2023/06/27 特集

閉店ピンチのビストロがTikTokで大逆転!たった2カ月で売上が4倍に

動画での情報発信で集客につなげた飲食店の事例を紹介。東京・池尻大橋のビストロが登場。創業から4カ月連続で赤字が続く中、TikTokで苦しい経営状況を告白したことが、起死回生の一手となった。

URLコピー

更新日:2024.3.13

 SNS隆盛期の今、情報発信や情報収集のツールは静止画から動画に移ってきている。そこで、ショート動画投稿アプリ「TikTok」を使って飲食店の集客につなげた事例を紹介する。

 東京・池尻大橋のビストロ「PLUCK AND PLANT(プラックアンドプラント)」は、コロナ禍で創業するも地階の目立たない立地もあり、集客に苦戦。認知度アップのためにTikTokで苦しい経営状況を赤裸々に告白したところ、応援やアドバイスを含めた多くのコメントが寄せられ、一躍「支えてあげたい店」に。その後、売りの「鶏もものから揚げ」の2個無料キャンペーンがバズり、大幅な集客アップに成功。念願だった黒字化を達成した。

【こちらもチェック!】
集客につながる動画配信~YouTube編~

▼ぐるなび公式Xアカウント▼

ぐるなび - 飲食店様のお役立ち情報

よろしければ、こちらもぜひフォローお願いします!

苦しい経営状況をTikTokで告白!応援やアドバイスが多数寄せられ、集客力もアップ!

「PLUCK AND PLANT」のTikTokアカウント「pluck_and_plant kj【料理人】

 2022年10月に東京・池尻大橋にオープンした、ドライフラワーアートショップ併設のビストロ。オーナーの宮嶋祐也氏の実弟がSNSで人気のドライフラワーアーティスト・miya氏であることから、宮嶋氏とmiya氏、miya氏の友人の店長・KJ氏の3名で運営している。

 「オープン当初からSNSで集客する狙いがありました。約4万人のフォロワーがいる弟のTikTokアカウントで宣伝していたのですが、当時はカフェビストロとして営業していたことからドリンク注文だけのお客様も多く、最初の4カ月は赤字続きでうまくいきませんでした」と宮嶋氏は振り返る。

PLUCK AND PLANT(東京・池尻大橋)
東京都世田谷区池尻3-4-5 大江ビル B1F
https://r.gnavi.co.jp/h19ec9660000/
TikTokアカウント「pluck_and_plant kj【料理人】
池尻大橋から徒歩2分、国道沿いのビルの地下1階に位置するカジュアルビストロ。ドライフラワーアーティストmiya氏の作品も展示している。

スタッフの個性を打ち出し、「応援したい!」と熱烈なファンを獲得

 連日無休で昼から深夜まで営業し続けたが、売上にはつながらず「このままでは潰れる」と、2023年2月にSNSの方針を変更。店舗のTiktokアカウントを作成し、KJ氏が全面に出て「大赤字のカフェビストロ」と赤裸々な内情を告白する動画を投稿した。

店舗の赤字続きの現状を赤裸々に伝える動画を初投稿。「黒字化を目指すにはどうすればいいのだろう」という内容に900件ものコメントが寄せられ、一気に注目が高まった

 「この動画が大きな話題になり、900件以上のコメントが寄せられました。大半が『店長に笑顔がない』『清潔感がない』といった厳しいご意見でしたが、自分たちの飲食業への意識の甘さを痛感し、真摯(しんし)に受け止めて改善に生かしました」(宮嶋氏)。

 コメントのアドバイスで特に多かったのが「店長の髪が長いから切るべき」という内容だった。次の動画ではKJ氏が髪を切り、反省と今後の意気込みを述べたところ再び反響があり、次第に応援コメントも増えていった。

 しかし、この流れが売上アップに直結したわけではない。「動画を撮る時間がなく、2月にアップした動画は3本のみ。インパクトはあったものの来店にはつながらず、2月も赤字は変わらず売上はたった70万円でした。そこで思い切って3月から平日のランチ営業を止め、その時間で撮影をして週3本のペースでメニューのランキングやレシピ公開の動画をアップしたところ、一気に流れが変わりました」と宮嶋氏。

  • オリジナルメニュー「鶏もものから揚げ」をアピールするためにレシピ動画を投稿。あわせて「から揚げ2個無料キャンペーン」を告知して来店へとつなげた
  • 初の黒字を達成した2023年3月の売上を報告する動画。これまでの経緯と喜び、感謝を率直に伝えることで多数のポジティブなコメントが書き込まれた

 なかでも“バズった”動画は、KJ氏が看板メニュー「鶏もものから揚げ」(680円)のレシピを紹介する内容だった。「当店一番人気のメニューのこだわりを知ってほしいという思いがありました。動画内でから揚げ無料キャンペーンの告知もしたところ、その動画を見た114人もの方が来店してくださいました」とKJ氏。3月には前月よりも売上115万円アップと、初の黒字を達成。4月は2月比で売上4倍の274万円、来客数は7倍、予約者数は13倍と大幅な黒字となった。

 TikTokには類似の動画も多数あるが、PLUCK AND PLANTがここまで注目され、支持を得るようになったのは「コメントに真摯に向き合い、改善していくKJ君の一生懸命な様子を応援したくなるのでは」と宮嶋氏は分析する。

営業時間外の店内で、宮嶋兄弟とKJ氏の3名でiPhoneを使って撮影。機材や画質にこだわらないラフな撮影スタイルだからこそ親近感が増し、応援の声が集まっている

 動画の撮影内容は毎回3人で話し合い、限られた時間で効率よく撮影するために宮嶋氏が台本を作成。まずKJ氏がアフレコをして、アフレコに合わせてmiya氏がiPhoneで撮影を行い、2時間程度の編集作業を経て投稿する。「画質にはこだわらず、アフレコでもKJ君の素朴な話し方をそのまま採用しています。ありのままの実情をかっこうをつけずに報告することが見る人の感情を動かし、ファンになってもらえると考えています」(宮嶋氏)

  • TikTokにアルバイト募集の投稿をしたところ、1週間足らずで170件以上の応募があった。「ぜひ一緒に働きたい!」などの熱烈なメッセージも
  • ビル1階の店舗入口にデジタルサイネージでTikTokの投稿動画を表示して宣伝。TikTokをきっかけに訪れた客の目印にもなっている

 TikTokのフォロワー数は現在約1万9千人。5月末にアルバイトの求人を行ったところ、1週間で170人以上からの応募があった。「お金のためというより『この店だからこそ働きたい』『KJ君と働きたい』という人がほとんど。SNS経由での求人は、事前にスタッフや店のイメージが伝えられるのでミスマッチを防ぐことができて効果的です」と宮嶋氏。

 同店のTikTokは「TikTok上半期トレンド大賞2023」にノミネート。今後も集客への取り組みなどリアルな店舗運営の姿を動画で伝えていくと同時に、一連の動画投稿で培ったノウハウを生かし、セミナーを開催するなど、コンサルタント業務にも注力していく予定だ。

オーナー 宮嶋 祐也 氏
獣医師として勤務する傍ら、2022年10月に初の飲食店をオープンして現在に至る。TikTokをはじめとする動画投稿の専門知識を生かしてコンサルタントとしての活動も開始した。

繁盛店づくりのサポートは「ぐるなび」におまかせください!

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。

「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、集客・リピート促進はもちろん、POSレジの導入や顧客管理、エリアの情報提供、仕入れについてなど、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】