのことだが、どんな和フレンチのメニューになるか、今後が楽しみだ。
東京都江東区富岡1-24-11
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