2019/11/19 特集

外国人客 受け入れキーワード10!「インバウンド」集客&応対の秘訣

全国で外国人客が増える一方で、飲食店はどんな準備を行うべきか。接客や販促などのインバウンド対策6項目について、コンサルタントに秘訣を伺った。

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更新日:2025.1.28

インバウンドは優良な市場。対策次第で大きなチャンス

外国人にとって「外食」は、日本に来る目的の一つとなっている。飲食店にとって、インバウンドのマーケットには大きな伸び代があると言えるだろう。

「人口減少が顕著な日本の現実を考えるなら、飲食店の成長戦略としてインバウンドは有効な選択肢の1つ。インバウンドは日本人客を減らさずに、外国人客という新たな顧客が獲得できる“プラスオン”の市場なのです」と村上氏は指摘する。特に外国人観光客の場合、早い時間に来店したり、来店が多くなる曜日や時期が日本人客と違う。また、個人旅行が増えていることも、個店で外国人客を獲得しやすくなった要因の1つ。さらに、「外国人客は日本人客より客単価が高い傾向」とインバウンド戦略アドバイザーの村山 慶輔 氏は語る。

株式会社やまとごころ 代表取締役 インバウンド戦略アドバイザー 村山 慶輔 氏
兵庫県神戸市生まれ。米国ウィスコンシン大学マディソン校卒。2000年アクセンチュアに入社し、地域活性化プロジェクト、グローバルマーケティング戦略などのプロジェクトに従事。2006年同社を退社。2007年にインバウンド観光に特化したBtoBサイト「やまとごころ.jp」を立ち上げ、ホテル・小売・飲食・自治体向けに情報を発信し、教育・研修などのコンサルティングサービスを提供する。インバウンド関連諸団体の理事や、国・自治体の委員、アドバイザーを多数兼任する。

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ただし、今後予想されるインバウンド市場の変容には注意しておきたい。大きな変化は「国と民族の多様化・細分化が進むこと」(村山氏)。これまでは圧倒的に東アジア圏からの訪日が多かったが、今後は世界のあらゆる国からやってくる。当然、食習慣も多様なので、それらに細かく対応する姿勢が求められる。また、これまでは日本を体験したいという「日本ファン」やリピーターが多かったが、今後は初めて日本に来る人やスポーツ観戦が目的の人も多く訪日するため、おもてなしへの評価が、より厳しくなることも予想される。しっかりと対応し、「日本ファン」を増やす絶好のチャンスと捉えたい。

では、これからインバウンド対策を始めようと考えたとき、何から手をつけたらよいのだろうか。村山氏は「まず、自分の店がインバウンドの受け皿となっているかどうかを点検し、受け入れ環境を整えることが不可欠」と呼びかける。SNS時代の現代では、ネガティブな口コミほど拡散が速い。受け皿が整っていない店で外国人客を受け入れても、満足させられず、逆効果になりかねない。「入店から退店までの流れを外国人の目線で見直すことが肝心。外国人からも選ばれる店になっているかチェックしてほしい」と話す。

「今からでも様々なことが試せますし、場数も踏めます。今がチャレンジする一番のチャンス」と村山氏。では、これからのインバウンド対策のポイントをキーワードに沿って、押さえていこう。

「接客」「販促」「体験」のポイントは?

KEYWORD1「接客」

挨拶は日本語でOK。必要最小限のフレーズを覚えよう

まず、外国人客への接客で気をつけたいことの1つが「最初の挨拶」。村山氏は「来店客に対しては、まずは日本語で第一声を」と語る。大半の訪日外国人は、挨拶程度の日本語は理解しているし、そもそも日本に来たのだから、多少の日本語は使ってみたいはず。また、第一声を日本語で発すれば、日本人とアジア系の外国人を間違えるミスを防ぐこともできる。

同時に「トラブルになりそうなことには、あらかじめ対応しておきましょう」と村山氏。外国人客で多いトラブルは「お通し」とドリンクなどの「持ち込み」関連。店頭のポスターなどで入店前に絵で示したり、店内でも最初に説明するとよい。ぐるなびの「おもてなしツール」のような、英語をはじめ多言語で、それらの内容を明記したシートを用意しておくと、スマートに案内できるはずだ。

また、メニューに写真をつけたり、番号を振ってオーダーしやすいようにすることも大切。食材と調理法を明記した外国語メニューがあれば、外国人は安心して利用でき、店にとっても説明する負担が軽減される。

