インバウンド獲得対策の今─ vol.3
商品クオリティとサービス力の追求で日本の印象度アップにも貢献!
来店客の約20%が外国人客。販促や口コミの効果を実感
毎朝直送される松阪肉や、独自のルートで仕入れる上質の海鮮を和食器に豪快に盛り付けて提供する東京・新宿の「六歌仙」。かゆいところに手が届く気遣いも来店客の満足度を高め、予約の取りづらい人気店だ。そして今、訪日外国人観光客(インバウンド)憧れの焼肉店としても、熱い注目を浴びている。
オープンは1986年。客単価8000円という高級業態だが、1998年頃からは、要望の多かった食べ放題コースを設定。2000年頃になると、日本観光のハイライトとして、「六歌仙」での食事が組み込まれるツアーが増加し、タイ、香港、台湾をメインに、シンガポール、ミャンマー、欧米などから多くの外国人客が来店している。
「特に2008年のリーマンショック以降は、積極的にアジア諸国からの観光客の集客に取り組んでいます」と語るのは、代表取締役の礒見幸成氏。過去には現地の旅行会社へDMを発送したこともあったが、基本的には来店した団体客の窓口である、在日外国人のツアーガイドと密なコミュニケーションを図り、集客につなげてきた。また、実際に来店してからは、ハードな観光スケジュールで疲れているのかどうか、グループ内に優先してもてなしたほうがよい人がいるのかなど、来店客をよく“観察”することで客側の視点に立ってサービスを提供。宗教による食材の問題、母国の調味料の持ち込みなどに対しても柔軟に対応してきた。そうした心のこもった接客により、次第に口コミでの評判も広まった。現在では現地から直接ファクスやメールで予約が入るようになり、外国人客の来店が全体の約20%(予約ベース)と、手応えをつかんでいる。
「外国人観光客の方々は、総じて客単価が高く、1組当たりの人数も多いですね。また、3カ月以上も前から予約が入ることも珍しくありません」と礒見氏。夕食のピーク時間に入れない場合は、ランチタイム(12~16時)や深夜の来店を希望する客もおり、売上アップにも貢献している。
さらに、ここ数年の傾向として、「フェイスブックなどのSNSで盛んに情報交換が行われるようになり、店の雰囲気やメニュー内容を事前に熟知している方が驚くほど多いですね」と礒見氏。そして、「漠然とした期待ではなく、明確な目的を持って来店されるお客様が明らかに増えています」と、分析する。
そんな外国人客の期待がもっとも高い商品が、松阪牛だ。「今、外国人観光客が求めるものは、日本人にも評価が高い料理です」と礒見氏。年間来店数がもっとも多いタイ人は、焼肉とタラバガニが食べ放題の「雪の宴」(6500円)に加え、単品で松阪牛を注文することが多く、松阪牛食べ放題の「松阪の宴」(2万1000円)コースも人気だという。
スタッフへの特別な外国語研修などは実施していないが、3年程前に外国語のメニュー表を用意。全メニューを翻訳したものではなく、各食べ放題プランの内容を訳したものだが、タイ語や中国語など、数カ国のバリエーションを用意して対応している。「外国人のお客様にとって、初めての焼肉かもしれないですし、初めて接する日本人かもしれないと常に意識して接客しています」と語る礒見氏。スタッフ全員で精一杯のおもてなしを心がけている。
今後の課題は、「おいしさ・サービスという飲食店の本質を徹底的に突き詰めること」と、礒見氏。「飲食店の印象が日本の印象を決めると考え、高い志で臨んでいきます」と、力強く語った。
東京都新宿区西新宿1-3-1 サンフラワービル6・7F
http://r.gnavi.co.jp/g061900/
インバウンドとは?
「海外から日本へやってくる外国人観光客」のことを指します。国土交通省を中心に展開される「ビジット・ジャパン」事業(2003年~)などにより、2012年には837万人もの外国人観光客が訪日。今後も増加が予想されるインバウンドの獲得対策は、飲食店にとって重要な課題のひとつだ。
初開催! “日本のファン”作りの第一歩。シンガポールとタイでJAPANESE RESTAURANT WEEK開催!
居酒屋からファストフードまで、近年、数多くの日本の飲食店が海外進出を果たしているシンガポールとタイで、「JAPANESE RESTAURANT WEEK」が開催された。これは現地のレストランと観光庁、ぐるなびが取り組んでいる日本のファン作り、および訪日促進のためのイベントで、初めての開催となる。「日本食に触れて、『日本に行ってみたい』を醸成する」というコンセプトのもと、参加した日本食レストランを統一デザインのポスターや卓上スタンド等で飾り、日本行きの航空券からオリジナル手ぬぐいまで、様々な賞品が当たるキャンペーンを行った。
シンガポールでの開催は9月12日~10月1日。57店舗が参加し、店内には日本の「食」に関連したパンフレットが並ぶスタンドも設置された。
一方、タイ・バンコクでは9月1日~8日にかけて、25店舗が参加して実施。また、8月31日、9月1日には2006年から毎年実施されている、セントラルワールドスクエアで開催された日本文化を紹介するイベント「JAPAN FESTA in BANGKOK」にてオープニングイベントもあり、日本人シェフとタイ人シェフの巻き寿司対決などで盛り上がった。
これからもぐるなびでは様々なかたちで、日本の食文化をきっかけに、訪日外国人観光客の増加を促進する施策を行っていく予定だ。
ぐるなびによる訪日促進サイトJapan Trend Ranking
「行ってみたい日本、もう一度行きたい日本へ」をコンセプトに、ぐるなびが2013年4月25日に開設した、日本の今の魅力を伝えるWebサイト。
全国50万件の飲食店情報と、全市区町村の生産者とのネットワーク、約2万人のシェフのコミュニティを有するぐるなび独自の“本物の情報”を駆使し、海外や外国人に対して正しい日本食や食文化を理解してもらうことにより、結果として日本の外食文化の健全な発展、そして海外における“日本のファン”作りを狙い、訪日外国人観光客の拡大を目指していく。
■会員(登録無料)になることで様々なキャンペーンへの参加が可能。サイトの随所に「ぐるなび外国語版」への誘導口を設け、店舗ページの閲覧を促進。
■日本の伝統料理やご当地グルメのほか、名所旧跡、温泉、文化・芸能や、ショッピング、四季のイベントなど、日本全国の最新トレンドをランキング形式で紹介。
ご存知ですか?増加するインバウンド対策には詳細情報を発信可能な「ぐるなび外国語版」!
外国人客の来店を促進する販促と、外国人を受け入れる体制整備を両立する「ぐるなび外国語版」。店舗ページを英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)に対応させ、店の売りや特徴をアピール。PC・スマートフォンにも対応する。また、受け入れ体制の整備として、店舗ページのメニュー情報をプリントアウトするだけで簡単に外国人客用のメニューにすることができるほか、接客に不可欠な会話を前述の4言語・字体でサポートする「指差し会話集」も手に入る。内容や掲載に関する詳細は、ぜひ担当営業に問い合わせを。