2026/01/23 特集

2026年韓国グルメトレンド予測!コリアン・フード・コラムニストの八田 靖史 氏がネクストブレイク候補を解説

韓国食トレンドについて、2025年を振り返りつつ、2026年を大予測!コリアン・フード・コラムニストの八田靖史氏にインタビューし、「テジコムタン」「進化系カルグクス」「ヨアジョン」「サゴドリンク」などをピックアップ。日本で定着したナッコプセの次にくる料理や、韓国で大ヒット中の「牛脂ラーメン」まで、飲食店が知っておきたい最新情報を紹介する。

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「クッパ」や「カルグクス」の進化系がトレンドに!

2025年の日本人渡韓者数は11月までの統計で約335万人(※1)と、過去最高に迫る勢いを見せている。そのうち30歳以下が4割以上を占め、若年層を中心に韓国人気は依然として高い。なかでもグルメへの関心は強く、韓国での流行が日本の食トレンドに与える影響も大きいといえるだろう。

2025年を振り返り、韓国や日本で流行した韓国の料理スイーツドリンクをピックアップしつつ、2026年にトレンドになりそうな韓国料理などについてコリアン・フード・コラムニストの八田 靖史 氏に伺った。

(※1)「韓国観光データラボ」国家別訪韓現況(統計)より

【2025年の韓国トレンド予測記事はこちら】
韓国の食トレンド2025を八田靖史氏が解説|次に日本で流行るグルメとは?

八田 靖史(はった やすし)氏
コリアン・フード・コラムニスト。慶尚北道、および慶尚北道栄州(ヨンジュ)市広報大使。ハングル能力検定協会理事。1999年より韓国に留学し、韓国料理の魅力にどっぷりとハマる。韓国料理の魅力を伝えるべく、2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆活動を開始。トークイベントや講演のほか、企業向けのアドバイザー、韓国グルメツアーのプロデュースも行う。著書に「韓国行ったらこれ食べよう!」「韓国かあさんの味とレシピ」(誠文堂新光社)、「あの名シーンを食べる!韓国ドラマ食堂」(イースト・プレス)、「目からウロコのハングル練習帳 改訂版」(学研プラス)、「韓流ブーム(ハヤカワ新書)」(共著、早川書房)ほか多数。最新刊は2025年10月刊行の翻訳書「書かずにいられない味がある 100年前の韓食文学」(クオン)。NHKラジオ「ステップアップハングル講座」2022年10~12月、2024年10~12月講師。

韓国料理が生活の一部になった人のためのウェブサイト「韓食生活
YouTube「八田靖史の韓食動画

目次
【2025年振り返り】韓国での飲食業界トレンド
【2025年振り返り】日本での韓国食トレンド
【2026年予測】注目したい韓国の食キーワード
【まとめ】近年の韓国の食トレンドの傾向

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【2025年振り返り】韓国での飲食業界トレンド

ニューウェーブクッパ

2025年は、2024年の「ドバイチョコレート」のような象徴的なヒットが見えにくい一年でした。ただ、その中でも増えているのを実感したのが「テジコムタン(豚コムタン)」の専門店です。コムタンはクッパの一種で、一般的には牛肉を煮込んだスープを指しますが、テジコムタンは材料を豚肉に替えたもの。白濁したテジクッパ(豚クッパ)とは異なる澄んだスープに、ご飯と一定の温度で柔らかく仕上げた薄切り豚肉が入っています。2025年8月には、その先駆けであるソウル・合井(ハプチョン)の「オクドンシク」が東京・新大久保にも出店し話題となりました。

こうしたテジコムタン店をはじめ、従来のクッパのイメージを覆す美しい見た目と、スタイリッシュな内装のクッパ専門店が増加。“ニューウェーブクッパ”という言葉も生まれました。背景には、コロナ禍以降の若者の食生活の変化や節約志向、日本のドラマ「孤独のグルメ」のヒットによる一人ごはんの定着があります。店側にとっては、昼と夜の両方をカバーできる業態である点も大きいですね。

ソウル・安国にあるクッパ専門店「安岩(アナム)」で提供されている「安岩クッパ」もニューウェーブクッパの一つ。一般的なクッパと違い、スープが透明でオイルを使っているのが特徴(撮影:八田氏)

ソウル・安国(アングク)の「無垢屋(ムグオク)」が火付け役となった「以北式参鶏定食(イブクシクサムゲジョンシク)」も同じ流れにあります。茹で鶏とスープ、ご飯を別々に提供する北朝鮮式の参鶏湯で、2025年はこうした洗練されたスープ料理の店が目立ちました。

