2024/07/23 特集

飲食店が知っておきたいブライダルトレンド2024

顔合わせや結納、そして披露宴や二次会など、ブライダルでの集客は、飲食店にとって売上の柱になりうるもの。レストランウエディングを含めた近年のブライダル業界のトレンドについて、ブライダル産業新聞社の取締役編集長・池田 義信 氏に話を伺った。

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ブライダルスタイルの多様化によって、飲食店に勝機が!

コロナ禍で飲食業界と同様に大きな影響を受けたのがブライダル業界だ。結婚式の開催を取りやめたカップルも多かったが、徐々に回復傾向にあるという。これは飲食店にとっても無関係な話ではない。

実際、上記のぐるなびユーザーへのアンケートでは、「結納」「顔合わせ」「お披露目パーティー/1.5次会」「2次会」の会場にしたい場所として、飲食店がそれぞれ1位になっている。このことからもレストランでのブライダルイベントのニーズが高いことがわかる。

レストランウエディングの集客は飲食店にとって売上の柱にもなりうるため、近年のトレンドやユーザーの意識がどのように変化しているかを知っておきたいところ。「ブライダルスタイルが多様化している今、さまざまな飲食店にチャンスがあります」と断言するブライダル産業新聞社の取締役編集長・池田 義信 氏に、業界のトレンドやレストランウエディングの可能性・集客のポイントなどを伺った。

ブライダル産業新聞社 取締役編集長 池田 義信 氏
千葉県出身。大学卒業後、各業界向けに経営情報新聞を発行する亀岡大郎取材班グループにて取材活動を開始。ベンチャー企業、ホテル業界、不動産業界など各雑誌・専門新聞の取材を経験。2013年ブライダル産業新聞社に入社。編集デスクを経て取締役編集長に就任。

目次
細分化するブライダル需要。業界の近年のトレンドは?
 └コロナ禍以降、飲食店でのお披露目パーティ・1.5次会の規模は縮小傾向に
 └多様化するウエディングパーティー
 └「リゾート」「フォト」が2大トレンド
レストランウエディングの「強み」と「弱み」
 └貸切感と料理のおいしさ、アットホーム感が強み
 └ホテル・式場に比べて設備や人材面での弱みも
飲食店がブライダルパーティーを獲得するためのポイント
 └ブライダルにつなげる「プロポーズプラン」がおすすめ
 └さまざまなニーズへの対応と、情報拡散される演出がカギ
 └「レストランひらまつ」「ガストロノミー“ジョエル・ロブション”」の対応から学べること
 └個店でも、アイデア次第で独自のウエディング演出が可能に!

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細分化するブライダル需要。業界の近年のトレンドは?

コロナ禍以降、飲食店でのお披露目パーティ・1.5次会の規模は縮小傾向に

コロナ禍で減少した結婚式の実施率は、2024年現在は回復傾向にあります。しかし、さまざまな調査データを見ていると、大人数での開催は引き続きあるものの、30~40人程度の小規模な式が増えてきているようです(下記の表を参照)。

自身が主催したお披露目パーティー、1.5次会について参列者の人数を聞いたぐるなびユーザーへのアンケート。2016年と2024年を比較すると10~20名や30~40名の割合が増えており、40~60名は減少している

その一つの要因が、コロナ禍による人間関係やコミュニティーの変化です。オンライン学習やリモートワークが普及して、直接会って友人を作る機会が減ったことに加え、コロナ禍で結婚式を行わない時期が数年続いたことで、「あの人の結婚式に呼ばれたから、私たちのときも呼ぼう」という“互いの式に呼び合う循環”がストップしたことも縮小傾向に影響していると考えられます。さらに昨今の低迷する景気動向もあって、なかなかこれまでのような大規模な結婚式はしにくくなっているのも事実です。

多様化するウエディングパーティー

かつての結婚式というと「挙式・披露宴・二次会」が定番の流れでしたが、近年では二次会を開催する割合が極端に減っているように感じます。挙式・披露宴も、大人数を集めて同じ会場で行うスタイルは減少。「挙式後に親族だけの会食、別日に会社関係者や友人を呼んでカジュアルな結婚披露パーティー」といったように、小規模・多様化してきています。また、「自分たちらしい挙式にしたい」というオーダーメイドのニーズが増え、それらを叶える式場側の対応力が求められるようになりました。

「リゾート」「フォト」が2大トレンド

海外になかなか行けなかったコロナ禍を経て円安が進んだ今、ハワイなどでの海外挙式は激減。その代わりに、軽井沢(長野)や沖縄などの国内リゾート地で家族や友人を呼んで挙式する、小規模なリゾートウエディングの需要が伸びています。

もう一つのトレンドはロケーションフォトです。挙式をせず、前撮りスポットで撮影した後に披露宴の代わりとして会費制パーティーを開くケースが増えています。SNSの普及によって、フリーのカメラマンやヘアメイクを自分たちで探し、インスタのDMなどで撮影やメイクを直接依頼できるようになったこともロケーションフォト需要の高まりに影響しているといえるでしょう。

レストランウエディングの「強み」と「弱み」

貸切感と料理のおいしさ、アットホーム感が強み

ウエディングパーティーの少人数化・多様化により、ウエディング対応のレストランにも注目が集まっています。最近では結婚式場周辺のレストランだけでなく、前撮りスポットの近くで親族の顔合わせをしたり、勤務先や新居の周辺の飲食店でお祝いパーティーをするケースも出てきています。こうした多様化によって、これまで立地やロケーションの面で不利だった飲食店にもチャンスが広がってきているといえるでしょう。

