飲食店の開業に必要な6つの厨房機器について、購入の注意点やコストを紹介!
厨房は飲食店において心臓部とも言える最も重要なスペース。ガスレンジ、冷蔵庫、食器棚、調理台、シンクなど、どのような厨房設備を導入するかによって、その後のオペレーションや売上も大きく左右されます。また、飲食店を開業するためには保健所が定める基準を満たした厨房機器が設置されていることが条件になるため、必ず事前に確認を。ここでは、注意すべきポイントや購入方法などについて具体的に紹介していきます。
目次
・飲食店に必要不可欠な厨房機器の選び方、価格の目安
・業態によって必要になる専門性の高い厨房機器
・新品・中古・リース それぞれのメリットは?
・厨房機器を購入する際の注意点
飲食店に必要不可欠な厨房機器の選び方、価格の目安
シンク(洗浄設備)
業務用シンクは1槽、2槽、3槽など水槽の数によってさまざまなタイプがあり、営業に必須な食品営業許可の基準を満たしている必要があります。保健所が定める槽の大きさの目安は幅45㎝、奥行き36㎝、深さ18㎝以上。飲食店では食器洗い用と食材洗い用を分ける必要があるため、最低2槽以上の設置が義務付けられています。ただし、食器洗浄機を使用する場合は1槽だけでOKな場合も。規定の内容は市町村によって異なるため、購入前に店舗を所管する保健所に相談し、設備基準を確認しましょう。価格の相場は3万〜90万円程度で、大きさや素材によって変わります。
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調理台(作業台)
調理や盛り付けの作業をするための調理台(作業台)は、衛生的で錆びづらく手入れもしやすいステンレス製が一般的。サイズや種類も豊富なので、取り扱うメニューや作業内容、従業員の身長などを考慮し、使いやすさを重視して検討しましょう。その際、厨房の広さや作業動線を考慮するのも忘れずに。例えば、台の下に冷凍・冷蔵の機能を備えたコールドテーブルは作業台と冷蔵庫が一体化しているため、厨房内をより広く使えて、動線を確保しやすいといったメリットが。小規模な飲食店や厨房が狭い物件でもスペースを有効活用できます。価格は、サイズや機能などによってさまざまですが、10万〜40万円程度が一般的です。
食器棚
飲食店では食器類を衛生的に保管するために、扉付きの食器棚を1台以上設置することが義務付けられています。ガラス戸や引き出し付きなど種類はさまざまありますが、重視すべきは食器や調理器具を衛生的に保管できるかどうか。各保健所により規定があり、天井と棚の間に隙間がある吊り戸棚や、目線より高くなる棚、日常的に簡単に清掃できない設置方法などは認められていないため注意が必要です。また、一時的な保管用であれば扉が付いていない棚の使用も認められていますが、厳格な設置基準があるので食器棚と合わせて規定の確認を。衛生面や使いやすさ、予算などを総合的に判断し、検討しましょう。 価格は、サイズによって8万〜35万円程度です。
冷凍冷蔵庫
食材の保管に必須の冷凍冷蔵庫。前出のコールドテーブルとは異なり、冷凍冷蔵庫として独立しているものを指します。一番のポイントは、店に適した容量・サイズを選ぶこと。購入前に営業に必要な食材量やストックする食材の量を計算し、冷凍庫と冷蔵庫のバランスや大きさを決めましょう。また、厨房内が狭いと扉がスムーズに開閉できない、動線を妨げるといった可能性があるため、厨房のレイアウトや、扉の大きさ・数も要チェック。営業許可を得るための設備基準として、冷蔵庫内の温度計設置が定められているため、必ず規定も確認しておきましょう。価格は20万~30万円程度を想定しておきましょう。
製氷機
ドリンクを提供する際に使用する製氷器も、飲食店に欠かせない厨房機器のひとつ。製品によって作れる氷の量が異なるため、氷を使用するドリンクの出数や座席数、回転率などを考慮して、自店に合うものを選びましょう。また、季節によって氷の使用量が大きく異なるため、最も多く使用する夏場を基準に、適切な製氷能力や保管容量の検討を。卓上タイプ、コールドテーブルなどに設置できるアンダーカウンタータイプなど種類も豊富。狭い空間でも開け閉めしやすいスライド扉タイプなどもあるので、設置スペースや作業のしやすさを踏まえて選ぶのがおすすめ。価格は30万~60万円程度です。
ガステーブル(ガスレンジ)
テーブルにガスコンロが内臓されたものがガステーブル、コンベクションオーブンとガステーブルが一体となったものがガスレンジと呼ばれます。それぞれ、上部のガス栓を手動で回して点火する外管式と、圧電点火式でつまみを回すと自動で点火する内管式があります。製品を選ぶ際は、事前に使用できるガスの種類や安全装置の有無などの確認が必須。製品ごとにサイズ、調理器具を置く五徳の大きさ、火力などが異なるため、厨房の広さや提供メニューに応じて適切なものを選びましょう。価格相場は10万円程度です。
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業態によって必要になる専門性の高い厨房機器
スチコンやオーブン、ダクト設備など
自家製スイーツが売りのカフェであればオーブン、ラーメンやうどんの専門店であれば製麺機、焼き肉店や揚げ物を提供する店では排煙・換気を行うダクトなど、業態・業種に応じてより専門性が高い厨房機器の導入も検討を。そのほか、スチームコンベクション(スチコン)は、1台で「蒸す」「焼く」「炒める」「煮る」「炊く」「揚げる」といった多機能調理ができ、多様なメニューを提供する居酒屋での作業効率アップにも有効です。オープン後の売上を安定させるためにも、強みを生かし、スムーズなオペレーションができる設備を導入しましょう。
新品・中古・リース それぞれのメリットは?