こうしたツールを用意すれば、語学力がなくても一通りの接客は可能。だが、「飲食店で必須の会話は多くないので、必要最小限の外国語のフレーズは、ぜひ学んでほしい」と村山氏は言う。英語はもちろん、中国人客が多いエリアや店なら中国語のフレーズを最小限でも覚えておくと、選ばれる可能性はぐっと高くなる。「できれば、ネイティブを講師にロールプレイングをしておくと、外国人客の接客に自信がつき、苦手意識の克服にもつながります」(村山氏)。一方、例えばフランス語など、比較的使用頻度が少ない言語は自動翻訳機などを使ってもよいだろう。

さらに、外国人にとって座り慣れない座敷席は敬遠されがち。掘りごたつやイス席を用意したい。カトラリーは、和食であれば箸を基本にし、リクエストに応じてフォークなどを渡せる用意をしておこう。

そのほか、外国人に喜ばれるサービスの1つが写真の撮影。特に料理長など日本の職人との記念写真が好評だ。

KEYWORD2「販促」

店頭販促で入店のハードルを下げ、Webで店舗情報を発信する

インバウンドに向けた販促で、村山氏が勧めるのが「店頭販促」。ホテルや観光施設、交通手段は訪日前に検討し、決定・予約することが一般的なのに対し、飲食店は訪日後に現地で探すケースが少なくない。訪問先を歩きながら、食べたいものや店を探すのは、日本人も外国人も共通する行動パターンだ。

「まずは、店の前を歩いている外国人の目に留まるように、ポスターや看板を工夫しましょう」と村山氏。例えば、「WELCOME」と英語や中国語などで書いたポスターや看板を店頭に置くだけで、外国人の入店への心理的なハードルはぐっと下がる。それに加えて、多言語メニューを用意していることを知らせたり、キャッシュレス決済に対応していること、世界最大級の旅行に関する口コミサイト「トリップアドバイザー」などのグローバルサイトに情報を掲載していることなどがわかるように、それぞれのロゴやステッカーを貼っておくと、さらに安心感が増し、入店しやすくなる。しかも、こうした店頭販促は、ほとんど費用をかけずに、今すぐ取り組むことができることばかり。効果も高いので、チャレンジする価値は十分にある。

また、「Web販促」ももちろん重要。自店のホームページを多言語化したり、外国人がチェックしているWebサイトに情報を掲載すれば、効果が期待できる。例えば、先ほど紹介した「トリップアドバイザー」、店舗の情報や写真をGoogleの検索結果やGoogle Map上に表示できる「Googleマイビジネス」、訪日外国人向けの観光情報サービス「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」なども利用したい。「トリップアドバイザー」と「Googleマイビジネス」は、経費をかけずに情報を掲載でき、「LIVE JAPAN」では空席情報などを発信することもできるため、ぜひ活用しよう。

そのほかにも様々なプラットフォームがあるので、自店のエリアに来る外国人がよく利用しているサイトを調査し、利用を検討してほしい。

KEYWORD3「体験」

和食は世界的ブーム。“日本ならでは”の食体験が重要!

訪日外国人の目的は“モノ”から“コト”へと本格的に移行し、定着した感がある。なかでも「世界的な和食ブームを背景に、日本での食体験は外国人に非常に人気のあるコンテンツの1つ」と村山氏は指摘する。純粋な食体験でもキーワードは「日本ならでは」。寿司や天ぷらなど定番の日本料理だけでなく、その地域ならではの食材を使ったり、特に地方では、その土地だからこそ楽しめる食体験が喜ばれている。

例えば、居酒屋では地元産の食材を使った料理や、その土地の歴史や文化が反映された郷土料理が好まれており、フレンチでも日本人シェフが日本の旬の食材を活かした料理を提供する店に、季節ごとに通う外国人客もいるという。

もちろん、握り寿司体験や豪快な職人の技が体感できるマグロの解体ショーなどは根強い人気があるが、「トリップアドバイザー」がまとめた「外国人に人気の日本の体験・ツアーランキング」(2020年度版)によると、料理教室やラーメンツアーなど、食に関するツアーもトップ30にランクインしており、プラン作成のヒントにしたい。

そのほか、焼鳥やお好み焼き、たこ焼きといった日本ならではの食や肉じゃが、味噌汁など家庭料理への関心も高まっており、「きれいに作り込む日本の弁当も注目のコンテンツ」(村山氏)という。外国人が体験したい料理の幅は予想以上に広がっており、例えばアイドルタイムに料理教室や弁当作り体験を行うなど、工夫次第でどんな業態の飲食店にも大きなチャンスがあると言えそうだ。

「会計」「SNS」「予約」のポイントは?

