2012/05/15 特集

この夏売れる!人気店のこだわりドリンク

気温・湿度の上昇とともに、ドリンク需要もアップ!今回はお店の売りや特長をうまくアピールし、集客やファン作りにつなげている3店舗を紹介。ぜひドリンク販促のヒントにしていただきたい。

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更新日:2024.5.23

気温・湿度の上昇とともに、ドリンク需要もアップ!今回はお店の売りや特長をうまくアピールし、集客やファン作りにつなげている3店舗を紹介。1杯目はビールでも2杯目以降は様々分かれるもの。ぜひドリンク販促のヒントにしていただきたい。

目次
200種の梅酒をそろえた探求心が梅酒ファンの信頼感を得る
飲んだ後までおいしいビールを提供!「ここはおいしい!」と選ばれる店に
ワインの質と価格、接客スタイルで人気店に
数字で見るドリンクニーズ

200種の梅酒をそろえた探求心が梅酒ファンの信頼感を得る

【神戸・三宮】 Dining&Bar 龍屋 Ryu-ya

お湯割りやロックなど、梅酒は種類や飲み方によってグラスを変えて提供する。手前は飲み比べセット

メニューブックはまるで梅酒の辞典

オープン時には50種ほどだった梅酒を徐々に増やし、昨年ついに200種に。「梅酒好きなこともありますが、競争の激しいなか、何かに特化した店を作らないと生き残れないと考えました。実は梅酒以外のお酒も豊富にあり、どんな方でも楽しめると思います」と、「龍屋」オーナーの久保久二氏。健康志向時代ともマッチし、梅酒専門店として認知されて客足を伸ばしている。

梅酒のアピール方法を店長の大城拓也氏に聞いた。「200種に増えてから、メニューブックを改正。甘い梅酒、すっぱい梅酒、兵庫の梅酒などのカテゴリで分け、メニューブックにも目次を作りました」。客はまず目次から好みのカテゴリを選び、その中から興味を持った梅酒を見つけ、店の視点で書かれた説明文を読むとますます飲んでみたくなるという仕掛けだ。独自のカテゴリ分けやニックネーム付けも楽しく、オーダー前から盛り上がる。

つねに梅酒を回転させリピーターを飽きさせない

自慢の梅酒は数をそろえるだけでなく、「飲み比べセット」を作り、客の興味を引く作戦も。これは3種類の梅酒を1セットにし、12セット用意。友人と違うセットをオーダーし、それをまた飲み比べるなど、楽しさも倍増。さらに週替わりの「選べる飲み比べセット」も作った。「毎週違う14種の梅酒から選ぶもので、200種ある梅酒を効率的に回転させるためでもあります。新しいものは新しいうちに飲んでいただきたいですね」と大城氏。バランス良く梅酒を提供することで、新商品の入荷も定期的に可能となり、リピーターを飽きさせない。さらに、毎年一回、大阪で開催される梅酒大会にも出向き、その年のベスト10をメニューに加えるなど、梅酒の研究にも熱を入れる。その専門性が信頼される要因となり、さらに店のファンを増やしているようだ。

梅酒瓶のディスプレイもオーダーアップのためのアイデア。「空ビンはテーブル席の脇に並べ、下からライトアップすることで、インテリアの一部に、そしてメニュー代わりにもなります」(大城氏)。男性トイレには男性向けの銘柄をちょうど目線の高さにディスプレイ。席に戻ってからその梅酒をオーダーする人も多く、狙いどおりの効果を得ている。

夏に向けての梅酒販売では、「梅酒シャーベット」や地元兵庫の「神戸発泡梅酒」、自家製梅酒ソルベ、ミントを使った梅酒カクテルなどに期待を寄せる。特に「神戸発泡梅酒」は観光客に人気があり、シャンパングラスで飲むという清涼感が夏場にはぴったり。

もちろん梅酒に合う料理も店の自慢だ。一番人気は「白い角煮」で、醤油、砂糖を使わず、梅肉とおろしショウガで食べるさっぱりとした風味。「梅酒の魅力を多くの方に知ってもらいたい」とオーナーの久保氏。この店をステップに、次の店舗展開も考えている。

Dining&Bar
龍屋 Ryu-ya
兵庫県神戸市中央区下山手通1-3-8 月世界ビルB1
2008年オープン。ゆったりとしたレイアウトの店内は黒を基調にし、大人の隠れ家的雰囲気。生田神社に近く、観光客の利用も多い。200種の梅酒をそろえ、健康志向の昨今、男女問わずファンがついている

飲んだ後までおいしいビールを提供!「ここはおいしい!」と選ばれる店に

【東京・神保町】 創作Dining Bar BISTRO Kuu

知識と技術の習得が自信と責任感を育てる

大手ビールメーカーのビール講座を修了したスタッフが、自信をもっておいしい生ビールを提供している「Kuu」。「講座は、品質管理から提供方法までしっかりと学べます。ビールのプロから正確な知識と技術を得ることにより、ドリンクへの意識が高まり、おいしいドリンクを提供する責任感が生まれます」とは、店長の門倉和幸氏。こだわって注いだ生ビールは、クリーミーな泡、まろやかなのどごし、そして飲んだ後にはグラスにくっきりと泡のリング(エンジェルリング)が残る。常にこの状態になるようにスタッフ全員で手順を確認し合っている

きれいに手洗いして冷やしたグラスを少し傾けながら、泡が立たないように、静かにビールを注いでいく
注いだときにできた、粗い泡の層をすべて取り除く。すばやく、かつ丁寧に行なうことが大事
あらためてきめの細かい泡を注ぐ。粗い泡が浮き上がったら取り除き、クリーミーな泡で満たされるようにこだわる

