初回公開日:2025.3.14
「ワンオペ営業」無理のないはじめ方と続け方
1人で店舗を切り盛りする「ワンオペ営業」は、人手不足が深刻化する飲食業界において現実的な営業スタイルの一つです。継続的に営業していくために、ワンオペ営業で成功するためのポイントと注意点をまとめました。現在開業を考えている人も、既にワンオペ営業中の人も、開業や運営のヒントにしてください。
目次
1.ワンオペ営業のメリットとデメリット
2.物件選びに大事な視点
3.おさえるべきポイント
4.後回しにしがちな、大事なこと
5.まとめ
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1.ワンオペ営業のメリットとデメリット
メリット
人件費の削減
スタッフを雇わずに自分一人で運営するため、人件費を大きく抑えることができます。特に固定費削減効果が高く、小規模店舗や個人経営には大きなメリットです。
経営判断のスピード感
仕入れ、メニュー、接客方針などの意思決定をすべて自分で行えるため、スピーディーに柔軟な経営が可能です。
お客様との距離が近い
調理・接客を一貫して自分が担当することで、お客様と顔を合わせる機会が増え、信頼関係やリピーターづくりにつながりやすいです。
店舗運営のシンプル化
人員管理・シフト調整・教育などの手間が不要となり、運営をシンプルに保てます。
利益率の向上
売上規模は小さくても、固定費(特に人件費)が少ない分、利益率を確保しやすくなります。
デメリット
体力・精神的な負担が大きい
調理・接客・片付け・会計をすべて1人で行うため、肉体的にも精神的にも消耗しやすく、長時間営業が難しくなります。トイレ・休憩・体調不良時などでも店を空けられず、営業中に突発的な問題(クレーム・トラブル)が起きても対応が遅れることがあります。
回転率や提供スピードに限界がある
注文が重なると提供までに時間がかかり、混雑時の機会損失やお客様の不満に繋がる可能性があります。
営業時間に制約がある
人手がないため長時間営業が難しく、売上の拡大に限界が生じやすいです。
安全面・リスク管理の不安
1人しかいないため、防犯上のリスク(万引き・トラブル客対応)や事故・怪我の際に助けが得られない危険があります。
成長や多店舗展開の壁
仕組み化しづらく、オーナー本人の労働力に依存するため、規模拡大や収益の安定化が難しいです。
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2.ワンオペ向きの物件選びの4つのポイント
ワンオペ営業では、物件の選び方が成功のカギを握ります。以下の4つのポイントを押さえて物件を選ぶことで、リスクを最小限に抑え、効率的な運営が可能になります。
(1)ワンオペ営業に合ったエリアで探す
1人で無理なく対応できる客数が見込める場所としては、住宅街やオフィス街の落ち着いたエリアが挙げられます。また、テイクアウトやデリバリー需要が狙えるエリアも向いているでしょう。
ただし、どんなに場所がよくても、売上に対して家賃が高すぎるのは問題です。家賃は、月商の10%以内に収めるのが理想とされています。また、近隣の店舗と差別化できるかどうかも、あわせてチェックするといいでしょう。
(2)居抜き物件を有効活用する
初期費用をなるべく抑えるためには、必要な設備がそろっている居抜き物件を活用しましょう。その際には、排気・水回り・電気容量を確認することも忘れずに。調理機器が問題なく使用できるかどうかもあわせて確認すると安心です。特に食器洗浄機や多機能調理器具を使う場合、電源容量やダクトが整っているかは重要です。
(3)1人で回せる店舗サイズや導線を意識する
店舗内が広すぎると管理が困難になります。厨房と客席との導線が短く、配膳から片付けまでの作業がスムーズに行える動線が確保できるレイアウトが、効率に大きく影響します。
1人で回せる席数は10~20席程度が目安とされます。カフェや軽食店は仕込み中心で回転率も高いため10~15席が適し、居酒屋や食事メインの業態では注文数や調理負荷が増えるため15~25席程度が限界とされます。業態や提供メニューの調理工程の複雑さに応じて、席数を絞り効率的な運営体制を整えることが重要です。
(4) 賃貸契約の条件を慎重にチェックする
賃貸契約の内容もしっかり確認しましょう。保証金・敷金の相場を把握するなど、資金計画を立てておくとことも重要です。原状回復義務の範囲も要確認で、退去時に全面スケルトン返しを求められると高額負担になりがちです。居抜き物件なら原状回復条件を交渉し、極力負担を抑えるのが賢明です。
また、営業時間や使用制限についても注意が必要です。深夜営業の可否や、音・臭いに関する制限が契約書に記載されていることがあります。ワンオペ業態は効率重視で営業時間を柔軟に設定するケースも多いため、制限内容は要チェックです。さらに、中途解約時の違約金や更新料の有無を確認し、万が一の撤退も想定した資金計画を立てることが重要です。
3.ワンオペの仕組みづくり3つのポイント
(1)効率を優先したメニュー設計
ワンオペ営業が成功するかどうかは、メニュー構成にかかっているといっても過言ではありません。限られた人的リソースで効率的に運営するために、戦略的なメニュー設計をしましょう。
【オペレーション】シンプル&簡素に