KEYWORD4「会計」

キャッシュレス決済の導入は必須。購買額がアップする傾向も

日本のキャッシュレス化は海外に比べて遅れていると言われている。特に個人経営の商店や飲食店で遅れが目立ち、クレジット対応をしていないために機会損失している例も少なくない。村山氏は「インバウンド市場でも、キャッシュレス決済の重要度は確実に増しています」と断言。「政府がキャッシュレス化推進のために補助金などを交付している今が、導入の好機」と語る。

利便性を考えればキャッシュレス化は必須。一方で、手数料や端末代金によるコスト増を心配する店もあるが、それを上回るメリットが期待できるはずだ。日本クレジットカード協会が2016年に東京・浅草の仲見世商店街で行った調査では、クレジットカード支払いにおける1人あたりの平均購買金額は、現金支払いの1.6倍にのぼった。キャッシュレス決済によって非計画購買、つまり衝動買いがしやすくなったと考えられる。飲食店でも、財布の中身を気にせずにメニューを選べる気安さから単価アップにつながる可能性は高いといえそうだ。

では、様々なキャッシュレス決済サービスの中から、どれを選べばよいのだろうか。欧米人はクレジットカード決済が多く、中国人はQRコード決済の「Alipay」「WeChatPay」の利用が多いなど、国やエリアによって主要な決済方法に特徴があるので、自店の周辺にどこの国・エリアの人が多いかを軸に考えるとよい。まずは導入し、選ばれるための土俵に立つことが大切だ。

KEYWORD5「SNS」

口コミやレビューの効果は絶大。投稿を促し、自店のSNSも活用

今やSNSの口コミは宣伝手段の1つとして定着。特にインバウンドでは、SNSによる口コミは絶大な効果がある。「だからこそ、インバウンドの受け入れ環境を整え、来店客に魅力を感じてもらうことが重要。その魅力がSNSで拡散されると、とても強い集客力につながります」と村山氏。SNSでの拡散がきっかけで、メディアに注目される例もある。

「まずは、来店客に店で撮影した写真や体験したことを自身のSNSに掲載してもらうことや、口コミサイトにレビューを投稿してもらうことを、気軽にお願いしてみましょう。予想以上に快く応じてくれるはず」と村山氏。もちろん、SNSに載せたくなる“動機付け”が大切で、魅力的な写真や動画が撮れるようなポイントを設けるとよいだろう。

同時に、店のSNSを充実させて、フォロワーを増やすことも有効だ。まず、来店客に店のSNSのアカウント情報を案内して、フォローしてもらえる環境を作ることから始めるとよい。ただし、「店のアピールだけでは、継続的にフォローしてもらうのは難しい」と村山氏。「フォローしたくなる有益なコンテンツを発信し続けることが肝心です」とアドバイスする。

例えば、お好み焼き店では、お好み焼きの焼き方をわかりやすく動画で撮影し、SNSにアップ。外国人が来店した際にその動画を見せれば、言葉では伝えにくい情報がひと目でわかるだけでなく、店のアカウントをフォローし、その動画を拡散してくれることもある。つまり、「見て楽しく、日本の食に関する学びにつながる写真や動画を発信すると、フォロワーが増え、拡散してくれる可能性が高まる」(村山氏)といえる。

これらは、さほどコストをかけずにできる取り組みだが、予算があるようなら、影響力のあるブロガーやインフルエンサーを店に招き、SNSで店を紹介してもらうことも、外国人客の起爆剤の1つとして有効だ。そのほか、比較的安価なSNSの広告を利用する方法もあるので、トライアルの1つとして検討してみてもよいだろう。

KEYWORD6「予約」

ネット予約が主流に。事前決済も可能でノーショウ対策にも

外国人が飲食店を予約するとき、電話では言葉の壁が立ちはだかる。ホテルのコンシェルジュに予約の電話を入れてもらうこともできるが、近年はネット予約が増加。電話と違って、言葉のストレスを外国人客、店舗の双方で軽減できるところがネット予約の大きな利点。「今後もネット予約の利用は伸びていくと考えて間違いないでしょう」と村山氏は語る。

外国人客のネット予約に対応するためには、自店のホームページにネット予約機能を持たせることも1つの方法。だが、有名店以外は効果が不透明なので、外国人がよく見るネット予約サイトに掲載したり、「ぐるなび外国語版ネット予約」(下記参照)などを活用することが近道だ。

また、ネット予約では事前決済が可能なサイトもある。利用客にとっては予約から決済までをオンラインで一括処理でき、店にとっては確実なノーショウ(無断キャンセル)対策になる。

さらに、ネット予約の際にアレルギーやハラール(ハラル)、ベジタリアン、ヴィーガンなどの食習慣や禁忌を事前に把握できるようにすれば、来店時の対応もスムーズだ。今後、訪日外国人の食習慣が多様化することは確実なので、こうした配慮も検討したい。

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