そのため、品質管理には人一倍気を遣う。機材は規定どおりにきっちり洗浄し、グラスは必ず専用スポンジで手洗い。注いだ時にできる粗い泡はすべて取り除くとともに、時間が経って泡が少しでもへたったら、すかさずやり直す。また、生ビールを運んだタイミングで、フードをオーダーしようとする人も少なくないが、「注ぎたてを飲んでいただきたいので、『お待ちしていますので、泡のきれいなうちにぜひ一口お召し上がりください』とお声がけしている」(門倉氏)ほどだ。

実際に、同店の生ビールの評判は上々だ。「提供時に『おいしそう』と言ってもらえることが多いですね。『いつもは 1杯だけだけど、今日はおかわりします』と2杯目もビールをオーダーされる方も結構います」と門倉氏。飲み放題メニューに生ビールを入れたところ、中高年の男性客らにとても喜ばれ、宴会のリピーターも増加しているという。

生ビールを大切に扱う姿勢は、メインドリンクのワインにも共通している。専用のセラーで、赤は16度以下、白は10度以下に保つなど、温度管理を徹底。季節に合わせてワインのラインナップを変えつつ、常時50種類以上取りそろえ、料理とのマリアージュも重視している。

「ワインもビールも、勉強すればするほど、丁寧に扱いたいと思うのです。私たちの扱い方ひとつで、よりおいしくなるのですから」と門倉氏。確かな知識と技術に裏打ちされたドリンクへの愛情こそが、同店の〝ドリンクのこだわり〟なのだ。

店舗ページで、「見て」「飲んで」「飲んだ後も」……と、こだわりの生ビールをアピール
ワインボトルでディスプレイした、気軽に立ち寄れる1階のバーテーブル
店長 門倉 和幸 氏。大手コーヒーチェーン店勤務から、2009年12月開店の1号店「和創作 空Kuu」(東京・西新宿)を経て現職。大手メーカーで受講したビール講習をもとに、日々おいしいビールを追求し、ドリンクへの愛情は人一倍強い。
創作Dining Bar
BISTRO Kuu
東京都千代田区神田神保町1- 41 駿河台下MKビル1・2F
http://r.gnavi.co.jp/e724601/2010年12月オープン。1階は1人でも気軽に立ち寄れるダイニング、2階は記念日や宴会利用など、ゆっくり寛げるリビング風の造り。ランチも盛況で、本の街・神保町で存在感を増している。

ワインの質と価格、接客スタイルで人気店に

【福岡・渡辺通】 World of wines YOSHIYA

ワインに合う料理のほか季節感を大事にして提案

上質なワインをリーズナブルに、気軽に楽しめるダイニングとして2009年にオープン。売上に占めるドリンクと料理の比率が2対1と、まさにワインが看板の店だ。「オープンした当時の福岡でワインの店といえば、敷居の高い専門店が主流で、ボルドーやブルゴーニュといった王道のワインに偏っていた気がします。そうではなく、種類が豊富で、しかも手に取って気軽に選べるカジュアルな店を作ろうと思ったのです」とオーナーソムリエの吉山 宏氏。知る人ぞ知る名店に成長し、周辺のホテルに宿泊しているワイン好きの人がフラッとひとりで入ってくることもある。

店内の特徴はなんといっても、専門小売店さながらのディスプレイ棚。客が自由に手にとって選ぶことができ、迷っている人には様々な角度からアドバイスをしてコミュニケーションを図り、選ぶ楽しさを伝えている。厳選したワインは、ニューワールド系や自然志向のビオワインから、王道のもの、レアものまで約250種類。価格は仕入れ値プラス2000円が基本と、明快なのも好評だ。

「料理はフレンチベース。肉料理も赤ワインに合う仔牛のタンや和牛のハツなどの部位を使ったり、白ワインにはひな鳥やシャラン鴨に白インゲン豆を合わせたりしています。ワインは季節感を大切にし、例えば桜が咲く季節には店内に桜のディスプレイをしてロゼのスパークリングを、湿度の高い梅雨時や夏場はシャンパーニュや白ワイン、赤ワインもフルボディより爽やかなものを提案しています」と吉山氏。グラスワインも、白・赤・スパークリングを満遍なく、常時15種類用意。何種類も飲み比べでき、しかも毎日替わるので、それを楽しみにしているリピーターも多くなっている。

「定期的にインポーターの試飲会に参加して、より魅力的なワインを探し出し、ボトルの銘柄を頻繁に入れ替えるようにしていますね。仕入れの過程で発生するコスト的なロスを最小限にして、価格に還元するよう努めています」と、質と価格の追求、そして提供スタイルのこだわりが今日もワイン好きを惹きつけている。

World of wines YOSHIYA
福岡県福岡市中央区渡辺通3-1-1 TK ビル1F
http://r.gnavi.co.jp/f597300/天神や薬院、中州にも徒歩でアクセスでき、集客はビジネス層中心。43席の空間は、パーティも可能で、金・土は、二次会、三次会も入り3回転する。21時からはバーの利用が増え、一人客のリピーターも多い。

数字で見るドリンクニーズ

宴会で飲むドリンクの種類やビールの嗜好、ノンアルコールドリンクの傾向は?ぐるなびユーザー(20歳以上の男女)を対象にWeb で実施したアンケートデータを紹介。

乾杯ドリンク&2杯目編

2012年4月実施 回答数/Q1・2=1,001人

ビール類編

2012年4月実施 回答数/Q3=829人、Q4=327人、Q5=327人、Q6=802人

ノンアルコールドリンク編

2012年3月実施 回答数/ Q7=1,472人、Q8=471人、Q9・10・11・12・13=340人、Q14=326人)

アルコール分が含まれない、もしくは1%未満のアルコール分を含むアルコールテイストの飲料