インバウンド獲得対策の今─ vol.19
全社員が英会話を学び、接客の質を追求!「寿司握り体験」も企画してアピール
日本人への接客と同レベルで訪日外国人客をもてなす
江戸時代、加賀百万石の城下町として栄えた石川県金沢市。武家文化に育まれた史跡や街並み、伝統工芸品のほか、北陸の新鮮な魚介など食材も豊富な地だ。3月の北陸新幹線の開通により、東京と約2時間半で結ばれ、国内外からの観光客誘致に期待が膨らむエリアでもある。
2000年4月オープンの「金沢まいもん寿司 駅西本店」は、日本の本物の寿司と食文化を世界に発信することを企業理念に掲げる、株式会社エムアンドケイの2号店。店は回転寿司のスタイルでレーンはあるが、回っているのは寿司のサンプルや、ネタの魚介を紹介する写真など。基本的に繁忙期以外は、カウンター越しに直接、職人に食べたいネタをオーダーできる店として知られ、職人と会話をしながら寿司を楽しむことができる(金沢駅の駅ビルには、カウンターだけの姉妹店もある)。
経営する各店には、能登半島や金沢の漁港から1日2回、その日に水揚げされた魚介が直送される。営業課長を務める萩原弘太郎氏は、「新鮮なネタを、しっかり修業を積んだ寿司職人による握りたてで食べてほしい」と、回転寿司店でありながら対面オーダーを取り入れた背景を語る。また、スタッフが来店客と言葉を交わすことを重視。人間力を磨くことで、レベルの高いもてなしを目指している。
こうして磨いている接客のスキルで、徐々に増えてきた外国人客にも日本人と同じように対応することが、「金沢まいもん寿司」の目標だ。そのため、昨年10月から3カ月間、北陸エリアの店舗で働く全社員45人を対象に、開店前の店舗や本社にて、英会話教室を実施。社員5人1チームに対して外国人講師1人をあて、ローテーションで週1回、1時間半の授業を受講する仕組みだ。店での接客で必要な英会話とともに、「この魚は朝まで泳いでいました」など、ネタの新鮮さをアピールする表現方法も習う。新たな知識を得ることがスタッフのモチベーションアップにもつながっている。
同時に、英語と中国語(簡体字、繁体字)の外国語メニューを作成。英語版はハワイで20年間、寿司を握った職人が、中国語は台湾から寿司を学びに店に来ているスタッフが、それぞれ翻訳。「寿司の翻訳は、寿司がわかっている人でないと、正確にはできないもの。その点、当店の外国語メニューは正確でわかりやすいと思います」と萩原氏。今では、外国人客にメニューを見せながら、おすすめのネタやセットを英語で説明する姿が定着してきている。
3月半ばからは、外国人客を対象とした「寿司握り体験」もスタート(日本人でも参加可能)。萩原氏が外国人への販促を模索するなかで、ツアーの1つに組み込まれた企画で、事前に英語の台本を用意して、実際に外国人相手のリハーサルも実施した。今後、この「寿司握り体験」を継続的に行うことにしている。さらに、社内の希望者を対象とした、よりハイレベルな英会話教室も準備中。また、早ければ年内の海外出店をも視野に入れている。
石川県金沢市駅西新町3-20-7
http://r.gnavi.co.jp/65ygmvf40000/
インバウンドとは?
「海外から日本へやってくる外国人旅客」のこと。国土交通省を中心に展開される「ビジット・ジャパン」事業(2003年~)などにより、2013年には1964年の統計以来、初めて1,000万人を突破。そして2014年には1,341万人に達した。政府が掲げる2020年の2,000万人実現に向け、今後も増加が予想されるインバウンドの集客は、飲食店にとって重要な課題のひとつだ。
データでCHECK!
2013年の石川県内外国人宿泊者数は前年比49.4%増の24万2,292人!