ソウル・景福宮「無垢屋」の以北式参鶏白飯。北部地域の郷土料理を指す「以北式」もトレンドのキーワードになっている(撮影:八田氏)

進化系カルグクス

ニューウェーブクッパと同様、一人ごはんができる店として「カルグクス」の人気も高まっています。カルグクスは包丁で切った小麦粉麺を使った韓国式うどん。昔ながらのアサリ出汁や牛骨スープだけでなく、大きな直火焼きの鶏肉をのせたものや、レアな郷土食材を用いたものなど、SNS映えも意識した“進化系カルグクス”が続々と登場しています。

ソウル・安国「ホイシク」の「タックイカルグクス(焼き鶏うどん)」。従来のタッカルグクス(鶏うどん)が茹でた鶏を裂いて具とするのに対し、焼いた鶏肉と焼き野菜を載せて香ばしさを演出する(撮影:八田氏)

抹茶スイーツ

ドリンクやスイーツの分野では、世界的に流行している「抹茶」が、2025年の夏頃から韓国でもブームとなりました。有名K-POPアーティストが抹茶好きを公言したこともきっかけとなり、抹茶人気の高まりを受けて飲料・菓子メーカーが相次いで抹茶味の商品を発売。スーパーの棚が緑一色になる現象が起こり、抹茶マッコリや抹茶ハイボールなどの酒類、抹茶クリームトッポッキといった外食メニューにまで広がりました。韓国では過去にも緑茶や抹茶ブームが起きており、企業側も参入しやすかったのでしょう。

2025年10月末に韓国スターバックスから発売された「ココ抹茶」。抹茶フォームとココナッツウォーターを合わせたタイ発祥のドリンクで、ベトナムで人気に火が付き、夏にアメリカのスターバックスでも販売されヒットしたと言われる(撮影:八田氏)

【日本でも抹茶はトレンドに!】
「今年の一皿®」準大賞は「抹茶」

カップピンス

2025年夏には「カップピンス」も注目され、「 MEGA MGC COFFEE 」をはじめとした大手コーヒーチェーンが競うように発売しました。ピンスとはかき氷のこと。韓国では複数人で食べるサイズが一般的ですが、一人前サイズのカップで提供することで、食べやすさとテイクアウト性を備えてヒットしました。

「カップピンス」とは、韓国発祥のふわふわ食感が特徴の「ピンス(かき氷)」を、手軽に持ち運び・食べ歩きできるようカップに盛り付けた進化系スイーツ(撮影:八田氏)

元カレトースト

今後の広がりに期待しているのが「元カレトースト」です。「元カレが作ってくれたおいしいトーストのレシピを知りたくて、恥を忍んで連絡をした」という、2018年にネット上で話題となったエピソードが名前の由来で、トーストした食パンにクリームチーズとブルーベリージャムをのせたものを指します。2025年に人気バラエティー番組で取り上げられたことで再び注目を集め、大手スーパー「emart」での商品化や、元カレトースト味のお菓子の販売につながりました。多言語に翻訳しやすい名称で、エピソード性も強く、さらに大きな流行になる可能性があります。

「元カレトースト」とは、「元彼から教えてもらった、忘れられないほどおいしいトースト」のことで、食パンにクリームチーズとブルーベリージャムを塗ったものが主流。元カレトースト味のお菓子(写真)が人気になるなど、さまざまな商品に波及した(撮影:八田氏)
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【2025年振り返り】日本での韓国食トレンド

ナッコプセ

一方、日本での韓国料理においては、2025年は「ナッコプセ」の年だったといえるのではないでしょうか。ナッコプセはナッチ(テナガダコ)、コプチャン(牛ホルモン)、セウ(エビ)をピリ辛ダレで炒め煮にした鍋で、3つの材料の頭文字から名付けられました。日本では2019年末にドラマ「孤独のグルメ」に登場したことをきっかけに認知が広がり、一部の韓国料理店で提供されるように。2022年の「チュクミ(イイダコの炒め鍋)」ブームを経て、同じタコ類のテナガダコを使ったナッコプセの専門店が急増しました。

釜山に本店を構える「 ケミチプ 」や、京畿道に本店を持つ「 サウィ食堂 」の日本進出も後押しになりました。現在も続く「ミナリ(セリ)」ブームと同様、今後も人気は継続し、全国の韓国料理店へ広がっていくとみています。

新大久保「サウィ食堂」の「ナッコプセ」。ナッコプセとは、ナッチ(テナガダコ)、コプチャン(牛ホルモン)、セウ(エビ)をピリ辛ダレで炒め煮にした鍋のこと(撮影:八田氏)

