更新日:2024.9.20
目次
1.見た目も豪華な「馳走箱」が人気
蕎麦酒房と懐石料理 一献 庵(愛知・豊田)
2.県産品の開発にも着手
ポレポレ(山口・宇部)
3.セットメニューをECでも販売
近江黒鶏とワインバル Jidoriya(滋賀・草津)
4.本格焼肉を家で手軽に楽しめる
焼肉酒家 李苑(東京・新宿)
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1.懐石料理を気楽に自宅で! 豪華な「馳走箱」が人気
蕎麦酒房と懐石料理 一献 庵(愛知・豊田)
店の強みと特徴を生かしたテイクアウト販売が好調
2019年にリニューアルオープンした、愛知・豊田の「蕎麦酒房と懐石料理一献庵」。「カジュアルに蕎麦や一品料理を楽しんでもらう居酒屋と、静かな個室で堪能してもらう懐石料理、両方が融合する店を目指しました」と話すのは、フレンチ出身で現在は蕎麦打ちもこなす、代表取締役の野村政史氏。客層の中心は40~50代で、土地柄、自動車関連企業のビジネス層から近隣のファミリーまで、幅広く親しまれている。
テイクアウトを始めたのは今年4月初旬。「コロナの影響で企業の宴会予約がほとんどなくなったので、すぐに動きました」と野村氏。4月中旬にはランチの日替わり定食を弁当にした「大将の一押し弁当」(935円)を販売。家族の夕食用や、宴会などで利用してくれていた企業からの予約が、電話やSNSを通じて入ってくるという。続けて、家飲みやパーティー需要を取り込もうと、「オードブル」(2~3人前2200円~)もスタート。「『洋食の肉料理をメインにボリューム重視』や『魚中心でヘルシーに」など、料理へのさまざまなリクエストに全て応えています」と野村氏は話す。
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揚げた蕎麦生地をさらに焼き上げ、パリパリの食感にした「蕎麦ピザ」(550円)など、一品料理のテイクアウトも豊富 -
弁当・オードブルのほか、丼物や揚げ物など多彩なメニューがテイクアウト可能。店内ではチラシでアピールしている
さらに、4月後半には自慢の懐石料理を折箱に入れた「馳走箱」(2人前3300円~)も開始。旬の食材を使った約20品が詰め込まれ、メニューは月替り。8月は伊勢エビ酒蒸し、アユの風干し焼き、アワビバター焼きのほか、愛知県産鴨のロースや南瓜蕎麦揚げなど、店の特色を生かした料理が見た目も鮮やかに盛り込まれる。「懐石料理を自宅で気軽に楽しんでいただき、店の味を知ってもらうという狙いもありました」(野村氏)。その狙いが当たり、日常使いの居酒屋として店を利用していた常連が、記念日用に注文したり、友人・親族のお祝いのプレゼントとして購入することが多いという。また、来店時にお土産として持ち帰る人もいて、売上アップにつながっている。
「一献庵」ではコロナ以前、月1回のペースで「日本酒友の会」と題した店内イベントも開催していたため、リピーターの中には日本酒ファンも多い。そこで現在、「馳走箱」に合う季節の日本酒セット(1合×3本セット1980円)を、ペアリングで提案。客単価アップに一役買っている。
「年末には、蕎麦屋ならではの出汁を使った鴨鍋や、アッパー層をターゲットにしたフグ鍋など、鍋セットのテイクアウトを考えています」と野村氏。さらに、「馳走箱」も年末年始バージョンを検討している。現在、テイクアウトの売上は全体の約20%。今後は自社サイトを立ち上げ、電話や個人のSNSで受け付けていた注文をオンラインで予約できるようにすると共に、情報発信を強化していく考えだ。
愛知県豊田市桜町1-63 シングルプレイス1F
https://r.gnavi.co.jp/n889402/
2.年末に向けてEC販売や県産品の開発にも着手!
