2023/03/14 特集

人材採用に強い店になる!【リファラル採用編】~株式会社岐阜タンメンBBC~

3月は人の入れ替わりが多い時期。人手不足に悩む飲食店が多い中、人材採用や定着率アップに成功している事例を紹介。リファラル採用率50%を達成した株式会社岐阜タンメンBBCの取り組みを取り上げる。

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目次
紹介制度の認知拡大に注力!
店長の働きかけでアルバイトからの紹介も増加!
リファラル採用のポイントは「紹介したい店になること」
リファラル採用のデメリットやリスクも考慮

労働環境の整備&紹介制度の認知拡大でリファラル採用率アップ。離職率も5%以下に!

 3月は人の入れ替わりが多い時期。人手不足に悩む飲食店が多い中、人材採用や定着率アップに成功している事例を「リファラル採用編」「女性採用編」「短期採用編」の3つ紹介。

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 リファラル採用編の本記事では、労働環境を整備しつつ、紹介制度の認知を高めることで、アルバイトのリファラル採用率50%を達成した株式会社岐阜タンメンBBCの取り組みを取り上げる。

紹介制度を導入するも活用されず、テコ入れとして社員への認知拡大に注力!

 2004年9月に創業し、主力ブランド「岐阜タンメン」のほか、唐辛子卵とじラーメンの「カプサイメン」、とんこつラーメンの「ばりばり軒」など、東海地区を中心に30店舗を展開する株式会社岐阜タンメンBBC。2023年2月現在、正社員約90人、アルバイト含めて約750人が働く飲食チェーンだ。同社では5年前からリファラル採用に本腰を入れ、アルバイト採用のリファラル比率が50%を超える月も。人手不足に苦しむ飲食企業が多い中、社員登用の順番待ちが起こるなど、採用活動を成功させている“勝ち組企業”だ。

 同社では長らくWebの求人媒体で人材を獲得してきた。一方で、スタッフの紹介でアルバイトになる人もいたことから、5年前に紹介制度を整備。紹介した側・された側双方に正社員で1万円、アルバイトで5,000円の紹介料が入る仕組みを設けた。

 ただ、社内での周知が十分ではなかったこともあり、紹介制度を利用した正社員採用は年間2~3人ほどで、アルバイトに至ってはほぼゼロ。全社的な活用には至っていなかった。

 そこで、営業本部採用・広報担当課長の廣井朗氏は、2021年9月に外部のリファラル採用サポートサービスを導入。紹介したい人材がいる場合に登録して採用担当者に連絡が届く専用アプリを全社員のスマートフォンにダウンロードしてもらった。しかし、ただアプリをスマホに入れただけでは活用は期待できない。そこで、アプリの機能を使って社員がリレー形式で経歴や入社経緯などを語るインタビュー記事を定期的に配信し、アプリを起動するのが習慣化するように取り組んだ。「記事は社員の個性を前面に出した内容で、『また読みたい』と思ってもらえるように工夫しました」と廣井氏。

全社員の携帯にインストールした人材紹介用アプリの機能を使って社員のインタビュー記事を配信(写真はホームページのもの)。「それぞれの経歴や人柄が分かって面白い」と好評で、社員がアプリを見るきっかけに。アプリを開くことが習慣化されることで、紹介制度の認知度も高まった

各店舗の店長が紹介制度の活用を意識することで、アルバイトからの紹介も増加!

 こうして、徐々に紹介制度の存在を社員に意識付けしていったことで、一番変化があったのが現場の店長とアルバイトスタッフのコミュニケーションだ。店長が紹介制度の存在を意識するようになったことで、アルバイトスタッフに対して紹介制度の存在を伝え、「いい人がいたら採用したい」と話す機会が増加。これによってアルバイトも、自分の友人や後輩などの中から「飲食業に向いている」と思う人を意識的に紹介してくれるようになった。

 その効果が顕著に出たのが、2022年3月の採用活動だ。もともと3月は卒業などでアルバイトスタッフの入れ替えが多い時期だが、この月に採用したアルバイトスタッフの半数以上がリファラルによるものだった。その後もアルバイトスタッフを新たに採用する場合、約3分の1がリファラルで獲得できている。さらに、近年は正社員採用の9割がアルバイトスタッフからの昇格入社となっていることから、リファラルでアルバイトスタッフを採用し、そこから社員登用につなげるという流れが確立されつつある。

リファラル採用を増やすためのポイントは「誰かに紹介したくなる店や企業であること」

 認知拡大策がリファラル採用の活性化につながった理由について、「ベースとして重要なのは紹介したい職場を作ること」と強調する廣井氏。例えば、ケガのなく安全な環境を整えるため、店舗にはカットした野菜を納品し、包丁を使う機会をほぼなくしたり、やけど防止のため、自動餃子焼き機を全店舗に導入するなどした。さらに、全アルバイトを対象にした「従業員満足度アンケート」の結果を社員に共有し、アルバイトの意見や要望を基に改善策を話し合うなど、ES向上にも注力している。加えて、休日の確保や有給休暇取得率アップのための企業努力を継続。地道に労働環境の改善を図ってきたことが、離職率5%以下という結果につながっている。

全アルバイトを対象にした「従業員満足度アンケート」の結果を社員に共有。アルバイトの意見を基に改善策を話し合うなど、ES向上に注力。こうした取り組みがアルバイトの帰属意識を高め、ひいては人材の紹介にもつながっている

リファラル採用のデメリットやリスクも考慮

 “人材採用”というと、現場のスタッフは「会社がやってくれる、見つけてきてくれる」という意識になるのが自然。しかし、同社では労働環境の整備などで従業員満足度を高め、店長などのマネジメント層が紹介制度を強く意識することで、アルバイトでも「店をより良くするために、より楽しく働くために、良い人がいたら店長に紹介しよう」という意識を持てるようになったのだ。

 しかし、リファラル採用もメリットばかりではない。特に廣井氏が気を付けているのが、「プライベートの関係を職場に持ち込むこと」だという。私生活での関係を職場に持ち込むと規律が乱れ、結果的に店全体のパフォーマンスが落ちかねない。そこで廣井氏は、面接時に「紹介してくれた人とはプライベートでは友人でも、会社では先輩と後輩の関係性になります。そこはしっかり分けてほしい」と伝え、注意を促している。

  • YouTubeチャンネル「公式岐阜タンメンBBC」を開設。社員のインタビュー動画などを公開している
  • 年に1回、社員やアルバイトの交流の場として運動会を開催

 また、リファラル採用は、急に欠員が出た時や繁忙期など、ピンポイントで人材が必要な場面の採用には不向きなので、求人媒体もうまく併用している。ホームページYouTubeチャンネルに職場の様子を伝える社員インタビューを掲載したり、Instagramで新店舗の出店情報を発信する際に求人募集の内容も合わせて投稿。そのほか、中学生に「岐阜タンメン」の実店舗で職場体験をしてもらい、会社を知るきっかけを作ってもらうなど、将来的に人材採用の確率を高める取り組みを実施。今後は、常連客をアルバイトや社員としてスカウトして採用する新たなルートも確立していきたいと考えている。

株式会社岐阜タンメンBBC 営業本部 採用・広報担当課長 廣井 朗氏
2013年8月入社。専門学校を卒業後、自動車業界の企業に就職。その後、個人のラーメン店を経て同社へ。店長職などを経験後、4年前から採用担当を務めている。

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