インバウンド獲得対策の今─ vol.10
「日本の印象を左右するのは飲食店」と意識、店頭の外国語版メニューなどで積極的に集客!
わかりやすい料金体系と細やかな接客が好評
国際的な観光都市、京都の中でも特に飲食店が集中し、観光客も多く賑わう木屋町・先斗町エリアの南側に、1998年オープンした京料理の店「きた山 本店」。初夏になれば、京の夏の風物詩である納涼床が並び、鴨川にかかる四条大橋や東山の峰々が広がる風景を見渡せるのも、地元ビジネス層や観光客に人気が高く、外国人観光客(インバウンド)の来店が急増中だ。
近年は、台湾を中心に、欧米からの来店客も多く、店主の仙波俊雄氏と女将の髙岡由紀氏は、「京都の飲食店には、日本を印象付ける重要な使命があると意識してきました」と、外国人観光客に向けて、京料理と日本文化のアピールを心がけてきた経緯を語る。
とはいえ、店主・女将ともに、英語が堪能なわけではない。髙岡氏は、「例えばツアーのガイドさんのように、お客様の中に通訳ができる方がいない場合は、十分なサービスを提供できない不安があり、以前は不本意ながら来店をお断りしていました」と振り返る。
転機は昨年末。「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、日本の食文化に注目が高まるのを受け、「もっと外国人観光客に日本を知ってもらい、日本の印象を向上させたい」と決意。ぐるなび外国語版に加盟するとともに、今年の春には4カ国の外国語版メニュー(台湾/繁体字、中国/簡体字、韓国語、英語)を作成した。さらに、店頭にも外国語版メニューを提示し、納涼床のシチュエーションや、旬の海鮮や湯葉・豆腐・生麩を使う美しい京会席、秘伝の出汁で作る京鍋などをアピール。日中、店の前を通った外国人観光客がディナーの予約をしていくことも多く、コンスタントに外国人観光客の予約を獲得できるようになった。「注意したのは、オペレーションに混乱がないよう、アラカルトの提供はせず、外国人観光客に対しては、『京ゆば雑炊膳』『京とうふ鍋膳』(各2200円)のセット2種と、『鴨川ごはん』などの4種のコース(3000~5600円)に絞ったことです」と髙岡氏。オーダーはメニューの指差しによってやりとりし、最初の注文時には、注文された品の単価に人数分をかけた合計金額を紙に書いて確認もする。料理の内容に関しては、ベジタリアンに柔軟に対応するほか、韓国からの客には率先して一味などの調味料も提供している。
また、外国人観光客には女将の着物での接客、一緒に映る記念撮影、「サンキュー=おおきに」などの簡単な京都弁のレクチャー、お土産に渡すあぶらとり紙や千社札などが、「旅の思い出に残る」と喜ばれ、「今回の試みで、私たちにできる範囲のサービスだけでも、意思は伝わると実感しました」と、仙波氏は手応えを語る。日本政府観光局(JNTO)の調査によれば、2014年1~4月はすでに約410万6千人の外国人観光客が訪日(前年比29.2%増)。今後も増加が予想される外国人客の顧客満足を追求すべく、一層魅力ある店づくりを目指していく。
京都府京都市下京区西石垣通四条下ル斎藤町140-6
http://r.gnavi.co.jp/k372300/
インバウンドとは?
「海外から日本へやってくる外国人旅客」のこと。国土交通省を中心に展開される「ビジット・ジャパン」事業(2003年~)などにより、2013年には過去最高の1,036万4千人もの外国人が訪日(日本政府観光局[JNTO]発表)。これまで過去最高であった2010年の861万1千人を上回り、1964年の統計以来、初めて1,000万人を突破した。今後も増加が予想されるインバウンドの集客対策は、飲食店にとって重要な課題のひとつだ。
データでCHECK!
京都市の宿泊外国人客数は台湾がトップ!(2012年)
京都市における2012年の年間宿泊外国人客数は、対前年比64%増で約84万5,000人。格安航空会社(LCC)の関西空港直行便の新規就航等の影響により、台湾や香港など東南アジアからの外国人客が増加する傾向が見られた。
京都市の宿泊外国人の割合(2012年)
京都市宿泊外国人客数(2012年)
Information
受講無料 ぐるなび大学でインバウンド対策セミナー好評開催中!