お客様を待たせないよう、提供時間は5分以内を目標にして、調理工程を徹底的に簡素化します。具体的には、同じ食材やソース、調理法を活用して、少ない手間でバリエーション豊かなメニューを実現するのです。例えば、唐揚げならタレや味付けを変えて3種類ほどを展開するなど、工夫次第で複数のメニューを生み出せます。また、仕込みで最終調理の手前まで仕上げておくことができるメニューを用意するのも一案です。
【食材選び】廃棄ロスが出にくいものを
保存が効き、廃棄ロスの少ない食材も上手に活用しましょう。冷凍野菜、乾麺、レトルトスープなども取り入れることで、メニューを広げることも可能になるでしょう。
【仕込み】ピーク時を想定した準備を
ワンオペ営業では、営業中の負担を減らすために仕込みの質と量が店舗運営の成否を左右します。ピーク時に調理をゼロから行うのは困難なため、揚げ物の衣付けや煮込み料理の仕上げ、野菜のカットなどは事前に仕込んでおくことが必須です。仕込みは「調理の時短」「味の安定化」「提供スピードの向上」に直結し、ワンオペならではの効率化に大きく貢献します。また、仕込み食材は保存性や再加熱性を考慮して選び、同じ食材を複数メニューに転用することでロス削減にもつながります。「仕込みを営業の先行投資」と捉え、時間配分と工夫で最大限に活用することがポイントです。
(2)DXツールなどの有効活用
ワンオペ営業を効率的に行うには、注文・調理・配膳の流れを徹底的に簡素化することが重要です。注文はタブレットやQRコードを利用したセルフオーダーシステムやモバイルオーダーを導入することで、スタッフが逐一対応する手間を減らせます。水や一部の料理をセルフサービスにすれば、1人でも複数客を同時に対応しやすくなります。さらに、店のレイアウトに合わせて食器返却口を設置すれば、片付け作業をお客様に一部協力してもらう形となり、業務負担が大幅に軽減されます。
会計面では、券売機やキャッシュレス決済を導入することで、現金授受の手間や会計ミスを防止でき、回転率も上がります。調理面では、煮る・焼く・蒸すを一台で担える多機能調理器具を導入すれば仕込みや調理の効率が飛躍的に向上しますし、後片付けには食器洗浄乾燥機が大いに役立ちます。ワンオペ運営では、「セルフ化」と「自動化」を積極的に取り入れ、必要な箇所に便利なツールや設備を組み合わせることが、無理のない持続的な営業につながります。
(3)無理のない営業時間の設定
ワンオペ営業で長続きするコツは、自分の体力と精神状態に合った営業時間を設定することです。ランチタイムだけ、または夕方からの数時間など、売上が見込める時間帯に絞ることをおすすめします。
また、昼と夜営業の間に一時閉店するなど、休憩を確保する設定も忘れずに。週に1〜2日の定休日を設けることも重要です。適度な休憩を挟むことで疲労の蓄積を防ぎ、判断力や接客の質の低下、健康問題の防止にもつながります。
近年は、数時間、1日だけという短時間の働き方が身近となり、「スキマバイト」サービスが定着してきました。どうしても1人では対応しきれない混雑が予想される日は、補助的な作業を任せられる人員を確保することも有効な手段といえるでしょう。
【スキマバイトサービス記事はこちら】
飲食店の人手不足は“スキマ埋め“から!スキマバイトサービス「メルカリ ハロ」
4.開業後の安定経営のための注意点
(1)衛生管理の徹底
ワンオペ営業の場合、忙しさから衛生管理が疎かになりがちですが、ここは絶対に妥協できないポイントです。食材の鮮度チェックや適切な保存方法、調理場の清掃は日々欠かさず行いましょう。これが食中毒予防の基本となります。
また、体調不良の時は思いきって休業することも重要です。特に感染症の場合は、お客様への二次感染リスクの心配があります。毎日の手洗いや消毒は徹底して行いましょう。手洗いや消毒は、調理の合間や食材を扱う前後にも行うことで、交差汚染の防止にもつながります。
(2)安全対策
すべての作業を1人で行うため、火器や刃物の取り扱いや動線の足元など、怪我を防止すべく細心の注意が必要です。使用した調理器具はすぐに片付けたり、滑って転ばないように安全な靴を履くなど、不測の事故を未然に防ぐ意識を持ちましょう。そういった安全確認をする習慣が、長期的な営業継続のカギとなります。
また、ワンオペ営業は防犯面が弱点となるため、防犯カメラの設置や緊急通報システムの導入など、事前の対策を講じておくと安心です。
(3)クレーム対応
ワンオペ営業では、クレーム対応に割ける時間や精神的余裕が限られています。提供遅延や注文ミスを防ぐ仕組みを整えておきましょう。
また、事前に「1人で営業している」ことを明示することも重要です。提供時間や対応への理解を促すことで、後々のトラブル回避につながります。
しかし、これらの準備を整えた上でも、クレームが発生する可能性は拭えません。あらかじめ、クレームが発生した場合の対応手順も決めておきましょう。謝罪の言葉や代替案、最悪の場合の返金対応などの準備は、精神的な支えにもなります。
5.まとめ
ワンオペ営業を成功させるさまざまなポイントをお伝えしました。大きくは、以下の3点です。
・物件選びでは 小規模、動線の良い、低コストな居抜き物件を狙う
・メニュー設計は、シンプル&効率的な調理ができるものにする
・自動機器やセルフサービスを活用し、負担を軽減する
ワンオペ営業では、1人でも対応できる仕組み作りが大切です。そして最終的には、自分の体力と相談しながら無理のない営業スタイルを見つけ、長く続けられるビジネスとして確立させましょう。
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