インバウンド獲得対策の今─ vol.16
国籍を把握し、お国柄に合わせた接客が好評。未然にトラブルを回避して売上アップ!
年々増加傾向にある訪日外国人観光客(インバウンド)。ビジネス等で長期在日する外国人も対象に、言葉の違い、文化の違いを乗り越え、様々な工夫で集客を図る飲食店の取り組みをレポート。
敬遠していた外国人客が積極的に狙いたい客層に
昼夜問わず中国語や韓国語が飛び交い、多くの外国人客で熱気に包まれる大阪・道頓堀。その一画にある「鉄板神社 道頓堀店」は、2013年の夏以降、外国人観光客の集客に力を入れ、大幅な売上増に成功した。
2013年の外国人客数は月間550~700人で、総来客数に占める割合は16~19%だったものが、2014年の春からは1000人を超えるようになり、割合も25~28%に上昇。10月にはなんと2000人の大台に乗り、割合は46%に。実に42席で月商1800万円のうち、約500万円が外国人客からの売上となった。
だが、最初から順調だったわけではなく、「むしろ当初は、外国人客を敬遠していました」とは店長の竹下竜平氏。言葉が通じないため接客に手間取り、時間のロスや、食文化の違いが招くトラブルにつながりやすかったからだ。また、日本人客に比べて客単価が低いことも敬遠する動機の1つだった。しかし、エリアを歩く外国人は増加の一途。「それなら売上につながる道を探ろうと、まず外国人来店客を国別に集計することから始めました」と、門田 桂太郎氏は振り返る。
集計の結果、もっとも多かったのは韓国人。香港、中国がそれに続いた。さっそく韓国語ができるスタッフを採用したところ、目に見えて客単価が伸び、トラブルも減少。その後、各国用のメニューを充実させ、ファーストオーダーシートを作成するとともに、入店後すぐに国籍を把握し、お国柄に合わせた接客を模索していった。「例えば、中国の方は氷なしのドリンクを好むので、最初に確認します。やり直しになると時間も食材もロスが出てしまいますから」と門田氏。ほかにもドリンクオーダーのタイミング、会計のやりとりなど、個々の国民性を把握し、思い違いによるトラブルなどを未然に防ぐ方法を蓄積。それが店と客の両方のストレスを解消した。代表取締役の田中寿幸氏は、「外国語のメニューなどのツールは、お客様のためでもありますが、むしろ店のスタッフが快適で的確な接客をするためのもの。それが売上増につながるという確信がスタッフの意識を変え、ストレスを生まない接客術を生み出しました。そうなれば自然と外国人客の満足度も高くなり、店への信用が口コミの拡散へつながっていったと思います」と分析する。
店内では積極的に写真撮影に応じ、店側からも撮影を申し出てSNSでの拡散を促進。近隣のホテルへの地道な営業も集客に貢献している。今後は、客単価アップが見込める「おすすめコース」を外国人客にも提供するなど「まだまだ伸び代はある」と田中氏。最終的には近隣のうどん店やカニ料理店のように、「店を目指して観光バスが来る」ことを目標に、料理と接客に磨きをかける。
大阪府大阪市中央区道頓堀1-6-4 道頓堀エリカビルB1
http://r.gnavi.co.jp/ka0z603/
インバウンドとは?
「海外から日本へやってくる外国人旅客」のこと。国土交通省を中心に展開される「ビジット・ジャパン」事業(2003年~)などにより、2013年には過去最高の1,036万4千人もの外国人が訪日(日本政府観光局[JNTO]発表)。これまで過去最高であった2010年の861万1千人を上回り、1964年の統計以来、初めて1,000万人を突破した。今後も増加が予想されるインバウンドの集客対策は、飲食店にとって重要な課題のひとつだ。
データでCHECK!
2013年に大阪を訪れた外国人は約263万人。韓国・台湾・中国・香港がベスト4!
2013年に日本を訪れた外国人1,036万1,904人のうち、大阪を訪れたのは262万5,114人で過去最高を記録。エリア別にみると、韓国がトップ。台湾、中国、香港を含めると69%となり、東アジアからの旅行者が多いということがわかる。
Information
好評開催中!ぐるなび大学「インバウンド対策セミナー」
ぐるなび大学ではインバウンドの集客対策として、「インバウンド対策セミナー」を全国各地で定期的に開催。インバウンドの現状、集客するためのポイントや「おもてなし」をする上での注意点を伝えるとともに、実際に外国人観光客が来店したときの対応について学ぶ内容になっている。ぜひこのセミナーを活用し、インバウンド受け入れ準備につなげていただきたい。
開催スケジュール
※参加無料。対象はぐるなび加盟の飲食店様となります。
※時間は各エリアとも午後を予定。詳細はWebもしくは電話でお問い合わせを。
- 問い合わせ先:ぐるなび大学事務局
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0120-41-9672
受付/平日10:00 ~18:00 - URL:http://daigaku.gnavi.co.jp
Report from TOKYO&OSAKA
“外国人集客”のコツを繁盛店が自ら伝授する講演が大盛況!
