看板やWebで「外国人歓迎」をアピールし集客

新宿駅西口の豚肉料理専門店「活豚料理 inton」では、店頭の看板で銀聯(ぎんれん)カードが使えることや、「外国語メニューあり」と明記したことで、2015年に入ってから外国人客が激増した。

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インバウンド獲得対策の今─ vol.36

看板やWebで「外国人歓迎」をアピール 2タイプの外国語メニューで、効率的に接客

年々増加傾向にある訪日外国人観光客(インバウンド)。ビジネス等で長期在日する外国人も対象に、言葉の違い、文化の違いを乗り越え、様々な工夫で集客を図る飲食店の取り組みをレポート。

サービスや内装でも印象付け、SNSでの拡散を狙う

おとぎ話「三匹の子豚」をイメージした個室が人気の、豚肉料理専門店「活豚料理 inton」。「2003年のオープン当時、まだ珍しかった食材特化型の専門店を作ろうと、全国の豚肉を試食して、群馬県産のブランド豚『上州とことん豚』を採用しました。吟醸白醤油の出汁と大量のネギを使った看板料理の『とことん豚の極上出汁しゃぶしゃぶ鍋』(1人前1380円。注文は2人前~)は、現在、外国人のお客様に来店を促す柱となり、中国人をメインに、台湾・香港、欧米からのお客様も増えています」と、経営母体の有限会社 イレブンコンサルティング 代表取締役・関戸雅敏氏は話す。

新宿駅西口と、都庁を中心に広がるホテル群の間の飲食店街に位置するため、当初から外国人は来店していたが、中国が発行するデビットカード「銀聯(ぎんれん)カード」も使えるようにしたところ、2015年に入ってから激増。「店頭の看板で銀聯カードが使えることや、『外国語メニューあり』と明記したことの効果も大きかったと思います」と、関戸氏は振り返る。メニューブックに関しては、通常のおすすめメニュー表にある日本語での表記と並ぶように、留学生スタッフが中国語訳を手書きして対応していたが、今年から「ぐるなび外国語版」の活用を始め、すべての料理と食材を掲載した新たなメニューブックも作成。必要に応じて使い分けている。

店内の子豚の置物や床に描いた豚の足跡なども外国人の受けがよく、記念撮影をする人も多いという。「トータルでの楽しさを印象づけたい。帰り際には外国人にもショップカードやサービスカードを渡しています」と関戸氏。Facebookやブログへの掲載など、SNSでの拡散にも期待をかける。

さらに、「ぐるなび外国語版」での情報発信のほか、姉妹店が訪日外国人向けワンストップガイドサービス「LIVE JAPAN」で外国人の大口宴会を獲得できたのを契機に、今年7月より活用をスタート。「外国人アルバイトに加え、中国人のベテランスタッフを社員採用し、体制は整いつつあります」と関戸氏。国ごとの気質や食文化のさらなる理解に努め、今後はぐるなび大学でもインバウンド対策を学ぶ予定だ。

中国が発行する「銀聯カード」も使用可能。店頭の看板に貼られたステッカーで確認して来店する客も多いという
店頭ではメニューブックなどとともに、英語・中国語のメニューブックがあることをしっかりアピール
おすすめメニュー表。日本語表記と並ぶように、中国人留学生スタッフが料理名を翻訳し、手書きで追記
「ぐるなび外国語版」のメニューページを印刷したメニューブック。調理法・調味料・食材の詳細などを伝えている
帰り際には外国人にもショップカードやサービスカードを必ず手渡し、SNSでの拡散も意識
活豚料理 inton(東京・新宿)
東京都新宿区西新宿1-13-12 昭和ビルB1
http://r.gnavi.co.jp/g175704/
JR新宿駅西口から徒歩2分の立地。おとぎ話「3匹の子豚」をテーマに、レンガ・わら・木をイメージした個室を備え、20~30代の女性を中心に集客。女子会や記念日、宴会利用が多い。
有限会社イレブンコンサルティング 代表取締役 関戸 雅敏 氏
様々な飲食店のコンサルティングを行いながら、自身でも飲食店を経営し、都内に3店舗を展開。唎酒師や焼酎アドバイザーの資格も取得し、「行きたい店」や「価値ある店」と、理想の店づくりを追求する。

インバウンドとは?
「海外から日本へやってくる外国人旅客」のこと。2013年には1964年の統計以来、初めて1,000万人を突破。そして2014年には1,341万人に達し、2015年は1,973万人を記録。2016年3月30日には政府より、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人という目標が発表された。今後も増加が予想されるインバウンドの集客は、飲食店にとって重要な課題のひとつだ。

