2024/02/27 特集

2024外食トレンドを読み解く!“大衆酒場”戦国時代へ突入か⁉

2024年、コロナ禍が明けて、飲食業界も新たなフェーズに入っていきそう。そこで、飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎氏が消費者マインドを踏まえて外食業界のトレンドを分析。三ツ井氏によると「焼肉戦国時代」から「大衆酒場戦国時代」へと変わっていきそうだという。

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2024年は大衆酒場戦国時代へ! 差別化と接客力が人気の鍵に

飲食業界も新たなフェーズに入っていきそうな2024年。消費者の行動やマインドにも変化が見られそうだ。そんな中、外食業界にはどんなトレンドの傾向が見られるのだろうか。飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎氏(株式会社スリーウェルマネジメント)は、「大衆酒場戦国時代」に突入するのではないかと語る。注目の企業やこれから飲食店が生き残るために必要な要素を含めて話を聞いた。

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株式会社スリーウェルマネジメント 代表取締役 三ツ井創太郎氏
数多くのテレビでのコメンテーターや新聞、雑誌などへの執筆も手掛ける飲食店専門のコンサルタント。大学卒業後、東京の飲食企業にて料理長や店長などを歴任後、業態開発、FC本部構築などを10年以上経験。その後、コンサルティング会社である株式会社船井総合研究所に入社。飲食部門のチームリーダーとして、中小企業から大手外食チェーンまで幅広い企業の経営を支援。2016年に飲食店に特化したコンサルティングを行う株式会社スリーウェルマネジメントを設立。代表コンサルタントとして日本全国の飲食企業をサポート。東京都の中小企業支援事業の選任コンサルタントや青森県の業務委託コンサルタントに任命されるなど、行政と一体となった飲食店支援も積極的に行っている。著書「飲食店経営“人の問題”を解決する33の法則」(DOBOOK)は、Amazon外食本ランキングで1位を獲得。

目次
2023年は軒並み業績回復も、居酒屋は完全復調ではない
宴会需要も回復傾向だが、小規模開催は継続か
2024年は大手も大衆酒場へ続々参入
個店の飲食店こそ、DX&付加価値戦略で集客を

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――まず、2023年の飲食業界を振り返っていただけますでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、外食産業は売上が回復して好調でした。「外食産業市場動向調査」(一般社団法人日本フードサービス協会)によると、2023年の外食産業の全体売上は前年比114.1%、コロナ禍前の2019年比でも107.7%となりました。回復の主な要因は、円安によるインバウンド需要の拡大と、値上げによる売上増だと思われます。

ただし、業種によって明暗が分かれています。ファーストフードは前年比110.4%、2019年比では120.1%と好調でした。ファミリーレストランは2019年比で98.9%、ディナーレストランは同93.6%、喫茶が96.2%ですが、居酒屋はわずか62.2%にとどまりました。

外食産業の売上高(2023年1月~12月データ)
売上高
2022年対比
売上高
2019年対比
居酒屋 132.3% 62.2%
パブ・ビアホール 140.2% 76.8%
ディナーレストラン 122.7% 93.6%
ファミリーレストラン 117.5% 98.9%
ファストフード 110.4% 120.1%
喫茶 120.6% 96.2%
その他 117.5% 112%
全体 114.1% 107.7%
出典:「外食産業市場動向調査」(一般社団法人日本フードサービス協会)

居酒屋は二極化していて、“大衆酒場”は全体的に業績がよく、コロナ禍で急成長した低価格居酒屋「新時代」(株式会社ファッズ)や「鳥貴族」(株式会社鳥貴族ホールディングス)などは特に好調です。物価上昇が続く中で、単価の安いお得感のある業態に消費者の目が向けられているためでしょう。一方で、大規模な宴会や団体客を受け入れる大型店は客足が戻っていない状況です。

また、「もんじゃ焼き」など昭和レトロ感のある店舗の出店も増えました。中高年にとってはなつかしい昭和レトロも、若者にとっては一周回っておしゃれな真新しさとして受け入れられている印象です。加えて、もんじゃ焼きは「幅広い客層をターゲットにできる」「食事ニーズにもアルコールニーズにも対応できる」「原価コントロールがしやすい」などのメリットがあります。昨年トレンドになった「ごちそうおにぎり」も、テイクアウトや時短ニーズのほか、米の価格が安定していて原価コントロールしやすいことが参入増加の背景にあると思われます。

一方で、“ごちそう感”や換気への安心感から人気が高まり、参入が相次いだ焼き肉店はやや飽和状態になりつつあります。円安によるUSビーフの価格高騰と、精肉に携わる人材の人件費が上がったこと、加えて焼肉業界にはこれまでBSE(牛海綿状脳症)などの苦境を生き抜いてきた強者の経営者が多く、設備投資も含めて容易に参入できる業態ではないことも相まって、出店の熱は収まり、業績も勝ち組と負け組に分かれているように感じます。

――消費者の外食マインドや行動はどのように変化していますか。

歓送迎会や忘新年会などの宴会ニーズは増えていますが、やはり小規模で行われる傾向にあります。コロナ禍の前から大規模な宴会が敬遠されがちな世相がありましたので、この流れは不可逆ではないでしょうか。

