タンしゃぶ亭
広島・流川/薬研堀 しゃぶしゃぶ
広島市随一の歓楽街、流川・薬研堀エリアにある、全席個室の牛タン専門店「タンしゃぶ亭」は、オーナーの長野淳一氏が一念発起し、勤務していた名古屋コーチン専門店を引き継いで2019年11月にリニューアルオープンした店だ。プレスリリースの配信やSNS広告などを積極的に活用した結果、テレビなどで数多く取り上げられ、開店翌月には業態変更前の3倍まで売上が伸長。接待などコース需要が全体の7割を占め、その後も順調に業績を伸ばしていたが、新型コロナの感染拡大によって急ブレーキがかかった。
「影響が出始めたのは3月中旬頃から。それでも3月中はまだよかったのですが、4~5月にはキャンセルが相次ぎ、売上は9割減まで落ち込みました。そのため、自治体の自粛要請を機に営業時間を20時までに短縮したのを受け、売上確保のために行ったのがデリバリーです。立地の特性上、昼間の人通りはあまり見込めないためランチのテイクアウトは考えず、昼夜通してのデリバリーに特化し、すぐに複数の宅配業者を利用して始めました」(長野氏)。こだわったのはスタッフを増やさず、オペレーション全体に負担をかけないこと。デリバリー専用に開発した『牛タン炙り重』(1280円~)は、店内で提供するしゃぶしゃぶ用の牛タン同様、スライスされた状態で仕入れたものを使うことで、極力ロスを出さず、調理も簡素化できる商品に仕上げた。「周辺には安いお弁当をテイクアウト販売するお店もありましたが、安売りはしないと決めていました」と長野氏。味と質を追求することで人気を集め、月間100万円ほどを売り上げた。
5月後半以降は、常連客を中心に客足が戻り、全室個室という利点を生かして3月の売上を超えるまでに回復。7月下旬の段階では連日満席の状況が続き、そこにデリバリーの売上が加わることで、一時の厳しい状況は完全に脱しつつある。「それでも今後は、新型コロナの感染拡大がいつ再燃してもおかしくない状況が続きます。ですので、さまざまな商品と販売チャネルを持ち、売上の最大化に取り組もうと考えています」(長野氏)。デリバリーの継続に加え、現在、牛タンしゃぶしゃぶセットや地元イタリア料理店とコラボしたハンバーグなどの通信販売を準備中。さらに、百貨店の催事などにも積極的に出展する予定だという。今年秋にはデリバリーの専門業態、いわゆる“ゴーストレストラン”の立ち上げも視野に入れるなど、新たなチャレンジを続けていく考えだ。
広島県広島市中区薬研堀2-3 2F
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