Event Report

目指せ、訪日外国人観光客への「おもてなし」日本一!「大阪市・株式会社ぐるなび 地域活性化包括連携協定」によるインバウンド対策セミナーを開催

セミナー会場となった大阪市中央公会堂。約400人もの飲食店関係者が訪れた(写真/日本農業新聞提供)

去る8月3日、大阪市中央公会堂(北区中之島)にて、大阪市とぐるなびによるインバウンド対策セミナーが開催された。

大阪市とぐるなびは、「食」を通した地域活性化を促進するため、2016年6月14日に、「大阪市・株式会社ぐるなび 地域活性化包括連携協定」を締結。協定内容のひとつである、観光振興に関しては、多言語対応のWebページ「ぐるなび外国語版」の構築・情報発信により、大阪市内の飲食店における外国人受け入れ環境づくりを促進していく。今回のセミナーはその一環として、大阪市内の飲食店を対象とし、年々増えている訪日外国人客(インバウンド)の受け入れノウハウをレクチャーするものだ。

セミナー冒頭の挨拶では、大阪市経済戦略局理事の芳田 隆氏が、大阪の「食」の魅力をさらに高め、国内外に発信していく意気込みを伝えたのに続き、元観光庁長官・内閣官房参与であり、大阪観光局理事長(大阪観光局長)の溝畑 宏氏が登壇。「大阪市における訪日外国人観光客の実態と抱える課題について」と題し、訪日外国人観光客の現状や、日本の各地域における観光資源の活かし方などのほか、関西の観光政策のポテンシャルやビジョンを解説。「“大阪復権”の鍵を握っているのは飲食店。日本の健全な発展のために、再び大阪に『人・モノ・金』を引けつける力を持つことが重要」と訴えかけた。

続いて、ぐるなび 代表取締役社長・久保征一郎が、外国人の日本食へ対する期待の高さを紹介。外国人に気軽に日本食を楽しんでもらうために、「ぐるなび外国語版」のメニュー翻訳システムのメリットや使いこなし方、世界最大の旅行サイト「トリップアドバイザー」と連携したサービスなどを説明した。

最後に、大阪の飲食店を代表して、お好み焼きの「千房」ブランドを展開する千房株式会社の専務取締役・中井 貫二氏が登壇。「訪日外国人観光客を『おもてなし』。大阪の飲食店が果たす役割とは」をテーマに、“大阪の飲食店”として、自社の訪日外国人観光客への考え方や対応策を説明。大阪の街全体で外国人を受け入れることを提言した。

セミナーには大阪市内の飲食店関係者ら約400人が参加し、熱心に耳を傾け、メモを取る姿もあちこちで見かけられた。年々増加する訪日外国人への対応に関して、様々なヒントを得る貴重な時間となったようだ。

第二代観光庁長官を務めた、大阪観光局 理事長(大阪観光局長)の溝畑氏

セミナープログラム

挨拶~大阪市より~

大阪市 経済戦略局理事 芳田 隆 氏

大阪市における訪日外国人観光客の実態と抱える課題について

大阪観光局理事長(大阪観光局長)溝畑 宏 氏

訪日外国人観光客の日本食に対する期待にいかに応えるか

株式会社ぐるなび 代表取締役社長 久保 征一郎

訪日外国人観光客を「おもてなし」。大阪の飲食店が果たす役割とは

千房株式会社 専務取締役 中井 貫二 氏

ぐるなびによる訪日促進サイトJapan Trend Ranking

「行ってみたい日本、もう一度行きたい日本へ」をコンセプトに、ぐるなびが2013年4月25日に開設した、日本の今の魅力を伝えるWebサイト。全国50万件の飲食店情報と、全市区町村の生産者とのネットワーク、約2万人のシェフのコミュニティを有するぐるなび独自の情報を駆使し、海外や外国人に対して正しい日本食や食文化を発信。海外における“日本のファン”作りを狙い、訪日外国人観光客のさらなる拡大を目指している。

サイトでは、日本の伝統料理やご当地グルメのほか、名所旧跡、温泉、文化・芸能や、ショッピング、四季のイベントなど、日本全国の最新トレンドをランキング形式で紹介。また、会員(登録無料)になることで様々なキャンペーンへの参加が可能となる。サイトの随所に「ぐるなび外国語版」への誘導口を設け、店舗ページの閲覧も促進している。

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