業態×エリア×国別で考える、飲食店のインバウンド
日本政府観光局(JNTO)の発表(2025年1月15日)によると、2024年訪日外国人旅行者数は3,687万人で、2023年の2,507万人から飛躍的に伸びている。この数字は、過去最高であった2019年の3,188万人を更新。2025年はさらなる伸びが予測されている。2024年1年間の訪日外国人数(累計)を国別でみると、2023年と同様1位が韓国、続いて飛躍した中国、そして台湾と、アジア圏が上位を占めた。
ところで、訪日観光客と一口に言っても、日本で体験したい外食は国によって異なるであろう。「ぐるなび外国語版」では、予約を行った外国人の情報から「どの国の人」が「どのエリア」を訪れ、「どの業態」の飲食店を予約しているかを分析している。この結果を基に、今回はインバウンド集客を伸ばしているエリアの4業態を取材。人気店が実施している対策に着目し、集客につながるポイントを見ていく。
インバウンド獲得へ!「ぐるなび外国語版」飲食店トレンド解析
上位の訪日エリア(大阪、東京、福岡、京都、北海道、沖縄)
人気の業態(居酒屋、すき焼き・しゃぶしゃぶ、焼肉・鉄板焼き・ステーキ、寿司・刺身・海鮮)
目次
1.「居酒屋」
藁焼き炉端 海風土(しーふーど) (福岡・博多)
2.「すき焼き・しゃぶしゃぶ」
モーモーパラダイス 歌舞伎町本店(東京・新宿)
3.「焼肉」
MAIDO和牛焼肉(大阪・道頓堀)
4.「寿司」
東京寿司 ITAMAE SUSHI 銀座コリドー店(東京・銀座)
※写真(各店より提供)は全て一例です。仕入状況や季節により変更となる場合があります。
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1.「居酒屋」
藁焼き炉端 海風土(しーふーど) (福岡・博多)
「藁焼き炉端 海風土」は、福岡・博多駅近くに位置する本格的な炉端焼店。新鮮な海の幸を豪快な藁焼きで楽しめるのが特徴で、香ばしい風味とともに素材のうま味を最大限に引き出した料理がそろう。店内は温かみのある和の雰囲気が広がり、観光客はもちろん、地元の方々にも愛される人気店だ。
訪日外国人で特に多いのが韓国人。韓国のインフルエンサーによるSNSでの紹介が影響し、来店客による口コミで高い評価を得ている。また、韓国語メニューの用意やスタッフの親しみやすい接客が、韓国人観光客が安心して訪れやすい環境を提供している。
外国人客の中で韓国人が最も多いため、日本語版をそのままそっくり韓国語版で作成したメニューを用意。日本式の居酒屋体験にも一役買っている。
SNSで目にしたメニューを目当てに来店する人が多いため、名物料理は写真付きで注文しやすくしている。
【外国人客の傾向と対策】
■割合
・韓国人が7~8割
・男女比半々、家族連れやカップルも多い
■客単価
・韓国人:3,000円前後、中国人・タイ人:4,000円前後
■傾向
・韓国人客はSNS映えを重視し、最低限の注文で済ませる傾向
・中国人客は高級食材を好む(ウニのおにぎりが人気)
・牛肉が比較的安価なため、韓国人の注文も多い(牛タン・藁焼き肉料理など)
■メニュー開発
・写真で撮りたくなる盛り付けで、魅せる
・試験的に出したメニューが人気になれば、レギュラー化
・日本人向けに開発したメニューが、結果的に韓国人にも人気
■目玉商品・予約制メニュー
・サーモンやウニなど一部メニューは個数限定・予約制だが、食材があれば提供
・海鮮丼は完全予約制にし、原価バランスを調整している
■飲み放題
・韓国には飲み放題の文化がないため、試験導入。2時間1,980円で提供
(韓国人客は滞在時間が短めで、2時間未満で退店することが多い)
■接客
・言語に合ったメニューを渡す
・声がけをし、フレンドリーな接客を心がける
■集客・インフルエンサー活用
・韓国のインフルエンサー(ブロガー)を2カ月に1回招待
・台湾のYouTubeチャンネルでも紹介予定
・特に提携はしていないが、ホテルからの紹介は多い
藁焼き炉端 海風土(しーふーど)
業態:居酒屋
席数:100席。座敷、テーブル、カウンター席あり
客単価平均:3,000~4,000円
客層:インバウンド5~7割、宴会シーズンは日本人も多数
アクセス:地下鉄空港線(1号線) 博多駅 徒歩4分、JR博多駅 徒歩7分
営業時間:17:00~24:00(L.O.23:00)、定休日無し(不定休あり)
