インバウンド獲得対策の今─ vol.26
出汁取り体験など随時イベントを開催! 外国人に日本食文化を広める担い手に
年々増加傾向にある訪日外国人観光客(インバウンド)。ビジネス等で長期在日する外国人も対象に、言葉の違い、文化の違いを乗り越え、様々な工夫で集客を図る飲食店の取り組みをレポート。
多彩なイベントと日本らしいおみやげが好評
銀座4丁目に店を構えて約40年、「日本料理 いらか 銀座店」は、四季折々の懐石料理を提供する老舗だ。「立地上、外国人のお客様も多いです。ここ2、3年でさらに増え、外国人向けのイベントも随時開催しています」と語るのは、代表取締役社長の梨澤雅弘氏。
店内で開催される様々なイベントは、もともとは梨澤氏が友人と企画した「旨いものを食べる会」が発端で、それが日本人向けの様々な店内イベントに派生。「美崎牛(石垣島)の会」や「ワインの会」「日本酒の会」などを開催し、店のファンを徐々に増やしていった。なかでも「出汁取り教室」が好評だったのを受けて、外国人留学生向けに「出汁取りとしゃぶしゃぶ」「出汁取りと寄せ鍋」を楽しむイベントを企画。「出汁とは?」の座学から、実際の出汁取り体験、その出汁を使った料理などの実食を組み合わせたところ、各会とも数十名の参加があり、大反響。「日本の食文化を少しでも外国の方に知ってもらえたらと思い、トライしました。表情や言葉から満足感が伝わってきて、体験イベントの手応えを感じます」と梨澤氏。外国人のリピーターの獲得と口コミでの認知拡大にもつながっている。
ほかにも外国人客を意識し、折り鶴などを会計カウンターに置いてプレゼント。また、実際の着物の生地で作った、着物仕立てのボトルカバーの販売を始めたところ、今までに数百個を売り上げるなど、日本らしいおみやげが受けている。
外国人用のメニューブックについては、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、英語の4言語に翻訳されたものを使用。牛肉や豚肉、卵、牛乳、小麦など、宗教上の理由やアレルギーに関して注意が必要な食材もわかるようになっている。また、「焼肉コース」「天ぷらコース」など、外国人にわかりやすい名前を付け、写真もしっかり掲載することで、指差しで注文できるように工夫。「言葉の問題はこれでだいぶクリアできました。店頭にもメニューを設置したことで、入店後のオーダーもスムーズです」(梨澤氏)。
現在、店を訪れる外国人客は中国人が多く、タイ人も増えるなか、今後は体験型イベントとして「握り寿司体験」の実施も検討している。
東京都中央区銀座5-8-20 銀座コアビルB2
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