メガサイズドリンク

2025年は、メガサイズドリンクを売りにした韓国発チェーンの日本上陸も目立ちました。1月に東京・虎ノ門に1号店をオープンした「 マンモスコーヒー 」、10月に大阪・心斎橋に出店した「 fave COFFEE(フェイブコーヒー) 」がその例です。いずれもテイクアウト専門店で、大容量かつ低価格な点が支持を集めています。韓国では大容量のアイスアメリカーノが定番で、韓国ドラマにも頻繁に登場します。そうした韓国カルチャーを体験できる点や低カフェインでゴクゴク飲める点などが、受けている要因でしょう。

韓国ドラマにも頻繁に登場する大容量のアイスアメリカーノが人気に(撮影:八田氏)

カムジャパン&コグマパン

コロナ禍のステイホーム期に登場した「カムジャパン」と「コグマパン」ですが、2025年に再び流行の波が訪れました。カムジャパンはモチモチとした生地でマッシュポテトを包んだもの、コグマパンはサツマイモペーストを包んだもので、見た目もジャガイモやサツマイモそっくりというユニークさが特徴です。

流行初期は形だけを模した商品も多く見られましたが、人気が続いたことで味の完成度も向上。2025年には日本のベーカリーチェーン「 ハートブレッドアンティーク 」での取り扱いが始まったほか、韓国の「 ジョンナンミミョンガ 」がポップアップストア形式で日本に進出し、カムジャパンとコグマパンを含む「野菜パン」を販売するなど、今後も人気が続きそうな動きが見られました。

新大久保「シンチョンカフェ」の「カムジャパン」(写真左)と「コグマパン」(同右)(撮影:八田氏)

韓国ベーグル

パンといえば韓国ベーグルの店にも注目です。代表的なのが東京・下高井戸の「 eun bakery(イウンベーカリー) 」で、姉妹店の「 AREUM BAGEL(アルムベーグル) 」も順調に店舗数を増やしています。韓国ベーグルの明確な定義は難しいのですが、特徴の一つがモチモチとした食感。韓国で人気のフレーバーをそろえている点やディスプレイの見せ方など、全体を通して韓国の感性が反映されていることが条件といえるでしょう。

東京・下高井戸「eun bakery(イウンベーグル)」で販売している韓国ベーグル。モチモチとした食感が特徴の一つ(撮影:八田氏)

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【2026年予測】注目したい韓国の食キーワード

ヨアジョン

韓国発のフローズンヨーグルトブランド「ヨアジョン(YOAJUNG)」が、2025年7月の日本進出以降、各地に店舗をオープン。暖かい季節を迎えるにつれ、さらに拡大していくと思われます。流行した「グリークヨーグルト」「アサイーボウル」のように、コムハニーやフルーツなどトッピングを選んでカスタマイズできる点やSNS映えするビジュアル、通常のアイスよりヘルシーな点、K-POPアーティストにもファンが多いことなど、支持される要素が多数。2026年も若者を中心に人気が高まるでしょう。

「ヨアジョン」とは、韓国発のフローズンヨーグルト。、蜂の巣(コムハニー)やフルーツ、シリアルなどを自由にトッピングするスタイルが、Z世代を中心に「映えるスイーツ」として人気(撮影:八田氏)

牛脂ラーメン

2025年に流行した「辛ラーメン トゥーンバ」に続き、韓国インスタントラーメンでの注目株が牛脂を使ったラーメン「三養1963(サムヤン いちきゅうろくさん)」です。「ブルダック炒め麺」などを販売している三養食品が2025年11月に発売した新商品で、韓国では発売1カ月で700万食を売り上げるヒットを記録しました。

1963とは三養食品が韓国初のインスタントラーメンを発売した年を表し、当時の商品にも牛脂が使われていました。しかし1989年に工業用牛脂を使用しているという濡れ衣を着せられ、売上が大幅減少。一時は存続の危機に瀕した同社が、ブルダック炒め麺の世界的ヒットでV字回復し、36年ぶりに牛脂入りラーメンを復活させました。高級感のある味わいだけでなく、そんな物語も話題性のある商品です。

韓国の食品メーカー・三養食品が2025年11月に発売した牛脂を使ったインスタントラーメン「三養1963」。韓国で発売1カ月で700万食を売り上げるヒットを記録(撮影:八田氏)