https://r.gnavi.co.jp/m42d1hek0000/
https://www.instagram.com/hakata_seafood/
2.「すき焼き・しゃぶしゃぶ」
モーモーパラダイス 歌舞伎町本店(東京・新宿)
本格的なしゃぶしゃぶとすき焼きを楽しめる専門店「モーモーパラダイス」は、日本国内はもちろん、海外にも店舗を展開し、厳選されたお肉と新鮮な野菜を提供。特に、食べ放題スタイルで上質な和牛やブランド豚を楽しめる点が人気の理由で、SNSや口コミサイトでも「日本らしい食体験ができる」「コスパが良い」といった好意的なレビューが多く寄せられ、リピーターも増加中だ。
多言語対応が可能なスタッフによるサービスが充実しており、初めて日本のしゃぶしゃぶ・すき焼きを体験する観光客でも安心して楽しめる環境が整っている。
お肉の上に部位を示すプレートが置かれており、国籍を問わず誰でも直感的に理解できる。
このプラスチック製のプレートは、約10年前のリニューアル時から導入。高級感のある上品なデザインもポイントだ。
【外国人客の傾向と対策】
■割合
・外国人客が約8割(アジア圏6割、欧米2割)
・男女比半々、ファミリー層が多い
■客単価
・6,000~7,000円、ツアー団体は6,300円
■傾向
・トリップアドバイザーの高評価やインスタグラムの投稿などを見て来店
■メニュー開発
・スープ・食材・タレ・薬味、全体の「質」にこだわった食べ放題プラン
・肉の種類ごとに最適な厚みに店内でカット
・肉や野菜の徹底した鮮度管理
■接客を重視
・外国語対応スタッフがそろう(英語、中国語、韓国語、タイ語)
・スタッフは日本人中心。英語や中国語の指導を受けながら経験を積んでスキル向上
・迷っている様子のゲストにはスタッフから積極的に話しかけ、不安解消に注力
■集客
・旅行会社より団体利用が定期的にある
・ツアー客がリピーターとして複数回訪れるケースも
■インスタグラムの工夫
・ターゲットをインバウンドに向け、料理ではなくスタッフとお客様の笑顔を中心に掲載
モーモーパラダイス 歌舞伎町本店
業態:すき焼き・しゃぶしゃぶ 食べ放題
席数:230席。ソファー席あり
客単価平均:7,000円
客層:8割がインバウンド。アジア圏が6割、欧米2割
アクセス:西武新宿駅 徒歩2分、JR新宿駅 東口 徒歩3分
営業時間:土、日 11:30~15:00(L.O.14:30)、17:00~22:30 (L.O.22:00)
月~金曜日 17:00~22:30 (L.O.22:00)、定休日無し
https://r.gnavi.co.jp/a068810/
https://a068810.gorp.jp/
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3.「焼肉」
MAIDO和牛焼肉(大阪・道頓堀)
「MAIDO和牛焼肉」は、厳選された黒毛和牛の食べ放題が人気の焼肉店。食べ放題コースは牛肉、豚肉、鶏肉、ホルモン、海鮮、スープ、ご飯もの、野菜、キムチ、揚げ物、アイスクリームなど、30種類以上がそろい、4,498円からとリーズナブル。飲み放題プラン(2時間1,300円~)も充実している。
オーナーは日本在住のベトナム人で、10年焼肉店で修業をし独立、現在大阪で2店舗焼肉店を運営している。1店舗目の「OKINI焼肉 難波店」は2023年5月オープン、2店舗目として「MAIDO和牛焼肉」を2024年8月にオープンしたばかりだが、いずれも観光名所である難波に位置していることもあり、和牛焼肉を目当てに多くの外国人観光客が訪れている。
予約の主軸がGoogle予約であったが、日々の業務に追われGBP(Googleビジネスプロフィール)の更新に手が回らない状況が続いていた。
そこで、ぐるなびの「GBPまるごとサポート」Mプランを導入。店舗やメニュー情報の最新化とクチコミへの返信の強化を開始した。順調に良いクチコミが増えており、継続的な検索上位表示を狙っていく。
【外国人客の傾向と対策】
■割合
・外国人客が7割(韓国人・中国圏が多い)
・男女比半々、20~60代と幅広い
■客単価
・6,000円
■傾向
・4人程度のグループが多い
・旅行会社経由で、中国人・ベトナム人の団体予約(30~50名)もあり
■メニュー開発・目玉商品
・黒毛和牛焼肉食べ放題
