2023/05/02 特集

“店頭販売”で売上&お店の価値をアップ!(3)~ロードサイドで自動販売機による冷凍の焼肉セット販売が好調~

コロナ禍で一気に高まったテイクアウトニーズを獲得し、店の価値アップやブランディングにつなげている店がある。第3回は、ロードサイドで冷凍の焼肉セットを自動販売機で販売し売上につなげた事例を紹介する。

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目次
コロナ禍を機に生肉の販売をスタート
自動販売機導入でロス削減、売上&顧客満足度UP!

 コロナ禍で一気に高まったテイクアウトニーズ。店頭販売によってそうしたニーズを獲得し、店の価値アップやブランディングにつなげている店がある。売上創出だけではなく、持ち帰りニーズの獲得によって認知度や新規客獲得に成功した事例を3つ紹介する。

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 第3回は、茨城・石岡市のロードサイドにある焼き肉店「和牛焼肉酒家 椿姫苑(つばきえん)」。冷凍の自動販売機で一人用の焼肉セットやもつ煮などを販売。車道からも目立つ看板を掲げて認知度を高め、コロナ禍での持ち帰りニーズに応えており、自動販売機での購入をきっかけにイートイン集客にもつながっている。

“焼き肉店”の冷凍自販機がブレイク!イートインとの相乗効果も◎

和牛焼肉酒家 椿姫苑(茨城・石岡)
茨城県石岡市東府中5-57
https://r.gnavi.co.jp/p6bhr7p80000/
茨城・石岡市の県道沿いに、2016年1月にオープンした焼き肉店。茨城のブランド牛・常陸(ひたち)牛の中でも臭みが少ないメスの肉を使っており、ファミリーの記念日などで利用されている。

コロナ禍を機に外販に注力。早々に許可申請をして生肉の販売をスタート

 2016年、茨城・JR石岡駅から車で8分ほどのロードサイドにオープンした焼き肉店。以前も焼き肉店だった物件を、市内で居酒屋を経営していた小林礼氏が居抜きで引き継いだ。

 コンセプトは「特別な日のちょっとリッチな焼き肉店」。「低価格競争ではチェーン店に勝てないので、おいしい肉をそれに見合う価格で提供しています」と小林氏は語る。肉は茨城のブランド牛である常陸(ひたち)牛を中心に使っており、客単価7,000円でファミリーの記念日利用などが多い。

 オープン当初から弁当のテイクアウト販売も実施。日常使いから記念日や接待・会議などのビジネスシーンでも使えるように1,000円~4,300円の7種類をそろえている。一番人気は「常陸牛カルビ弁当」(1,500円)で、「ナムル盛り」「カルビスープ」(ともに853円)などと一緒に購入する人も少なくない。家族へのお土産、自分へのご褒美など多彩なニーズを獲得し、月に40~50食を売り上げている。

テイクアウトで人気の「常陸牛カルビ弁当」(1,500円、写真手前)と「ナムル盛り」(853円、同奥左)、「カルビスープ」(853円、同奥右)。焼き肉店のこだわりの弁当として、会議などのビジネスシーンや記念日などに利用されている
店内にもテイクアウト用のメニュー表を用意しており、イートイン客にもアピール。食事後に家族へのお土産などで購入していく人もいる

 そんな中、コロナ禍でイートイン営業が苦境に立ったため、小林氏が打開策として目を向けたのが外販だった。

 まず、スタートしたのが生肉の販売。もともと「椿姫苑で使っている肉を家庭用に購入したい」というニーズはあったが、生肉を販売するには「食肉販売業」の営業許可が必要なため対応していなかった。しかし、コロナ禍によるテイクアウトニーズの高まりを感じた小林氏は、早々に食肉販売業の営業許可を取得。2020年5月には生肉の対面販売を開始した。

 すると、同年のゴールデンウイークには生肉販売だけで1日40万円を売り上げるなど大ヒット。「外食の機会を失ったことで、多少高くてもおいしい肉を食べたいというお客様のニーズをうまく取り込めたのだと思います」と小林氏は分析する。それまで椿姫苑が築いた“高級でおいしい焼き肉店”というブランド力もヒットを後押しした。

コロナ禍で生肉販売を開始。家庭で焼き肉やしゃぶしゃぶを楽しめるセットを用意。ファミリーを中心にニーズを獲得し、1日40万円を売り上げる人気となった

冷凍商品の自動販売機で食材ロス削減&売上創出、顧客満足度もアップ!