近年、増加の一途をたどる訪日外国人観光客(インバウンド)。2013年は過去最高の1,036万人となり、初めて年間1,000万人を突破した(日本政府観光局[JNTO]発表)。
今後もさらなる増加が期待される中、ぐるなび大学ではインバウンドの集客対策として、「インバウンド対策セミナー」を各地で開催。インバウンドの現状、集客するためのポイントや「おもてなし」をする上での注意点を伝えるとともに、実際に外国人観光客が来店したときの対応について学ぶ内容になっている。ぜひこのセミナーを活用し、インバウンド受け入れ準備につなげていただきたい。
開催スケジュール
※参加無料。対象はぐるなび加盟の飲食店様となります。
※時間は各エリアとも午後を予定。詳細はWebもしくは電話でお問い合わせを。
- 問い合わせ先:ぐるなび大学事務局
-
0120-41-9672
受付/平日10:00 ~18:00 - URL:http://daigaku.gnavi.co.jp
Event Report
2020年に向けて外国人観光客を呼び込む!「おもてなしセミナー」が5月19日に開催
5月19日(月)、東京・千代田区の東京商工会議所ビルにて、「おもてなしセミナー」が開催された。これは、東京五輪開催の2020年に向け、今後さらに増加が期待される外国人観光客に対して、東京都とぐるなびからゲストスピーカーが出席し、自社(参加者)の売上向上につながるための方策を共有するもの。
プログラムは2部構成で行われ、まず東京都から、観光産業に対する支援施策を説明。その後、ぐるなびからはぐるなび大学の講師が「外国人旅行客をおもてなしするポイント」をテーマに、事前の準備や、来客時の対応、外国人の集客のポイントなどを、アンケートデータや実際の飲食店の事例を使って紹介した(写真)。当日は飲食店関係者をはじめ、観光関連事業者らが100人以上出席。熱心にメモをとる姿や、交流会では積極的に意見を交わす様子が見られ、外国人観光客の集客対策は目の前にある課題であることがあらためて印象に残る会となった。
ぐるなびによる訪日促進サイトJapan Trend Ranking
「行ってみたい日本、もう一度行きたい日本へ」をコンセプトに、ぐるなびが2013年4月25日に開設した、日本の今の魅力を伝えるWebサイト。
全国50万件の飲食店情報と、全市区町村の生産者とのネットワーク、約2万人のシェフのコミュニティを有するぐるなび独自の“本物の情報”を駆使し、海外や外国人に対して正しい日本食や食文化を発信。それを理解してもらうことにより、結果として日本の外食文化の健全な発展、そして海外における“日本のファン”作りを狙い、訪日外国人観光客の拡大を目指していく。
■会員(登録無料)になることで様々なキャンペーンへの参加が可能。サイトの随所に「ぐるなび外国語版」への誘導口を設け、店舗ページの閲覧を促進。
■日本の伝統料理やご当地グルメのほか、名所旧跡、温泉、文化・芸能や、ショッピング、四季のイベントなど、日本全国の最新トレンドをランキング形式で紹介。
訪日外国人観光客のための「コンシェルジュサービス」も実施!インバウンド対策には詳細情報の発信が可能な「ぐるなび外国語版」!
インバウンド(訪日外国人観光客)の受け入れ環境整備は、飲食店の急務。ぐるなびでは、そのサポートの一環として「ぐるなび外国語版」を開設している。
トップページは英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)、タイ語、マレー語、インドネシア語に対応し、店舗ページでは売りや特徴をアピール。また、店舗ページのメニュー情報をプリントアウトするだけで、簡単に外国人用のメニューとして使用できる。2013年には特集の掲載のほか、コンシェルジュサービス(※1)がスタートするなど、ユーザーの使い勝手も高まっている。
ぜひ「ぐるなび外国語版」の導入を検討してみてはいかがだろうか。内容や加盟特典に関する詳細は、担当営業またはサポートセンターまで。
※1「 コンシェルジュサービス」
日本語を話せない「ぐるなび外国語版」ユーザーのために、予約専用ダイヤルを設置。ぐるなびの外国人スタッフが直接要望を聞き、日本語で希望店舗への予約を代行するサービス。また、メールでの問い合わせ専用フォームもあり、ぐるなびに蓄積された様々な情報をもとにユーザーの要望に合った店を探して返信する。