リニューアルを機にインバウンド集客を強化。カニ料理の投入、朝食の刷新などで客数UP!

北海道・札幌にある「日本料理店北乃路」では、インバウンドを意識した設えや受け入れ体制を強化。ディナーだけでなく、朝食も和を意識したメニューに変えるとともに、「本格だし取り教室」も開催して好評だ。

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Vol.73

日本料理 北乃路(北海道・札幌)

畳個室をテーブル席に改装。体験教室も集客の一助に

 JR札幌駅と地下街を通じて直結する「センチュリーロイヤルホテル」内にあり、オープン46年目を迎えた「日本料理店北乃路」。2014年に全面リニューアルを図り、若い世代へのアピールを強めると同時に、インバウンドを意識した設えや受け入れ体制も強化してきた。「リニューアル当初はディナー客の1割程度だった海外からの旅行者が、現在は3割近くに増えています」と、マネージャーの中川学氏。その約半数は中国人で、ファミリーでの利用が多いという。

道内の絵本作家による魚介類のクレヨン画が店内のあちこちに飾ってある。入口付近のシシャモの絵(写真上)や、北海道のくるみの木で造られたベンチ(同下)は、外国人に人気の記念撮影スポットとなっている

 店内は畳敷きだった個室を、外国人はもちろん日本のシニア層も意識して、靴を脱がずに着席できるテーブル席に変更したほか、会席の内容を記したメニューブックは英語表記も用意。さらに、「日本料理の店ですが、シャンパンやボトルワインのラインナップも充実させました」(中川氏)。新たなメニューとして投入した毛ガニ・タラバガニ・ズワイガニによる「三大蟹会席」(1名1万2000円)が、外国人客の一番人気となっているほか、日本酒への関心も高く、地酒の飲み比べセットも注文が多いという。また、ホテルに宿泊する外国人が訪れるケースももともと多かったことから、朝食も刷新。「日本の朝食をイメージさせる和膳のほか、海鮮丼、和食素材のサンドイッチの3種類を用意しました」と話すのは、調理長の熊谷鉄之氏。こうした取り組みによって口コミで評判が広がり、海外の旅行会社からの問い合わせも増加。レストランを持たない近隣ホテルからの紹介も増えていった。

会席メニューやお品書きは、英語表記のものも用意する
焼魚や味噌汁が付く和膳、海鮮丼、和食素材のサンドイッチと、朝食は3メニュー。裏面(写真下)は英語で記載している

 「外国人には『本格だし取り教室』も人気の高いイベントです。日本の出汁文化への関心は高いですね」(熊谷氏)。熊谷氏が講師となり、カツオ・昆布・シイタケから出汁を取る体験・試飲をしたうえで、その出汁を使った会席料理を味わうという企画だ。予約制で開催しており、自社ホームページのほか、体験観光を扱う旅行会社を経由しての参加者も多いという。

「本格だし取り体験教室」の様子。通訳が付き、調理長の熊谷氏が自ら、出汁の取り方を教えながら日本食への興味を喚起していく
  • 昆布を拭いたり、かつおぶしを削ったりする体験がよい思い出に
  • カツオ、昆布、シイタケなど、素材による出汁の色の違いをワイングラスで見せている
体験教室は予約制。ホテルのホームページなどで案内している

 販促では「ぐるなびインバウンド大作戦」などを活用。「外国人のお客様のほとんどが予約によるコース利用で、日本人より平均単価が高いです。また、『ぐるなび外国語版ネット予約』も反響があり、事前課金制なので無断キャンセルのリスクを回避できるので安心です」と中川氏はその効果を語る。

 外国人客の増加に伴い、飲食店ならではの接客に関する英会話フレーズをスタッフ間で共有しているが、「さらに語学力を高め、サービスの差別化も図っていきたいです」と中川氏は話す。

大吟醸、純米吟醸を堪能できる地酒飲み比べセットは外国人にも人気
ガラス製とっくりは氷を入れた檜の桶で提供する。
  • 店内にはディスプレイ棚も設けるなど、日本酒は店のブランディングにも一役買っている
  • ボトルワインも多数。日本食の楽しみ方のひとつとして、ペアリングも提案
日本料理 北乃路(北海道・札幌)
北海道札幌市中央区北5条西5-2 センチュリーロイヤルホテル19F
https://r.gnavi.co.jp/h071101/
札幌駅前に建つホテルの日本料理店として、1973年の開業当初から営業。「北海道らしい、季節感のある料理」をモットーにした会席料理で知られ、接待・宴会利用も多い。厨房の様子をライブで見られる個室(写真)もある。
マネージャー 中川 学 氏(後列左)、和食調理部 調理長 熊谷 鉄之 氏(後列右)
冗談好きの熊谷氏は、料理説明の際に外国人客からサインを求められることも。中川氏は英語で場を和ませるのも得意だ。抜群のチームワークのよさで、店を盛り上げる。

目指せインバウンド繁盛店!!

インバウンド飲食消費 3兆円時代がやってくる!

訪日外国人旅行消費額 2018年実績と2020年・2030年の政府目標数値

2018年の訪日外国人旅行消費額約4.5兆円のうち、飲食費の割合は21.6%の9,783億円。それが、2020年には1.7兆円、2030年には3兆円へ増大すると見込まれています。売上アップの絶好のチャンスに向けて、受け入れ環境の整備や集客プランなど、いますぐ準備を始めましょう。

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「ぐるなび外国語版」のサイト上で予約が完結!トップページなどに予約の入力フォームの入口を配置

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 「LIVE JAPAN PERFECT GUIDE」は、観光情報や飲食店情報をはじめ交通案内など、日本の旅に役立つ様々な情報をワンストップで提供するWebサービス。ぐるなびと交通事業者を中心とした60超の参画社・団体が連携している。飲食店などは、食材の入荷や空席状況など“今日の情報”を、多言語で発信することができるのも大きな特徴だ。2016年4月の東京版オープンから3年で、年間利用者数3,500万人を誇る日本最大級の訪日外国人向け観光情報サービスに成長し、東京版、北海道版に続き、関西版が2019年7月24日に、東北版が同年9月12日にオープン。今後もエリアを拡大していく予定だ。

注意事項や会話集をまとめた「おもてなしツール」で外国人とのコミュニケーションを円滑に!

「Wi-Fi」について説明したもの(注意事項内の1ページ)

 ぐるなびでは、外国人客との円滑なコミュニケーションをサポートする、「おもてなしツール」を用意している。これは、外国人客の来店時に、飲食店と外国人客の双方がストレスなく接することができるように、店に関する注意事項や会話集をまとめたもの。注意事項は、「お通し」「クレジットカード」「禁煙・喫煙」などに関する37の項目をピックアップ。来店客に見せたり、壁に貼るなどして使用できる。一方、会話集は、注文前から会計時まで想定される簡単な会話をそろえ、「指差し会話集」として使えるものだ。興味がある方は、担当営業に問い合わせを。

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