 さらに、非接触の販売ルートとして、2021年10月に冷凍商品用の自動販売機を導入。冷凍肉と冷凍食品の24時間無人販売を始めることにした。ただ、「焼き肉店が上質な肉を自動販売機で購入できること」は売りになるが、「椿姫苑」で使っている肉は常陸牛などの上質なブランド牛。「イートインで提供している肉をそのまま販売すると100g2,000円超になります。それでは、自動販売機で売るには高すぎるので、1,000円以下で購入できる商品を作ることにしました」と小林氏。

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店舗入り口に冷凍商品の自動販売機を設置。「常陸牛のすじ煮込み」(300g500円)や「カシラ」(200g600円)など、手頃な価格の商品を販売している
  • タッチパネルで操作して購入する
  • 自動販売機で人気の高い商品の一つが「カシラ」。調理方法は、自家製のタレ(同梱)を付けて焼き上げるだけ。手頃&簡単に本格的な焼き肉店の味が楽しめると好評だ

 今まで廃棄していた牛すじを数カ月分ストックし、まとめて軟らかく煮た「常陸牛のすじ煮込み」を500円(300g)で商品化。また、「サーロインの切り落とし」(300g1,700円)や「カシラ」(200g600円)などをそのままパッケージして、ほぼ原価で販売。「店内のメニューでは本当にいい部分だけを提供しているため、どうしても端材が出てしまいます。それらを冷凍商品にして手頃な価格で提供することで、食材ロスを減らして売上につなげ、かつお客様にはおいしい肉をリーズナブルに食べていただけるのでメリットばかりです。」と小林氏。

 そのほか、野菜を加えるだけで食べられる「常陸牛もつ鍋セット」(2~3人前2,000円)や端材を活用した「コリコリタン塩」(800円・200g)、「盛岡冷麺」(500円)など、500~2,000円の商品を取りそろえた。

 さらに、自動販売機での販売をアピールするため県道に向けて看板を設置するほか、Instagramでも販売内容を投稿した。

ロードサイドの立地を考慮して、運転中も目に留まるような大きい看板を道路沿いに設置し、自動販売機の存在をアピールしている

 すると、焼き肉商材の自販機という珍しさからメディアで取り上げられたこともあり、初月には100万円超を売り上げた。「深夜に帰宅する労働者や、早朝からキャンプに出掛ける単身者など、時間を問わずニーズがあったのではないかと思います」と小林氏。その後は徐々に落ち着いてきたが、2023年4月現在でも月に15万~20万円の売上を確保。自販機のリピーターも多く、商材が売り切れると、たびたび催促の連絡が入るという。


 「自販機販売はいいことばかり」と手応えを語る小林氏。人件費がかからず24時間稼働すること、食材ロスを減らせること、自販機で店の味を知り来店する客が増えたことなどが挙げられる。

 また、イートインのオペレーションを圧迫せずに販売ルートを増やせることや、店の高級感を維持しつつ端材を活用することで原価率を下げられることもメリットだ。「設備投資の150万円は半年足らずで回収し、現在は電気代だけ」と小林氏。売上がそのまま利益になる点も見逃せない。今後とも時流に合った外販で、持ち帰りニーズに応えることにしている。

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代表 小林 礼 氏
高校時代の焼き肉店でのアルバイトがきっかけとなり、専門学校へ進学するも料理の道を志すことに。内装業などを経て10年前、24歳で独立を果たした。

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