新品購入のメリットとデメリット、費用
新品購入はより多様なメーカーの製品から自分の店に合ったものを選ぶことができるのが大きなメリット。メーカーの保証がついている場合がほとんどなので、より安心して長く使うことができます。ただし、中古品などに比べて費用は高額で、店舗の規模や提供する料理の内容によっては、予想以上に金額が膨らんでしまうケースも。購入時は複数の店舗から見積もりを取って価格の比較するのがおすすめです。業者によっては設置や配管が価格に含まれるなど、諸経費を考慮するとリーズナブルな場合もあるので、無料のサービスやセット値引きなどがあれば積極的に活用しましょう。
中古購入のメリット・デメリット、費用
中古品の一番のメリットは、新品よりも安価に購入できること。例えば、ガステーブルの新品は10~15万円程度ですが、中古品なら3~6万円程度と大幅に費用を抑えることができます。場合によっては使用年数が1~3年ほどの状態が良いもの、未使用の新古品、展示品などが販売されていることもあります。一方で、新品に比べて故障する可能性が高く、修理費が高くついて「新品にしておけばよかった」というケースも。機能や動作、傷・汚れがないか、保証やアフターサービスがあるかなどを細かくチェックしましょう。また、居抜き物件では、前のテナントが使用していた設備を「造作譲渡」という形で引き継ぐこともできます。ただし、すべてが機能する保証はないので、契約前に専門業者による確認を受け、故障品やリース品など不要なものは撤去してもらうようにしましょう。
リースのメリット・デメリット、費用
リース料を支払うことで新しい厨房設備をレンタルで使用する方法もあります。月額1,000~8,000円程度で、保証やアフターサービスもしっかりしており、初期費用を抑える上ではメリットがあります。ただし、契約期間や内容によっては最終的に新品購入よりも支払い総額が割高になる場合も。また、契約中は中途解約ができないため、リース期間中に廃業や移転などで厨房機器を使わなくなったとしても、残額を支払わなければならないので、注意が必要です。
厨房機器を購入する際の注意点
設置基準を確認する
飲食店を含む、食品を製造・販売する店舗の開業の際は、保健所に食品営業許可の申請が必須です。許可を得るためには、食品衛生法と自治体の条例に定められた設置基準を満たさなければなりません。厨房機器に関わる部分だと、シンクの大きさ、台数、食器戸棚や器具保管庫に必ず戸を付けるといったルールがあります。購入の前に必ず店舗所轄の保健所に確認をしましょう。
ガスや電気の種類を確認する
火器(ガス)を使用するには所轄の消防署に届出が必要です。例えば、消費量120kw以上のガスを使用する場合は、「火気を使用する等の届出」という書類を提出。より火力が強い設備や複数台の設置など、基準値を超える場合には別途書類が必要です。詳細は店舗所在地を管轄する消防署に問い合わせてみましょう。また、ガスにはプロパンガス(LPG)と都市ガス(13Aなど)の2種類、電気には単相100Ⅴ、単相200Ⅴ、3相200Ⅴ(動力)の3種類があります。ガス、電気ともに機器と厨房設備の種類が異なると使用ができないため、事前にしっかり確認しておきましょう。
減価償却と耐用年数を確認する
減価償却とは、設備の導入にかかった費用を数年間に分けて計上する会計方法です。計算方法にはいくつか種類がありますが、主流なのは導入にかかった費用を耐用年数で割って計算する「定額法」。なお、耐用年数は国税庁が一律に定めており、必ずしも実際の使用可能年数と同じではありません。一般的な飲食店の場合、厨房設備の耐用年数は8年。そのため、対象の減価償却資産が80万円の場合、8年間にわたり毎年10万円ずつ経費として計上することになります。節税対策として有効ですが、赤字計上になってしまうと銀行の融資が受けられないなどのリスクがあるため、税理士などに相談しましょう。
設置スペースと機器のサイズを考慮する
厨房機器を導入する際は、機器のサイズや設置するスペースも十分に考慮しましょう。必要以上に大きな設備は、営業時に従業員の動線の妨げになる場合も。利用客・従業員の双方がスムーズに行き来でき、オーダーから提供までの流れに支障をきたすことがないように、しっかりと動線が確保できるかチェックしましょう。また、導入の際は清掃が行いやすい位置に設置するなど、常に衛生的に管理できるような配置を心がけるのも大切です。
メインメニューに合わせた設備を選ぶ
調理する回数が多い主力メニューに応じて設備や機器を選ぶのも重要です。例えば、加熱料理を頻繁に行うならガステーブルを複数設置する、魚介類の調理が多い店では手前側の縁が低く魚がさばきやすい「舟形シンク」を選ぶ、グラスの洗い物が多ければ自動洗浄機器を導入するなど、それぞれ検討を。食材の調理、仕込み、保管、提供、片付けなどを細かく想定することで取捨選択がしやすくなり、より自分の店に合ったベストな設備を選ぶことができます。
厨房設備・機器を選ぶポイントは業種や業態、提供するメニュー、店舗や厨房の規模に応じて吟味すること。食品営業許可を取得できる設置基準や設置方法を満たしているか必ず確認し、予算に応じた購入方法で導入を検討しましょう。
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