2023/04/25 特集

“店頭販売”で売上&お店の価値をアップ!(1)~自家製ドレッシング・パスタソースを販売&近隣店舗とのコラボで売上創出~

コロナ禍で一気に高まったテイクアウトニーズを獲得し、店の価値アップやブランディングにつなげている店がある。売上創出だけではなく、持ち帰りニーズの獲得によって認知度や新規客獲得に成功した事例を紹介する。

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目次
コロナ禍を機に自販機でドレッシングを販売!
近隣店舗とコラボで、“ついで買い”を促す

 コロナ禍で一気に高まったテイクアウトニーズ。店頭販売によってそうしたニーズを獲得し、店の価値アップやブランディングにつなげている店がある。売上創出だけではなく、持ち帰りニーズの獲得によって認知度や新規客獲得に成功した事例を3つ紹介する。

 まず、静岡・三島のイタリア料理店「パステリア地中海」は、自動販売機によるドレッシングやパスタソース、おせちなどの販売で話題を集めている。自動販売機のデザインにも工夫をこらすことで、自動販売機が広告塔の役割も果たした。さらに、近隣の飲食店とコラボして商品のバリエーションを増やすことで、ついで買いを促すことにも成功している。

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自家製ドレッシング・パスタソースを販売して月商30万円を創出

パステリア地中海(静岡・三島)
静岡県三島市広小路町13-3
https://r.gnavi.co.jp/a7bph83e0000/
静岡県三島市で金物屋を経営していた先代が事業変更し、1976年に創業したイタリア料理店。約100席を備え、駿河湾の新鮮な魚介や箱根西麓三島野菜を使用したイタリアの郷土料理・生パスタを提供。地元の主婦やファミリーなどを集約している。

テイクアウトには消極的だったが、コロナ禍を機に自動販売機でのドレッシング販売を開始!

 静岡・三島広小路駅から徒歩1分のビル2階にある、1976年創業のイタリア料理店「パステリア地中海」。看板メニューは創業当時から人気のパスタ「イソノカ(磯の香)」(1,080円)で、エビとブラックオリーブのみのシンプルながら濃厚なトマトクリームソースが好評だ。

 昔からテイクアウトのニーズも高く、ピザやサラダ、パスタなどを販売してきた。ただ、「パスタを筆頭に、テイクアウトでイートインと同じクオリティーを再現するのは至難の業。お客様の要望があったので対応はしていましたが、できるだけイートインで当店の味を知っていただきたいという思いがあり、あまり力は入れていませんでした」と2代目の小河鉄平氏は語る。

テイクアウト用のメニュー表。売りのパスタやサラダ、ピザなど20種類以上をそろえている
看板のパスタ「イソノカ」はテイクアウトでも人気。濃厚なトマトクリームソースがクセになるとファンを生んでいる(写真はテイクアウト用)

 そんな中、コロナ禍でテイクアウトのニーズが上昇。「持ち帰りの要望に応えたい」という思いの一方で、先述したように「イートインと同じように、できたてを食べてほしい」という思いも強かったため、その両方を実現できる方法として思い付いたのが、自動販売機での冷蔵商品の販売だった。「冷蔵商品であれば、ご家庭で調理を行うのでできたてを食べていただけます。クレープやパスタ、総菜などの販売機も好調だという話を知人から聞いていたので、不安なく始められました」(小河氏)。

店舗入り口につながる階段脇にオリジナルの自動販売機を設置。遠くからでも目立つカラフルなデザインで、思わず足を止める通行人も少なくない
  • 自動販売機の中央に、Instagramの告知を掲示している
  • 架空のテレビ番組での紹介画面をデザインに組み込んだ

 自動販売機を設置したのは2020年末で、導入費用はデザイン費(ラッピング代)込みで約250万円。店名はもちろん、イタリア料理店の象徴であるピザなどのイラストを入れて、明るく目立つデザインに。また、Instagramの紹介やテレビ番組の画面風の広告を付けて店舗の情報をアピールした。

 設置当初は、自家製ドレッシングと市販のドリンクの販売からスタート。最初の商材としてドレッシングを選んだのは、比較的保存が利き、筒状なので販売機に収納しやすいからだ。ラインナップは、ゴマや卵を使った「地中海ドレッシング」と「セロリドレッシング」「たまねぎドレッシング」(各400円)の3種類で、現在も変わっていない。

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ドレッシングは、「地中海ドレッシング」(写真中央)、「セロリドレッシング」(同右)、「たまねぎドレッシング」(同左)を用意し、各400円で販売
  • 「地中海ドレッシング」(写真左)と「セロリドレッシング」(同右)
  • 1番人気は地中海ドレッシング。ゴマとニンニクの風味が特徴でさまざまなサラダに合う。写真は「キノコサラダ」(テイクアウト用)

近隣店舗とコラボしておせちなどを販売し、“ついで買い”を促す

 非接触、かつ24時間いつでも買いに来られる気軽さから、設置5日間で約40本のドレッシングが売れた。「2020年末の大みそかには、近隣の割烹料理店、フレンチレストラン・中国料理店とコラボして、4種類のおせち(各3,000円)を販売しました。当店は海老の窯焼きやテリーヌ、フォアグラなどを詰めた1人用のおせちを販売。各店舗6食限定で、昼に販売を開始して夕方には完売しました」と小河氏は振り返る。

近隣の飲食店とコラボして、さまざまな商品を販売。ラインナップのバリエーションも増えて、相乗効果で売上アップにつながった

 現在は市販のドリンクの販売はしておらず、すべてオリジナル商品。ドレッシングのほか、自宅で調理してもらうスタイルで真空パックのパスタソース6種(各700円)と生パスタ(100円)も販売している。特に店内で一番人気のパスタ「イソノカ」のソースや、長泉・井出牧場の和牛を使用した「黒毛和牛のミートソース」が好評だ。また、おせちを販売した際にコラボした店舗を含む4店舗に協力を依頼し、自家製ピクルスやサラダ、豚の角煮、カレーソースなど各店のバラエティー豊かな料理も真空パックで販売している。

 「自動販売機でサラダからパスタまでのフルコースを楽しめるようにと心掛けました。“ついで買い”をするお客様も多く、コロナ禍のピークには月商約30万円に達しました」と小河氏は語る。地元の新聞やテレビなどのメディアでも紹介され、次第に地域住民に認知されるようになり、売上にもつながったという。

看板の「イソノカ」などの「パスタソース」(700円)や「生パスタ」(100円)も販売
  • 「イソノカ」(写真奥左)と「黒毛和牛のミートソース」(同奥右)、「生パスタ」(同手前)
  • パスタソースには、仕上げにかけるパルメザンチーズや調理法を書いたリーフレットも同梱

 コロナ禍が落ち着いてきたことで、現在の売上は15~16万円程度だが、自動販売機の存在が広く知られていることから、店の広告塔としての役割も果たしている。今後の展開については、コロナ禍の先行きがまだ不透明なこともあり模索中だ。

 「イートインにお客様が戻ってきていることから、コラボ店舗の皆さんに自動販売機用の商品を用意していただくことが難しくなってきています。今後はコラボ店舗をさらに増やして1店舗ごとの負担を減らす、または新たに三島のご当地お土産を販売するなど、様子を見てさらなる活用法を見極めたい」(小河氏)と考えている。

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株式会社小河屋商事 代表取締役 小河 鉄平氏
静岡県三島市生まれ。高校卒業後に1年かけて世界一周し、帰国後に父の経営する「パステリア地中海」にスタッフとして入店。10年前より二代目としてオーナーを務める。

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