2025/02/19 特集

2025トレンドを解説!「中国の食トレンド」から考える、ビジネスチャンス

ぐるなび上海社から、中国の食リポートをお届けします。PART2は「中国の食トレンド」。2025年、ますます増加傾向にあるインバウンド対策のヒントとして、中国における食の今を見ていきましょう。

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上海より、「中国における食の今」をお届け!

日本産品の対中輸出プロモーションやビジネスマッチングなど、これまで日本アウトバウンドや訪⽇インバウンドなど日中関連のさまざまな事業に取り組み、その事業の幅を広げているぐるなび上海社。今回、総経理(社長)の刘 昊(リュウ コウ)より、さまざまな統計から読み解く最新・中国の食リポートをお届けします。

PART1では、訪日中国人の外食動向から考察する集客戦略をご紹介しました。続いてPART2は、「中国の食トレンド」。その豊かさと多様性から、今後も世界中から注目を集め続ける中国の食文化には、日本の食品産業や飲食店にとって、新たなビジネスチャンスや参考になるポイントが多く含まれています。

飲食店のインバウンド対策に、”中国における食の今”は必読です。

【PART1の記事はこちら】
PART1:訪日中国人の外食動向から考察する集客戦略

咕嘟妈咪(上海)信息咨询有限公司
GUDUMAMI(SHANGHAI) Inc.
https://www.gudumami.cn/
2005年に設立された株式会社ぐるなびの子会社。中国市場における日本産品のプロモーションやビジネスマッチング、訪日インバウンド事業を展開し、フードサプライチェーン分野の新サービス開発にも注力しています。さらに、一般社団法人日本フードビジネス国際化協会(JIFA)と連携し、日本外食産業の国際化推進を支援しています。
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総経理 刘 昊(リュウ コウ)
株式会社ぐるなび 執行役員、ぐるなび上海社 董事総経理。北京の大学在学中に火鍋専門店を立ち上げ、飲食業界との縁が始まる。文部科学省国費留学生として神戸大学大学院を卒業。東大発の創薬ベンチャー、日本を代表する医療機器メーカー、日本最大手の広告会社など、本社および海外現地法人において、日本企業のグローバル展開の最前線で経験を積む。2014年株式会社ぐるなびに入社し、現在に至る。中華圏における日本の食文化発信を生涯の使命として取り組む。「寿司食材図鑑」中国語版翻訳者・「戦国策食材サプライチェーン」 編集長・日本料理アカデミー 中国 執行理事長・東方菓芸研究会 理事長・中国食品土畜輸入出商会 首席日本酒専門家。

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PART2:中国の食トレンド

2024年、中国の外食市場の規模は5兆元を突破しています。日本円にして約104兆円(※)です(JETRO調べ)。

上海市外食協会の幹部から聞いた話によると、中国の飲食店数は1,600万店舗といわれ、14億人の単純平均は7店舗/千人になります。これは日本の約2倍になっており(1億2,800人と50万店で試算)、世界的に見ても非常に大きな市場であるといっても過言ではありません。また、上海市だけでも1日300店舗が閉店、同じ規模の300店舗ほどが新規オープンしているとのこと。つまり、中国の飲食業経営者は、日々供給過剰のマーケットで激しい戦いを繰り広げながら事業を展開しています。

※通貨レート 1中国人民元=約20.96円(2025年2月)

目次
中国外食産業の革命:ポスト大衆消費時代の到来
1.新中国式養生と薬膳ブーム
2.飲料の多様化と、中式料飲の台頭
3.テクノロジーが変える食事体験
4.健康意識のパラダイムシフト
5.インスタント食品市場の急成長
6.調味料市場における新たなニーズ
7.インスタ映えするストリートフードの人気
8.銀髪(シルバー)世代向けの新中式滋養食品
9.地元食材を使ったグルメツーリズム

中国外食産業の革命:ポスト大衆消費時代の到来

中国の外食産業は近年、伝統と革新を融合させた多彩なトレンドが台頭しています。これらの動向は、特に若年層の消費者の嗜好や健康志向の高まりを反映しています。以下に、中国の最新の食トレンドを詳しくご紹介します。

1.新中国式養生と薬膳ブーム

写真左から、「酸梅湯」「薬膳レストラン」「麻婆豆腐バーガー」(画像提供:ぐるなび上海社)

中国の若者の間で「新中国式養生」が広まり、伝統的な薬膳が再評価されています。薬膳とは、食材と薬材を組み合わせて健康を促進する料理で、唐代から続く伝統があります。

まず、中医病院が提供する酸梅湯(梅ジュースの一種)や薬膳デザート、さらには薬膳レストランが人気を博しています。北京の同仁堂(ドウジンドウ)が開設した薬膳レストランでは、季節に応じたメニューが提供され、多くの若者が訪れています。