2013年の石川県内外国人宿泊数は24万2,292人。小松~台北便のデイリー化や円安などにより、前年比49.4%となった。国・地域別内訳をみると、トップは台湾で41.9%。
また、同年の、金沢市内の人気観光スポット・兼六園の外国人観光客数は19万2,085人。前年対比68.0%増となり、エリア構成比はアジアが80.8%(15万5,294人)、西欧が8.6%(1万6,452人)、北米が5.0%(9,576人)と続いている。
Information
受講無料 好評開催中!ぐるなび大学「インバウンド対策&外国語版メニュー更新」
ぐるなび大学では、外国人観光客の受け入れ準備のための講座として、「インバウンド対策セミナー&外国語版メニュー登録・更新会」を全国各地で開催。第一部の「インバウンド対策セミナー」は、訪日客の状況、ぐるなび外国語版の活用方法のほか、「外国人を集客するために何が必要か?」「来店時に戸惑わないための準備とは?」といった基本を学べる内容。また、第二部の「外国語版メニュー登録・更新会」では、実際に店舗IDでログインし、インストラクターの案内のもと、その場でぐるなび外国語版のメニュー登録ができる内容になっている。
4月1日からは、ぐるなび外国語版のメニュー登録が可能になっているので(下の囲み参照)、ぜひこのセミナーを活用し、今後のインバウンド受け入れ準備につなげていただきたい。
開催スケジュール
※参加無料。対象はぐるなび加盟の飲食店様となります。
※時間は各エリアとも午後を予定。詳細はWebもしくは電話でお問い合わせを。
- 問い合わせ先:ぐるなび大学事務局
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0120-41-9672
受付/平日10:00 ~18:00 - URL:http://daigaku.gnavi.co.jp
4月1日から多言語で情報発信可能に!「ぐるなび外国語版」の「メニュー情報一元変換システム」で外国人客へアピール!
インバウンド(訪日外国人)の受け入れ環境整備の一環として、ぐるなびが開設している「ぐるなび外国語版」では、4月1日より多言語変換機能である「メニュー情報一元変換システム」を付与。食材・調味料・調理法までを、オリジナルに開発した「メニュー辞書」によって、ぐるなびPRO for 飲食店の管理画面から日本語を選択するだけで多言語(現在は英語、韓国語、中国語の繁体字・簡体字の4言語)に変換できるようになった。
飲食店が、正確に詳細なメニュー情報を多言語化して発信することにより、外国人にとっては飲食店選択の幅が大きく広がり、飲食店にとっては新たな集客の柱として、年々増加する訪日外国人の取り込みにつながることが期待される。また、メニューページをプリントアウトすれば、そのまま店で「外国語のメニューブック」として使えるほか、タブレットがあれば来店客の目の前で操作してすぐ見せることもできる。
ぜひ「ぐるなび外国語版」の「メニュー情報一元変換システム」を、外国人へのアピールおよび受け入れに活かしていただきたい。内容の詳細は担当営業またはサポートセンターまでお問い合わせを。
ぐるなびによる訪日促進サイトJapan Trend Ranking
「行ってみたい日本、もう一度行きたい日本へ」をコンセプトに、ぐるなびが2013年4月25日に開設した、日本の今の魅力を伝えるWebサイト。
全国50万件の飲食店情報と、全市区町村の生産者とのネットワーク、約2万人のシェフのコミュニティを有するぐるなび独自の“本物の情報”を駆使し、海外や外国人に対して正しい日本食や食文化を発信。それを理解してもらうことにより、結果として日本の外食文化の健全な発展、そして海外における“日本のファン”作りを狙い、訪日外国人観光客の拡大を目指していく。
■会員(登録無料)になることで様々なキャンペーンへの参加が可能。サイトの随所に「ぐるなび外国語版」への誘導口を設け、店舗ページの閲覧を促進。
■日本の伝統料理やご当地グルメのほか、名所旧跡、温泉、文化・芸能や、ショッピング、四季のイベントなど、日本全国の最新トレンドをランキング形式で紹介。