目次
・飲食店とインスタグラムは親和性が高い
・インフルエンサーの影響力はフォロワー数で判断しない
・インフルエンサーのおかげで気付いたこと
浜松名物の「うなぎいも」をご存知だろうか?浜名湖のうなぎの骨や頭の部分を肥料に使って育てたサツマイモで、甘みが強いことで知られている。ふかしたうなぎいもの糖度は、なんと40度にもなるという。そのうなぎいものアンテナショップが東京の戸越銀座にあるのだが、店の認知拡大と集客アップを狙って、インフルエンサーを活用した成功事例を取り上げる。
飲食店とインスタグラムは親和性が高い
「もともと、うなぎいもは浜松の地域活性化商品でもあるので、ご当地キャラとして『うなも』ちゃんというマスコットを作り、全国のゆるキャライベントなどで宣伝をしていました。しかし、コロナでイベントは減り、県外への移動も難しくなったこともあって、東京にアンテナショップを作って情報発信していくことを考えました」と語るのは、うなぎいも協同組合の伊藤拓馬氏。「うなもちゃんの名前で10年ほど前からツイッターをやっていて、フォロワーも2万2,000人くらいいました。そこでオープン告知をしたので、最初はうなもちゃんファンの人たちが店に来てくれて賑わったのですが、長くは続きませんでした」(伊藤氏)。
そこから伊藤氏の試行錯誤が始まる。集客にはインスタグラムがいいと聞いて新しくアカウントも作った。
インフルエンサーマーケティング事業を展開する株式会社トリドリの延與玲次氏は「飲食とインスタグラムはとても親和性が高い」と指摘する。「たとえば渋谷で店を探すときには、グーグルでなくインスタグラムで探す人が実は多い。渋谷グルメと言う言葉などで検索して出てきた写真を見て決める。おいしい料理は見た目で分かりますから。でも、ほかがダメだと言うことではないので、特性を考えて決める、あるいは使い分ければいいと思います。不思議なのですが、ラーメン店はなぜかツイッターへの投稿が多い。そういう例外もあります」(延與氏)。
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インフルエンサーの影響力はフォロワー数で判断しない
しかし、インスタグラムを始めたからと言って、それだけで状況が変わるわけはなかった。「何か起爆剤が必要だと思いました。インフルエンサーを使うことを考え始めたのはその頃です」(伊藤氏)。
インフルエンサーマーケティングのことは、当時営業電話をかけてきた業者がいたり、ネット広告などで頻繁に目にするようになって気になっていたという。そこで、そんな業者の一つから話を聞いてみることにした。「キャスティング型のインフルエンサーマーケティング会社でした。話を聞くと数万のフォロワーを持つインフルエンサーを数人使って費用は20万円ほど。悩みました。その金額を掛けるだけの効果があるのだろうかと」(伊藤氏)。
そんなときに、マッチング型のトリドリマーケティングを知る。「1カ月4万円(料金改定前)ですから、これなら試してみてもいいかなと思いました」(伊藤氏)。
キャスティング型とマッチング型の違いは実は大きいと語るのは延與氏。「キャスティング型の場合は、業者がインフルエンサーを選定し、協力を依頼する場合が多い。報酬は基本的に金銭。だからどうしてもやらされてる感が出る。しかしマッチング型の場合は、インフルエンサー側がこれを紹介したいと思って自分から手を挙げてくる。投稿内容にもその熱が出ます」(延與氏)。
伊藤氏が、インフルエンサーに紹介してもらおうと考えたのは、新商品の「うなぎいもモンブランソフト」。うなぎいもソフトクリームの上に、ペースト状にしたうなぎいもクリームをかけた商品。食べ歩きができてインスタ映えもする商品が欲しいと考えて開発したものだ。
「これを紹介して欲しいと、トリドリマーケティングで募集したら200人以上のインフルエンサーが応募してくれてびっくりしました。その中から70人ほどを選んで2カ月くらいの間に投稿してもらいました」。
その結果、店全体の売上は前年比の1・5倍、うなぎいもモンブランソフトに限れば2倍に跳ね上がった。インスタグラムへのリーチ数も3倍に増えた。思惑通り起爆剤となった。
「実際にやってみて実感したことがあります。フォロワー数と影響力にはそれほど相関関係がないということ。フォロワー数が10万人を超えている人よりも2,000人程度の人の方が、効果がある場合がありました」と語る伊藤氏に延與氏が解説を加える。「インフルエンサーを選ぶとき、フォロワーの数を気にする人が多いですが、それよりもいいねの数やコメントの多さを見て選ぶ方がいいです。その人の投稿を注目している人が多いということの証ですから。そういう人のフォロワーの方が、投稿内容に影響されて実際に動く人が多いと考えられます」(延與氏)。
インフルエンサーのおかげで気付いたこと
「当時、お願いしたインフルエンサーの人たちは、今でもプライベートでお店に来てくれます。しかも友達を連れて。インフルエンサーの友達は、同じくインフルエンサーであることも多いので、彼らも投稿してくれるから、本当にありがたい。そういえば最初に話を聞いた20万円の中にキャスティングされていた人もその中にいました」と伊藤氏。
インフルエンサーのおかげで気付いたこともあるという。「お子様を連れていらしたインフルエンサーがいたんですが、お子様がおいしそうに食べている写真を投稿されていて、うちは親子で来やすい店なんだと気付きました。ターゲットとして考えていなかった層なのですが、考えを改めました」(伊藤氏)。
親子客が増えて、平日の売上げが上がった。「戸越銀座は、食べ歩きのメッカでもあります。この商店街に来た人は、たいてい何軒かを回りますから、ほかの店と協力して食べ歩きをテーマにもう一度インフルエンサーマーケティングをしても面白いかなと思っています」と伊藤氏。
広告業界には、セブンヒッツ理論という考え方が昔からあって、広告に3回接触するとブランドを認知し、7回接触すると購入率が高くなると言われている。SNSでも接触が多いほど好感度が上がり、購買にもつながりやすい。なるべく多くの人に繰り返し投稿してもらうことが、成功のカギを握るといえそうだ。
※株式会社テンポスホールディングス刊「スマイラー」86号より転載
※取材協力:「うなぎいもストアinTOKYO」 東京都品川区豊町1-5-5
「株式会社トリドリ」 東京都渋谷区円山町28-1 渋谷道玄坂スカイビル8階 TEL:03-6892-3591