去る11月10日(月)に東京・日比谷で、翌11月11日(火)には大阪・梅田で、飲食店のインバウンド対策に関する特別セミナー(二部制)が開催された。
東京会場の特別講師は、今月号の本ページでも道頓堀店の取り組みを紹介している「鉄板神社」門田桂太郎氏。一方、大阪会場では、西新宿の焼肉店「六歌仙」の代表取締役である礒見幸成氏が登壇。外国人集客に成功する店舗の生の声が聞けるとあって、両会場は大盛況。熱心にメモを取る姿も多く見られた。
Report from GIFU
11月に岐阜で「インバウンド勉強会」が開催!全国各地でインバウンドへの意識の高まりを実感
全国各地でインバウンドの受け入れに対する意識が高まっている現在、11月には岐阜の3エリアにてぐるなびによる「インバウンド勉強会」が開かれた。今回の勉強会は岐阜県料理生活衛生同業組合に属するホテルや旅館、飲食店を対象としたもので、11月6日に岐阜市エリア、同7日には多治見エリア、そして同25日には飛騨・高山エリアにて実施された。内容は、全国および岐阜県での訪日外国人の動きにはじまり、事例店を挙げての外国人を呼び込むための取り組みの紹介、外国人に楽しんでもらうための準備まで多岐にわたるもので、ぐるなびを活用した情報発信方法も紹介。インバウンド情報を聞くのは初めての方も多かったが、今後確実に増加するであろう外国人の集客や応対について現状を確認し、受け入れ体制を整えていくための有意義な情報交換の場となった。
Topics
台湾発→沖縄着のPeach機内で配布されるクーポン冊子に、沖縄のぐるなび外国語版加盟店10店とぐるなび外国語版へリンクするバーコードを掲載
ぐるなびでは、LCC「Peach」の台湾発→沖縄着の機内にて、キャビンアテンダントから手渡しで配布されるクーポン冊子「たびクーポン」に、沖縄のぐるなび外国語版加盟店から限定10店舗の情報と、ぐるなび外国語版へリンクするバーコードを掲載し、飲食店への来店を促す。
配布期間は2014年12月下旬から、台湾旧正月(2月)までの予定で、搭乗先着1万人が対象となる。
ぐるなび外国語版 2015年1月19日大リニューアル決定! ご期待ください!
訪日外国人観光客のための「コンシェルジュサービス」も実施!インバウンド対策には詳細情報の発信が可能な「ぐるなび外国語版」!
インバウンド(訪日外国人観光客)の受け入れ環境整備は、飲食店の急務。ぐるなびでは、そのサポートの一環として「ぐるなび外国語版」を開設している。
トップページは英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)、タイ語、マレー語、インドネシア語に対応し、店舗ページでは売りや特徴をアピール。また、店舗ページのメニュー情報をプリントアウトするだけで、簡単に外国人用のメニューとして使用できる。2013年には特集の掲載のほか、コンシェルジュサービス(日本語を話せない「ぐるなび外国語版」ユーザーのための予約専用ダイヤルおよび、メールでの問い合わせ専用フォーム)がスタートするなど、ユーザーの使い勝手も高まっている。
ぜひ「ぐるなび外国語版」の導入を検討してみてはいかがだろうか。内容や加盟特典に関する詳細は、担当営業またはサポートセンターまで。
ぐるなびによる訪日促進サイトJapan Trend Ranking
「行ってみたい日本、もう一度行きたい日本へ」をコンセプトに、ぐるなびが2013年4月25日に開設した、日本の今の魅力を伝えるWebサイト。
全国50万件の飲食店情報と、全市区町村の生産者とのネットワーク、約2万人のシェフのコミュニティを有するぐるなび独自の“本物の情報”を駆使し、海外や外国人に対して正しい日本食や食文化を発信。それを理解してもらうことにより、結果として日本の外食文化の健全な発展、そして海外における“日本のファン”作りを狙い、訪日外国人観光客の拡大を目指していく。
■会員(登録無料)になることで様々なキャンペーンへの参加が可能。サイトの随所に「ぐるなび外国語版」への誘導口を設け、店舗ページの閲覧を促進。
■日本の伝統料理やご当地グルメのほか、名所旧跡、温泉、文化・芸能や、ショッピング、四季のイベントなど、日本全国の最新トレンドをランキング形式で紹介。