レストランウエディングの強みは、第一に貸切感です。自分たちだけの空間で気兼ねなく過ごせますし、レストランなので当然料理もおいしく、アットホームな親しみやすさがある点も魅力です。飲食店にとっては、夫婦の思い出の場所になることでその後もずっと通ってもらえるLTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)につながりやすいメリットがあります。

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ホテル・式場に比べて設備や人材面での弱みも

一方で、レストランウエディングの弱みは設備です。新郎新婦がヘアメイクや着替えをする「ブライズルーム」は本来、美容室としての認定を受けないと設置できませんし、ゲストの待合室や新郎新婦の控え室もありません。

また、レストランウエディングを希望するカップルは、レストランならではの自由さに憧れたり、何らかのこだわりがあって予約する人も少なくありません。ドレス着用やウエルカムボードの有無、演出方法などの幅広いニーズに対応できる人材を確保しなければいけない問題もありますし、そこでどのように店のオリジナリティーを出していくかも問われるでしょう。

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飲食店がブライダルパーティーを獲得するためのポイント

ブライダルにつなげる「プロポーズプラン」がおすすめ

設備や人材面での弱みはありながらも、それらを乗り越えて飲食店がブライダルの集客をするために、おすすめの取り組みが2つあります。まず1つは「プロポーズプラン」を提供すること。レストランは「初めて2人で食事した場所」など思い入れがある場合も多く、お店でプロポーズしたいという需要は確実に存在します。

最近では「108=永遠(とわ)」の意味を持つ108本のバラの花束付きのプロポーズプランを提供する飲食店も登場しています。ほかにも、例えばデザートを食べ進めるとお皿に書かれたプロポーズのメッセージが出てくる、といったサプライズ演出も喜ばれると思います。こうしたプロポーズプランを利用してもらうことで、「あのプロポーズをした思い出の店でウエディングパーティーをしたい!」という需要にもつながりやすくなるはずです。

さまざまなニーズへの対応と、情報拡散される演出がカギ

もう1つ、ブライダルで選ばれる店になるために有効なのは、“特別感があるサービス”の提供です。例えば2人の出身地の食材を使ったオリジナルの1品を提供してシェフが食材の説明をするだけでも喜ばれますし、2人の写真をウェルカムボードにして個室に飾ったり、前撮り時の映像を流すなどの一工夫をするだけで選ばれやすいお店になるはずです。

パーティーの事前打ち合わせでは、どんなサービスが提供可能なのか、可能な範囲でたくさん提案するといいでしょう。飲食店ならではのサービスや演出はSNSで拡散されやすく、口コミでの新たな顧客獲得にもつながります。

披露宴、お披露目パーティー・1.5次会、2次会で、それぞれ利用したいサービスを聞いたアンケートデータの上位5位。中でも、ウエルカムボードや花・バルーンなどでの会場装飾は、飲食店でも対応しやすい演出といえるだろう

「レストランひらまつ」「ガストロノミー“ジョエル・ロブション”」の対応から学べること

レストランでウエディングパーティーに注力するにあたって、飲食店が「ブライダルだから○○しなければならない」と構えすぎる必要はありません。できたての料理やドリンクをスマートに提供し、必要があれば丁寧な料理説明をするという、飲食店として当然のサービスを提供すれば自然と満足度は高くなり、結婚式場との差別化も図れます。

そのあたりが突出している店の代表格が「レストランひらまつ」や「ガストロノミー“ジョエル・ロブション”」です。「レストランひらまつ」はスタッフとしての教育が徹底されており、組織立ててウエディングに取り組んでおり、料理もサービスも非常に魅力的です。

また、最近プライベートで「ガストロノミー“ジョエル・ロブション”」での結婚式に参列したのですが、離席している人たちの席には戻ってくるまで料理を出さず、常に出来たてを提供するなど、飲食店としてのサービスレベルが極めて高いのが印象的でした。こうしたハイレベルなサービスの積み重ねが、結果的に結婚式の会場としての人気と評価にもつながっているのだと感じました。

池田氏が結婚式に参列した際、「ガストロノミー“ジョエル・ロブション”」の対応に感動し、飲食店としてサービスの質を追求することが、ブライダル会場としての評価を高めることにつながると実感したという

個店でも、アイデア次第で独自のウエディング演出が可能に!

飲食店は規模を問わず、自由なアイデアを実現しやすい場所でもあります。例えばカジュアルイタリアンの「biotable.(ビオターブル)」(東京・田町)は、お客様のウエディングパーティーの要望に柔軟に応えるサービスで人気を集めています。最近では、お客様の要望を叶えるべく店内に回転寿司レーンを設置し、職人の握りたての寿司を回して大好評でした。

東京・田町のイタリア料理店「biotable.(ビオターブル)」では、回転寿司レーンを使ったイベントを行うなど、来店客の喜びサービスを実施。こうしたノウハウをレストランウエディングのオプションとしても活用しているという

私自身も以前、結婚式の演出のアイデアのヒントになればと、業界の交流会が行われた店内でブリの解体ショーを行い、握りたてのブリの寿司やブリしゃぶを振る舞うイベントを実施しました。今後は店内での餅つき大会や、ピザ作りコンテストなどを予定しています。

飲食店に求められているのは、正統派のウエディングのような堅苦しさではありません。スタッフがキャスト(参加者の一員)となって「どうすれば楽しい空間・時間を作れるか」を考え、店に合う演出を取り入れ、一緒に楽しみながらお祝いをする姿勢が大事ではないでしょうか。それこそがアットホームなレストランウエディングの魅力につながりますし、お客様に喜ばれるプランであればオプション料金を払うハードルも低くなり、売上も上がるのではないかと思います。ぜひ、飲食店ならではのサービスに磨きをかけて、ブライダルイベントでの集客につなげていただければと思います。

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