サゴドリンク

2024年に韓国で流行した「サゴドリンク」にも期待しています。サゴはサゴヤシのでんぷんを加工した小さなタピオカのような食材で、東南アジアや中華圏ではなじみのある存在。香港発祥の「楊枝甘露(ヨンジーガムロ)」(マンゴー、グレープフルーツ、タピオカ、ココナッツミルクなどを組み合わせたアジアンデザート)をもとにしたサゴ入りのマンゴードリンクが韓国で人気を集め、「イチゴサゴ」や「マスカットサゴ」など、さまざまなフルーツで作ったサゴドリンクが誕生しました。

「マンゴーサゴ」(写真)をはじめとした「サゴドリンク」が飲むスイーツとして人気を集めた(撮影:八田氏)

クロッチ&クロワグル

リボンの形をした「リボンクロワッサン」など、進化系クロワッサンは毎年話題になりますが、次に来そうなのが中に餅を入れた「クロッチ」と、クロワッサン生地をベーグル状にした「クロワグル」です。いずれも2025年に韓国で注目を集めており、日本上陸も遠くないでしょう。

ソウル・龍山「WHAT A BREAD龍山店」の「クロッチ(プレーン)」。インジョルミ(きな粉餅)味、チョコ味、抹茶味などもある(撮影:八田氏)
ソウル・東大門「WAGLE WAGLE BAKE SHOP」の「クロワグル(ラズベリークリーム)」。ソルテッド(塩味)、ブルーベリークリームなどもある(撮影:八田氏)

ドバイもちクッキー

ドバイもちクッキー」は、トレンドになった「ドバイチョコレート」からの流れで、韓国で作られた新たなドバイスイーツの中で特にヒットした商品です。「ドバイもちクッキー」の「もち」は「チョンドゥク(もちもち)」の訳で、2025年の上半期に流行った「チョンドゥククッキー(マシュマロヌガー)」と融合しました。もちもちは韓国ベーグルの特徴とも重なるので、大きい意味で「もちもち系のトレンド」が広がっている象徴の一つといえるかもしれません。

火付け役となった「Mond Cookie(モントゥクッキー)」のドバイもちクッキー。2026年2月5日までソウル・汝矣島「ザ・現代ソウル」にポップアップストアを出店中(撮影:八田氏)

3Dフルーツアイス

3Dフルーツアイス」は、フルーツの形をリアルに模したアイスで、中国から流行が始まって、韓国で火が着き、今は日本でも話題になっています。日本では、「カムジャパン」「コグマパン」などの野菜パンやリアルな「フルーツムース」といった類似のトレンドと連動して人気を集めている印象です。

「3Dフルーツアイス」のように、中国発→韓国経由→日本着のスイーツとして、2025年には「タオルケーキ」「チョンドゥククッキー」がトレンドになっており、近年、目立ってきたヒットの潮流の一つといえそうです。

コンビニ「GS25」の「3Dフルーツアイス」。左からオレンジ、ブドウ、マンゴー、レモン、イチゴ味(撮影:八田氏)

【まとめ】近年の韓国の食トレンドの傾向

日本の韓国料理店は、サムギョプサルやビビンバ、冷麺などを幅広く扱う業態が主流です。しかし一人ごはんが定着した韓国のトレンドを受け、日本でもクッパや麺、定食など、一人でも利用しやすい専門店が増えていくと考えられます。「韓国式うどん ミル」(東京・御成門)、「サムジョ」(東京・新橋)、「麺生堂(めんせいどう」(東京・新大久保)など、2024年から2025年にかけてカルグクス専門店のオープンが続いたのも、その流れの一例でしょう。

また、韓国では2024年の海外渡航者数が約2,869万人(※2)と、人口の半数を超えるほど海外旅行が盛ん。海外での食体験が豊富なため、世界各地のグルメが韓国内で人気を集めやすい傾向にあります。近年はタコス専門店をはじめとしたメキシコ料理店の増加が目立ち、アメリカのメキシカンチェーン「チポトレ・メキシカン・グリル」が2026年中に韓国進出するという報道も。トルティーヤで包むスタイルや唐辛子の辛みなど、韓国料理との親和性も高いと言えます。海外グルメが韓国を起点に日本へ広がる流れが続いており、こちらも注目したい存在です。

韓国の中の海外グルメには、当然日本の食も含まれています。2025年は韓国で焼きそばパンが人気を集め、ブルダック炒め麺やプルコギの焼きそばパンなど進化系も登場しました。抹茶などの日本食材のブームが、韓国を経由してどのように戻ってくるのか。“逆輸入日本グルメ”の動向にも期待したいです。

(※2)「e-国指標」海外旅行者数より

取材協力:八田 靖史 氏/韓食生活

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