ポレポレ(山口・宇部)
地元の店や市と協力して、お弁当プロジェクトを実施
店名の「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」の意。大小の個室を備え、アジアンリゾートをテーマにしたダイニングだ。店内は高級感もあり、くつろげる雰囲気だが、「接客は居酒屋風に熱くがモットー」と、代表取締役の富岡英雄氏。地元で採れる新鮮な野菜とグリル料理が自慢で、家族の記念日や接待などを中心に順調に集客してきた。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、店内営業を約2カ月休業。そんな中、以前にも弁当や正月のおせちなどを販売したことがあったため、その経験を生かし、緊急事態宣言発令後ほどなくして、本格的にテイクアウトを開始した。「自分の店だけでなく、地域の飲食店全体がコロナに負けないことが大切」と考えた富岡氏は、山口・宇部市の協力を得て、市内の飲食店が自店の弁当を市の施設に持ち寄って販売する「お弁当プロジェクト」を発足。これが2週間で8000食を売り切る大盛況で、その後も市内のスーパーマーケットで弁当を引き続き販売し、好評を博した。富岡氏は「飲食店が食材にこだわって手作りする弁当のおいしさを、広く伝えることができたのではないか」と手応えを語る。
こうした活動と並行して、富岡氏は店のテイクアウト販売をブラッシュアップ。自社ホームページから24時間予約注文できるシステムを構築し、最初は弁当3種類とオードブルから始め、徐々にカレー、鴨のコンフィなど、メニューを充実させていった。店内営業再開後は、イートインとテイクアウトの注文が重なり、オペレーションがうまく回らないことも懸念されたが、「テイクアウトのニーズは今後も続く」と確信した富岡氏は、メニューを整理してテイクアウト販売を継続。現在、「店の売上全体の10%程度がテイクアウト」(富岡氏)で、リピーターが着実に増えているのはもちろん、弁当購入をきっかけに「ポレポレ」を知り、来店につながるケースもあるという。
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自社ホームページで、テイクアウトの予約注文を24 時間受付。自社で米も作っており、飲食店の手作りのおいしさを発信し、弁当、オードブル、一品料理などを販売している -
記念日用の「お祝いオードブル」として、写真入りのメッセージカードが無料で付くサービスも実施中
年末に向けては、まず自宅やオフィスでの忘年会を想定し、宴会用のオードブルをより充実させたいと考えている。また、店の料理を真空パックのレトルトなどにして、スーパーやWebで販売することも視野に入れる。加えて、「店での忘年会が無理なら、こちらから出向く」(富岡氏)と、企業などへのケータリングも計画。さらには、ワタリガニ、ハモ、フグなど山口県の特産品を使った加工品の開発にも着手し、県産食材の発展と地元の活性化にも取り組んでいる。「外食は中食に押され気味でしたが、流れは大きく変わっており、今は逆襲のチャンスでもある」と富岡氏。飲食店のスキルと熱意を集め、さらなる飛躍を目指す。
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「タイ風グリーンカレー」(760円)。ココナッツベースで辛みが効いており、カレーと野菜の鮮やかな彩りが食欲をそそる一品 -
9月1日から「ドライブスルー」も開始。テイクアウト購入者が店の駐車場に到着したら、注文品を車まで届けるサービスで、感染防止と利便性の向上を図る
山口県宇部市松島町16-26
https://r.gnavi.co.jp/kagyv49t0000/
3.セットメニューをEC販売。家飲みやパーティー需要を獲得
近江黒鶏とワインバル Jidoriya(滋賀・草津)
新たにテイクアウトのほか、オンラインショップも開設
2015年5月オープンの「近江黒鶏とワインバル Jidoriya」は、JR草津駅から徒歩3分の場所に立地。1階はカウンターとテーブル席、2階には最大40名に対応する広々とした空間を備える。当初は、女性が1人でも来店しやすい“鳥バル”がコンセプトだったが、実際に営業を始めると30~40代を中心としたビジネス層が宴会で利用することが多く、現在、客層の男女比は半々となっている。
