2025/12/17 特集

「鰻の成瀬」が”新鰻”をリリース|新たな一手と品質追求の新戦略

“うまい鰻を腹いっぱい”を掲げる「鰻の成瀬」が、取り扱うウナギのリニューアルを発表した。2025年11月に開催された新鰻お披露目会では、代表取締役社長の山本 昌弘 氏をはじめ、中国と国内の提携事業者が登壇し、品質を追求する舞台裏を披露。さらに、ワシントン条約の規制強化議論やAI活用など、業界の未来に直結する重要テーマについて語られた。

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市場変動に備える「鰻の成瀬」の供給戦略

2025年11月24日から始まったワシントン条約の締約国会議では、絶滅のおそれのある野生動物としてウナギの取引規制が焦点の一つとなっていた。しかし、27日の委員会で規制案は否決され、注目されていた12月5日の本会議でもこの判断が正式に追認。取引規制は見送りとなり、日本の流通・外食市場への直接的な影響は当面回避される形となった。

ただ、国内で流通するウナギの約7割を輸入に依存する日本にとって、資源管理の強化やトレーサビリティの透明化など、国際的に求められる対応への機運は高まっており、持続可能な調達体制づくりは引き続き重要なテーマとなりそうだ。こうした状況に備えるべく、「鰻の成瀬」の経営母体であるフランチャイズビジネスインキュベーション株式会社は、先んじて取り扱うウナギのリニューアルを発表。主軸となる海外産を継続しつつ、国内の養鰻場との連携を強化することで、国産商品の販売も拡大していく。

目次
1.信頼関係で築く商社・国内生産者・中国生産者との商品開発
2.業界の課題:ワシントン条約の影響
3.鰻の未来:鰻業界とAIの関わり

1. 信頼関係で築く商社・国内生産者・中国生産者との商品開発

「鰻の成瀬」では、国内トップクラスの産地との連携を強化し、商社や生産者とともに商品開発を進めている。山本氏は、「当初は仕入れを全面的に商社に任せていましたが、私たち自身も携わり、消費者に届ける商品をつくりたいと考えるようになりました。担当者が何度も現地を訪れ、加工場と打ち合わせを重ねながら、『鰻の成瀬』で提供するウナギを一緒につくっています」と語った。

お披露目会では、新たに扱う「新鰻」として、仕入れ業者の拡大と品質向上の取り組みが発表された。まず、うなぎ専門商社であり、中国・台湾・国内産の活鰻や冷凍加工品を卸す株式会社鐘永(しょうえい)の橋本 拓也 所長が挨拶。続いて、国内4カ所の生産者(株式会社薩摩川内鰻、株式会社おおさき町鰻加工組合、株式会社山中水産、三河水産加工株式会社)に加え、中国の主要取引先である天馬グループが紹介され、養殖から加工、販売に至るまでの工程や、最新技術を活用した品質管理体制が説明された。新鰻への切り替え時期は2026年春を予定しており、確定次第あらためて公表される見通しだ。

左より、フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社 代表取締役社長 山本 昌弘 氏、株式会社おおさき町鰻加工組合 代表取締役社長 横田 信久 氏、三河水産加工株式会社 宮澤 康夫 氏、山中水産株式会社 代表取締役 山中 善晴 氏、株式会社薩摩川内鰻 係長 倉田 哲也 氏、株式会社鐘永 所長 橋本 哲也 氏、天馬集団 副社長 Chen Guan Ghui 氏と通訳者

2.業界の課題:ワシントン条約の影響

2025年12月の締約国会議では規制案が否決され、ひとまず取引への直接的な制約は回避された。しかし、ウナギ資源の国際的な管理強化に向けた議論は今後も継続される見通しで、業界の重要テーマであることに変わりはない。

お披露目会に橋本氏は、万が一規制対象となった場合の最大の懸念として「流通ができなくなること」を挙げ、業界が抱える危機感を示した。また、仮に書類提出義務が生じる付属書IIでの規制にとどまったとしても、アメリカウナギの採捕規制で原産地証明書が必要となっている事例を踏まえ、「手続きが大変になる可能性がある」と指摘した。

三河水産加工株式会社の宮澤氏は、問題解決には政治的な対応が欠かせないと強調。「中国政府が輸出許可に必要な書類をスムーズに発行してくれれば、日本の取り扱い業者は大変助かる」と述べ、政府間の連携の必要性を訴えた。

山本氏は、規制によって「工数が増え、それに伴い原価が高騰すること」が価格設定にも影響を及ぼしかねないと懸念を示す一方で、「原産地である中国は日本に輸出したい、日本も買いたいという関係性がある」ことを挙げ、困難を乗り越える上での安心材料になるとの見方を示した。

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3.鰻の未来:鰻業界とAIの関わり

持続可能なウナギの未来を考える上で、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用も重要なテーマである。登壇者が共通して指摘したのは、業界全体にとって「後継者がなかなかいない」「人手不足」が喫緊の課題であるという点だ。

山本氏は「国内の養鰻場では広大な池での餌やりや水揚げといった工程が依然として人力に依存しています。ここにAI活用やDX化を図っていければ」と語った。中国・天馬グループが導入するシステムでは「いつ・どこの池で・どの規格のうなぎが獲れたか」を可視化するトレーサビリティの仕組みがあり、すでにDXの恩恵を受けているという。

創業3周年を迎え、出店数400店以上(2025年11月現在)と国内での存在感を確かなものにした「鰻の成瀬」は、今回の新鰻リリースを通じて「品質の追求」という次のステージへ踏み出した。

ワシントン条約による不確定要素や、人手不足といった構造的課題を抱えるうなぎ業界において、国内外の優良パートナーとの強固な信頼関係を武器に、「おいしくて身近なうなぎ」を広く消費者に届け続けることを目指していく。

運営会社
 フランチャイズビジネスインキュベーション株式会社 
 滋賀県高島市今津町桜町2丁目1-3(本社)
うなぎ専門商社
 株式会社鐘永 
 東京都杉並区高円寺南4-27-18 ケイアイ高円寺ビル5階
国内生産者
 株式会社薩摩川内鰻 
 鹿児島県薩摩川内市東郷町斧渕8710-3
 株式会社おおさき町鰻加工組合  
 鹿児島県曽於郡大崎町菱田194-1
 山中水産株式会社
 鹿児島県指宿市山川成川499
 三河水産加工株式会社
 愛知県西尾市一色町赤羽北荒子72
中国生産者
 天馬グループ(天馬科技株式会社)

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