また、「新中式ハンバーガー」は急成長しており、2024年6月時点で約1万8,000店が展開されています(出典:新中式餐飲洞察報告2024)。一部のチェーンでは「麻婆豆腐バーガー」や「螺蛳粉(ルオスーフン/タニシ麺)バーガー」など、伝統的な中華料理の要素を取り入れたメニューが若者に人気です。

2.飲料の多様化と、中式料飲の台頭

飲料も料理も、伝統文化と現代的な美意識を融合させた「新中式」業態が注目を集めています。若年層を中心に、従来の白酒(中国の蒸留酒)以外のアルコール飲料が人気を集め、特にカクテルやクラフトビール、ワインなどが若者の間でブームとなっています。

写真左から、中国茶カフェ「茶顔悦色」、中国出店の「餃子の王将」(画像提供:ぐるなび上海社)

「新中式茶飲」ブーム:
長沙発の中国茶のミルクティー専門店チェーン「茶顔悦色」(チャイエンユエセー)が、唐代壁画をモチーフにした店舗デザインで上海に進出しました。故宮博物院とのコラボメニューが、ソーシャルホリデーの売上高記録を更新しました。

逆輸入現象:
日本の「餃子の王将」が天津で現地化店舗(麻辣味餃子+紹興酒カクテル)を展開し、現地チェーンとの味覚戦争が勃発しています。

百威英博(アンハイザー・ブッシュ・インベブ/AB InBev):
世界最大のビールメーカーである「百威英博」(本拠はベルギー)は、中国市場向けにクラフトビールや低アルコール飲料を展開しています。特に、若年層をターゲットにしたマーケティングを積極的に行い、新たな需要を開拓しています。

3.テクノロジーが変える食事体験

メタバース食空間(3次元の仮想食空間):
中国最大のO2O(オンライン・トゥ・オフライン)プラットフォームである美団外賣(メイトゥアン・デリバリー)が、AR仮想店舗で北京ダック専門店「北京烤鴨」(ペキンカォヤー)のリアルタイム調理を配信。若年層の35%が「バーチャル飲食体験」を利用しています(艾媒咨询/iiMedia Research調査)。

AI顧客管理:
「百勝中国」が導入したモバイルオーダーシステム「SmartMENU」が、天候・SNSトレンドからメニューを最適化、廃棄率18%削減に成功しました。

海底撈(ハイディラオ/Haidilao):
中国最大の火鍋チェーン「海底捞」は、AIを活用して顧客の嗜好を分析し、パーソナライズされたサービスを提供しています。また、ロボットを使った配膳や、AIを活用した在庫管理システムを導入し、効率的な経営を実現しています。

【関連記事・日本での店舗展開に関する記事はこちら】
中国の最大手火鍋ブランド「海底撈火鍋」が商品・サービスを革新し新規出店を加速!


ライブコマースと食品販売:
中国で最も有名なライブコマースのホスト(インフルエンサー)の1人である李佳琦(リ・ジアチー/Li Jiaqi)は、化粧品だけでなく食品も販売しています。彼のライブ配信では、視聴者がリアルタイムで商品を購入できるため、瞬く間に売り切れる商品も少なくありません。

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4.健康意識のパラダイムシフト

健康や環境への意識の高まりから、ベジタリアンやビーガン向けの中国風料理が増加しています。伝統的な食材である豆腐や各種野菜を活用し、見た目にも鮮やかな料理が提供されています。これらの料理は、健康志向の消費者だけでなく、SNS映えを求める若者にも支持されています。

写真左から、「減塩行動」のポスター、スーパーマーケット「盒马鲜生」、「湯臣倍健」の黒ゴマサプリメントドリンク(画像提供:ぐるなび上海社)

減塩行動:
政府主導の「減塩行動」として、外食業界のナトリウム含有量表示が義務化されました。

スーパーマーケット:
盒马鲜生(Hema Fresh、Alibaba Group)が運営する「盒马鲜生」(フーマーシェンシェン)は、オーガニック食品を中心に取り扱うスーパーマーケットです。店内では、QRコードをスキャンすることで、商品の生産地や栽培方法などの詳細情報を確認できます。また、オンライン注文と30分以内の配達サービスを提供しており、忙しい都市生活者に支持されています。

Beyond Meatの中国進出:
アメリカの植物性肉メーカー「Beyond Meat」は、2020年に中国市場に参入しました。スターバックス中国と提携し、植物性肉を使ったメニューを提供しています。また、中国の食品メーカー「双塔食品」(ソウトウショクヒン)も、植物性肉の生産に力を入れており、国内市場でのシェア拡大を目指しています。