飲食店の探し方にも変化があります。Z世代はInstagramやTikTokなど情報の鮮度が高いSNS経由で探していますが、ビジネス層はGoogle検索でトップに出てくるGoogleビジネスプロフィールに表示される店舗から探す傾向があります。ただし予約自体はぐるなびなどのグルメサイトから行う率が高いので、Googleからの予約ボタンをグルメサイトに連携させておくと予約率アップが望めるでしょう。

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コロナ禍以降は外食の頻度が減ったこともあり、ハレの日は単価を気にせず良いものを食べて、普段は大衆酒場で気取らずに安く済ますという方向に二極化してきました。こうした消費者マインドの変化にどう対応していくかが大事です。

また、リスクを伴う多店舗展開よりも既存店の磨き込みをしようという外食経営者が増えたように感じます。地域に根付いた1店1店を成熟させたいというご相談も多くいただくようになりました。私も今後は、店舗を展開していく「成長戦略」よりも、1店舗のレベルを高めていく「成熟戦略」が重要になると考えていますし、一過性のにぎわいを生み出す「繁盛店」よりも、QSCを高めてコロナ禍のようなことがあっても簡単には揺るがない足場を固め、顧客満足度、従業員満足度も高めながら豊かに発展していく「繁栄店」が生き残る時代になると思います。

――では、三ツ井さんが注目する2024年の外食トレンドは何でしょうか。

大手外食チェーンのIRや中期経営計画を見ると大衆酒場の出店計画が多く、2024年からは「大衆酒場戦国時代」が訪れそうです。成長戦略を打ち出したいものの、長引いたコロナ禍の影響で既に借り入れ枠がない企業も多く、従来のように内装や家賃などの固定費に投資できなくなっています。こうした企業側の懐(ふところ)事情と、消費者側の飲食コストを抑えたいというニーズ、そして近年の大衆酒場ブームが合致して、マーケットが拡大しています。

大衆酒場の中でも勢いを増しているのが、名古屋を中心に「立呑み焼きとん大黒「魚椿」などを展開する光フードサービス株式会社で、2月28日に東証グロースと名証ネクストへのIPO(新規上場)が決まったようです。「立呑み焼きとん大黒」は客単価2,000円台のブランドですが、スタッフとお客様、さらにはお客様同士の距離感が近く、「コミュニティー作り」を店舗単位で実施している点が他のお店には無い特徴となっています。「魚椿」ブランドも「立喰い寿司 魚椿」などの新業態へと進化させており、好調のようです。飲食業界では、以前からある立ち飲み業態ではありますが、光フードサービス株式会社はこの立ち飲み業態に独自の人材育成システムや、DX化を組み合わせており、同社のこうした取り組みは今後も目が離せません。

三ツ井氏が注目する飲食企業の一つが光フードサービス株式会社。「立喰い寿司 魚椿」(写真)など、時代のニーズに合わせた業態開発を進めている

名古屋は前出の「新時代」「立呑み焼きとん大黒」のほか、ステーキ・ハンバーグレストラン「ブロンコビリー」(株式会社ブロンコビリー)など、面白い店が多いですね。最近では「炭火焼き鳥ブラザー」「Caravan」「TRANSIT」を展開する株式会社十七商店に注目しています。「TRANSIT」はワンショットバーでありながら名物が豚汁ですし、各店舗が古さと新しさを共存させたユニークなセンスで若者に受けています。

三河エリアを中心に「紗織」「GARIGUETT」などの飲食店を展開するエイムエンタープライズ株式会社も絶好調です。コロナ禍を経てカフェ・スイーツ専門店へ力を入れておられますが、志賀栄太郎社長とお話した際に「人が採用できる業態づくりを心がけている」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。飲食店の求人では居酒屋を回避して、カフェや洋食に人が集まる傾向があるため、人を採用しやすい、オペレーション負荷がかからないビジネスモデルを構築するという考え方も重要です。

ただ、カフェ業態に人材が集まるとはいえ、一般的に「昼はカフェ、夜は居酒屋」といった二毛作営業は簡単ではありません。スタッフの教育も難しいですし、人材・客ともにカフェ目的の人は夜の匂いがする店舗を敬遠しがちです。住み分けは意外と大変なので、会社としてどこを目指すのか、経営ビジョンをはっきり決めることが大事になります。

また、おいしい専門店で食べたいという消費者のニーズから、ハンバーグ専門店やアジフライ専門店など、1つの料理に特化した専門店も近年増えています。店側としてもオペレーションが軽くなるメリットはありますが、特化するメニューの磨き込みをしっかり行う必要があること、使用する食材の原価が高騰したときにリスクが大きいことにも留意しておく必要があります。

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――最後に、個店の飲食店が生き残るために必要なものは何だと考えますか。

今後もDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要度は高まっていくでしょう。モバイルオーダーなどのシステムは大手企業のものというイメージがありましたが、今は価格も下がり、個店も導入する時代になりました。オーダーなど、当たり前すぎて印象に残らない接客はデジタルで自動化し、空いた時間でドリンクのおすすめに伺う、お皿を下げる、お見送りをするなど、付加価値をつける接客に集中するという方向に振り切ってもいいのかもしれません。

既成概念を振り払い、店舗や客の付加価値になることは何かを見極め、省人化できるところにDXを導入していく時代になっています。今後ますます人材不足が進むことを見越して、冷凍技術やスチームコンベクションなどの技術も取り入れて人件費を削減し、生産性を向上するなど、先行投資することも大切だと思います。

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