・牛肉の他に、豚肉・鶏肉・海鮮・揚げ物・デザートと幅広いメニュー構成
・タレも手作り
・大量仕入れで原価を抑え、切り方やロス削減を工夫
■飲み放題
・「プレミアム飲み放題」「飲み放題」「ソフトドリンクのみ」から選択できる
・食事中心の利用が多く、アルコールの注文は多くないため、安価な設定も可能
■接客・スタッフ
・日本人・ベトナム人・中国人など多国籍のスタッフを採用
・スタッフ教育を重視。言語対応が可能で親切な接客が高評価
■集客
・Googleマップ、Google検索での集客を強化するため、
ぐるなびのサービス「GBPまるごとサポート」を採用
MAIDO和牛焼肉
業態:黒毛和牛焼肉 食べ放題
席数:42席 6人テーブル席
客単価平均:6,000円
客層:インバウンドが7割。韓国人・中国圏が多い
アクセス:近鉄難波線 大阪難波駅 徒歩2分
営業時間:12:00~24:00、定休日無し(不定休あり)
https://r.gnavi.co.jp/4xsgcffu0000/
https://maidowagyuyakiniku.com/
4.「寿司」
東京寿司 ITAMAE SUSHI 銀座コリドー店(東京・銀座)
株式会社板前寿司ジャパンは、2023年11月より「板前寿司」ブランドの一部店舗名を「東京寿司 ITAMAE SUSHI」に変更し、同時にグランドメニューを刷新している。この改名の背景には、インバウンド需要の回復を見据え、寿司発祥の地、東京の”江戸前寿司”を世界中の人々に楽しんでもらうという目的がある。”東京に来たら板前寿司”をキャッチコピーに東京都内中心に店舗展開をしており、より高品質な江戸前寿司を提供するブランドとして「板前 鮨 はなれ」や、2024年4月にオープンした「PRIME‐GINZA SIX」もある。
「東京寿司 ITAMAE SUSHI」の特徴は、新鮮な食材と熟練の職人技を活かした高品質な江戸前寿司を、リーズナブルな価格で楽しめること。近年、訪日外国人に向けたSNS・デジタルマーケティングに力を入れ、情報発信による話題性と口コミ評価の向上を図っている。
SNSへのクチコミや画像投稿の促進については、店内の目立つところではなくトイレ内にさりげなく表示。
記載は英語・韓国語・中国語・日本語と、誰もが理解ができように多言語で表記している。
【外国人客の傾向と対策】
■割合
・外国人客が9割(英語圏・中国圏・韓国人が多い)
・男女比半々、20~60代と幅広い
■客単価
・4,500~8,000円
■傾向
・SNSなどの情報から、格安ではなくおいしさ重視の層が来店
■メニュー開発
・江戸前ブランドを代表する食材を厳選。売りは天然本マグロ
・黒毛和牛寿司もラインナップ
・ホテル持ち帰りの需要あり、デリバリー、テイクアウト商品も充実
■接客
・英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語などのメニューを用意
・店舗スタッフの語学研修を強化し、基本的なコミュニケーションをサポート
■キャッシュレス決済の導入
クレジットカード、QRコード決済(WeChat Pay、Alipayなど)の導入で利便性を向上
■集客
・Instagram、Facebook、XなどのSNSを活用し、海外向けに情報発信
・Googleマップやトリップアドバイザーなどの口コミ評価の向上対策
・YouTubeやTikTokで寿司職人の技や店舗の魅力を動画で紹介し、話題性を高める
・ホテルや旅行代理店と提携し、ツアーの食事プランに組み込む
■ベジタリアン対応
・ベジタリアン向けの寿司メニューを開発し、選択肢を拡大
東京寿司 ITAMAE SUSHI 銀座コリドー店
業態:江戸前寿司
席数:27席 4人テーブル半個室、カウンター席あり
客単価平均:4,500~8,000円
客層:インバウンド9割。英語圏・中国圏・韓国人と幅広い
アクセス:地下鉄銀座駅 徒歩5分、JR新橋駅 徒歩3分
営業時間:月~木・日曜日 11:30~23:00
金・土曜日 11:30~翌4:00(不定休あり)
テイクアウトは全日 11:30~22:30
https://r.gnavi.co.jp/gucw14pe0000/
https://itamae.co.jp/
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