機能性食品市場が2023年比47%増:
コラーゲン配合ラーメン「和府撈面」(ヘフラオミエン)、GABA含有ドリンクバー「奈雪(ナユキ)の茶」がヒットしました。

湯臣倍健(バイヘルス/By-Health):
中国の健康食品メーカー「湯臣倍健」(バイヘルス)は、ビタミンやミネラル、プロテインなどのサプリメントを提供しています。同社は、オンラインとオフラインの両方で販売チャネルを拡大し、特に若年層をターゲットにしたマーケティングを展開しています。

5.インスタント食品市場の急成長

忙しいライフスタイルを持つ若年層を中心に、インスタント食品の需要が急増しており、2024年の中国のインスタント食品市場規模は約6,972億元(約14兆円)に達すると予測されています(出典:JETRO)。特に、健康志向の高まりから、成分や栄養価に配慮した製品が求められています。

【比較記事・インスタント食品市場は韓国でも多様化⁉】
「韓国の食トレンドキーワード」コリアン・フード・コラムニスト八田 靖史 氏が解読

6. 調味料市場における新たなニーズ

キーワード「調味料」で検索すると、上位に健康、ダイエット、減脂、おでんなどの検索結果が表示される(画像提供:ぐるなび上海社)
Z世代を中心に、調味料に対するニーズが多様化しています。健康志向の高まりから、低塩や有機の調味料が求められています。

また、料理の手間を減らすための便利な調味料や、SNS映えする高級感のある製品、持ち運びやすさやシェアのしやすさを重視した製品も人気です。

7.インスタ映えする、ストリートフードの人気

中国の若年層、特にZ世代(1990年代後半から2010年前半生まれ)は、SNSでシェアできる「インスタ映え」する食品を好む傾向があります。カラフルなデザインやユニークな見た目のスイーツや飲料が人気を集めています。

写真左は「喜茶」のドリンクレシピ。同右「泰式火锅」はカラフルで美しいスープと具材の組み合わせが特徴で、インスタ映えする(画像提供:ぐるなび上海社)

喜茶(ヘイティー/Heytea):
中国のティーショップチェーン「喜茶」は、インスタ映えするドリンクやスイーツを提供。特に、カラフルなフルーツティーや、ユニークなデザインのパッケージが若者に人気です。SNSでのマーケティングを重視し、多くのフォロワーを獲得しています。

泰式火锅(Thai Hotpot):
中国では、タイ風の火鍋「泰式火锅」が若者に人気です。辛さと酸味が特徴のスープに、新鮮なシーフードや野菜を入れて楽しむスタイルが、SNSで話題となっています。

【関連記事・日本人のZ世代外食トレンドとも比較してみましょう】
若い世代の外食トレンドを、Z世代の企画屋・今瀧健登氏が分析!

8.銀髪(シルバー)世代向けの新中式滋養食品

新中式滋養食品で人気「高聯先生」の「一颗人参」(イッカピンイン)(画像提供:ぐるなび上海社)
高齢化社会の進行に伴い、中高年層の健康意識が高まっています。「薬食同源」の理念に基づき、阿膠(あきょう)や紅棗(ナツメ)、人参、枸杞(クコ)などの伝統的な滋養食材を使用した新中式滋養食品が注目されています。これらの製品は、健康を維持し、未病を防ぐ手段として人気を集めています。

9.地元食材を使ったグルメツーリズム

アリババグループ傘下企業が発足する自治体の産品をプロモーションする「百県百品」特設チャネル(画像提供:ぐるなび上海社)
中国では、地元の食材や郷土料理を楽しむグルメツーリズムが注目されています。特に、地方都市や農村部では、地元の特産品を使った料理体験や食文化ツアーが人気です。

桂林の米粉ツアー:
桂林では、地元の特産品である米粉を使った料理体験ツアーが人気です。観光客は、米粉の作り方を学び、地元の食材を使った料理を楽しむことができます。

中国の食の最新トレンドは、健康志向、デジタル化、若年層の消費行動の変化、伝統と革新の融合、環境意識の高まりなど、多岐にわたります。これらのトレンドには、日本の食品産業や飲食店にとって、新たなビジネスチャンスや参考になるポイントが多く含まれています。中国市場の動向を注視し、柔軟に対応することで、日本企業も大きな成功を収めることができるでしょう。

日本の外食経営者に必要なのは、これらの動向を理解し、適切に取り入れること。日本と中国の”食文化の交流”がさらに深まることで、新たな食の可能性の広がりが期待できるでしょう。

【改めてPART1を読む方は、こちら】
PART1:訪日中国人の外食動向から考察する集客戦略

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