今年4月中旬には、コロナの影響で1週間ほど休業。営業を再開するタイミングで弁当販売を始め、その後、本格的にテイクアウトをスタートした。姉妹店(現在は休業)でピザの持ち帰りに対応していたためノウハウもあり、人気の「マルゲリータ」(900円)のほか、「自家製ローストビーフ」(600円)や「エビときのこのアヒージョ(バゲット付き)」(700円)など一品料理も豊富に提供し、売れ行きは順調だ。また、自宅でも“非日常”を感じてもらいたいと、名物の「自家製かしわの丸焼き」(ハーフサイズ900円)が付く「ホームパーティーセット」を3000円~用意。近隣に住むファミリーを中心にニーズを捉えている。
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定番の「エビときのこのアヒージョ」はテイクアウトでも人気。バゲットが付くのもうれしい -
ショップカードにもオンラインショップのQRコードを記載し、滋賀の食材を使ったメニューをアピール
「以前から、これからの飲食店は店に来てくれるお客様だけでは生き残れないと思っていました」と、代表の前川稔幸氏。そこで、このタイミングは新しいことに挑戦するよい契機と考え、初期費用などが無料のオンラインショップも複数開設した。飲食店を対象にした補助金で真空パックにできる機械を購入し、「近江黒鶏こだわりの串30本セット」(6480円)や「人気のピザ6種セット」(5980円)、「お家で洋風居酒屋メニュー」(4980円)などの販売を開始。さらに、地元産品を使ったメニューの一部が自治体の補助金の対象となり、割引価格で提供できたことからも販売数が増加したという。
「長期的な視野に立つと、最も力を入れたいのは通販です。クリスマスのチキンのセット商品をはじめ、今後は家飲みや自宅BBQ、キャンプなどの需要にも応えられるよう、セットメニューをさらにブラッシュアップしていきたい」と、前川氏はどこまでも前向きだ。
滋賀県草津市大路1-15-36
4.本格焼肉を家で手軽に楽しめるセットが好評
焼肉酒家 李苑(東京・新宿)
SNSのハッシュタグでも「おうち焼肉」をアピール
東京・新宿の花園神社。そこからほど近い明治通り沿いのビル地下にある「焼肉酒家李苑」。A5ランクの宮崎牛をはじめ、厳選された和牛を手頃な価格で味わえ、ビジネス層を中心にリピーターを獲得している。4月の緊急事態宣言発令後、一時休業したが、5月上旬に営業時間を短縮して再開。併せて、焼肉弁当のテイクアウトやデリバリーにも力を入れてきた。
テイクアウト・デリバリーメニューの開発に着手したのは、昨秋にさかのぼる。代表の菅在根氏は、以前に弁当店を経営していた経験があり、そのノウハウを活用。「年明けから複数の宅配業者を利用し始め、お客様への告知も重ねてきました。そのため結果的に、コロナ禍でもスムーズにテイクアウトやデリバリーに軸足を移すことができました」と説明する。上カルビ弁当(1680円)が売れ筋で、キムチやチヂミなどのサイドメニューも用意している。
さらに、コロナで打撃を受けた旧知の畜産農家を支援するため、卸先を失っていた肉をまとめて仕入れ、店舗休業中からWebでの販売をスタート。部位ごとに下味を付けて店で真空パックし、自家製のタレとセットにして発送する「BBQセット」などを3000円台からそろえた。すると、自粛中に家で焼肉を楽しみたいという需要を捉え、特に1万円のセットに人気が集中。帰省できない代わりに両親へ送るケースも多かったという。「量は少なめでいいので良い肉が食べたいとの声もあり、新たに高級焼肉セットを用意するなど、内容をブラッシュアップしています」と菅氏。SNSでは「#おうちで李苑」「#おうち焼肉」などのハッシュタグを付け、店の味を自宅で楽しんでもらえるよう、認知度を高めている。
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通販の焼肉セットには、家庭でおいしく味わうためのホットプレートの温度や焼き方のコツなど、説明書きを同封する -
通販商品として肉の部位やグラム数を変えたBBQセットを用意。「量を重視」「質を重視」の両方のニーズに応える
年末にかけて、例年並みの客足の回復が見込めない分、引き続きデリバリーや通販を重要視する。それぞれのニーズや用途を深掘りし、商品ラインナップをさらに拡充させていく考えだ。また、黒毛和牛のステーキ用肉を木箱に入れたセットなど、贈答用のニーズを狙った新商品の開発も進めている。
東京都新宿区新宿5-18-16 shinjuku5-1 ビルB1
https://r.gnavi.co.jp/czp901fe0000/
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