食材試食会「ぐるなび厳選食材マーケット」が開催

全国各地の生産者による飲食店向けの試食会「-食材のプロと料理のプロが集う-ぐるなび厳選食材マーケット」が、東京と大阪で開催。生産者と飲食店が食材を介して出会い、交流する場となった。-イベントリポート

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「-食材のプロと料理のプロが集う-ぐるなび厳選食材マーケット」が開催!

各地の生産者が集まる試食会と注目の経営者らによる講演。東京と大阪の会場に、計1075名の飲食店関係者が来場!

食材を手に交流する生産者と、参加した飲食店関係者。直接話し、目で見て、舌で味わうことで、参加者は生産者の熱い思いやこだわりに触れた

生産者が食材へのこだわりを飲食店に伝える場として好評

全国各地の生産者による飲食店向けの試食会「-食材のプロと料理のプロが集う-ぐるなび厳選食材マーケット」(主催/株式会社ぐるなび)が、7月16日(水)に東京・有楽町で、同23日(水)に大阪・梅田でそれぞれ開催された。同時に、生産者と連携して成功している繁盛店の戦略や、生産者と飲食店の関係性をテーマにした講演会も両会場にて行われた。

このイベントは、生産者と飲食店が食材を介して出会い、交流を深める場として企画され、ぐるなびの加盟店のみが参加できるというもの。生産者はこだわりの食材を直接、飲食店にアピールできる一方、飲食店にとっては秋のメニュー開発に役立てられる食材を探せる場となっている。今回は、出展食材から3点以上を使い、店で3品以上の料理に使用した参加者に、①生産者の顔が見えるPOPを進呈、②特設Webページでの掲出や、ぐるなび会員に向けたメルマガ配信による店の露出強化、という2つの特典も用意された。

東京の試食会会場では、全57の生産者がブースを出展し、634名の飲食店関係者が来場。畜産物、水産物はもちろん、野菜・キノコ・果物から、穀類、調味料、菓子、飲料に至るまで多彩な商品が並び、活発な交流が行われた。

試食会を訪れた焼肉店のオーナーに参加の感想を伺うと、「いろいろな食材に出合うことができ、勉強にもなります。冷凍ボイルハマグリをはじめ、活用したいと思う食材をいくつか見つけました」と、参加の手応えを語った。

また、各食材をくまなくチェックしたという洋食店のオーナーとシェフは、馬肉、カンガルー肉、へべすポン酢、フルーツシロップなど約10品に注目。「フルーツシロップは、ノンアルコールカクテルに応用できるかもしれません。これからもぜひ参加したい」と、今後への期待も口にした。

さらに、和食居酒屋の店長は多数のブースと来場数に驚きつつ、「歩きながら、出展食材を組み合わせて一品作れるかも、と考えました」などと、メニュー開発のヒントを得ていた。

会場では、各所で名刺交換や商談が活発に行われ、多くの出展企業・団体が、新たな取引の感触を得るなど、熱気に満ちたイベントとなった。

生産者との強い絆が武器の飲食店による講演も実施

今回は、試食会と同時に“生産者と飲食店の関係性”をテーマにした講演会も開催。東京会場では、株式会社エー・ピーカンパニー営業本部事業部長・天野裕人氏と、株式会社fun function代表取締役社長の合掌智宏氏が登場。両社とも、生産者や生産地との強い協力関係をブランドコンセプトとして成功している企業であるだけに、どちらの講演も立ち見が出るほどの盛況となった。

居酒屋ブランド「塚田農場」などを展開するエー・ピーカンパニーは、提携する生産者からの全量買い取り制と、「生販直結」システム(仲介業者を通さず生産者と飲食店が直接取引する仕組み)を構築したことで知られる。天野氏は、生産者を単に「食材を仕入れる取引先」としてとらえるのではなく、生産者が食材に込める思いと、生産の苦労を知ることが、飲食店側の商品知識を増やし、おすすめトークのレベル向上と仕事へのモチベーションに直結すると紹介。生産者との「本気の交流」が、人を育て店を発展させることを伝え、今後も「食のあるべき姿を追求していく」と語り、その重要性を呼びかけた。

一方、「アンテナショップ飲食店」という新ジャンルを開拓して注目されているのが、2人目の講演者であるfun functionの合掌智宏氏。合掌氏は、北海道・八雲町の食材に特化した居酒屋「ご当地酒場 北海道八雲町」を立ち上げた経緯と、乗り越えてきた課題を振り返った。そして、飲食店がまだ知られていない各地の名品を発掘し、町ごとブランド化することで、食材と町と飲食店の価値を高め、地方の活性化に寄与できるという考えを紹介。生産地と飲食店のコラボレーションによって、大きな可能性が開けると力説した。

講演終了後は、来場者が講演者に個別質問するなど、熱心な交流が続いた。また、試食会も終了間際まで大賑わいで、多くの飲食店が新しい食材と出合い、新メニューのヒントを得た様子。生産者も新規顧客の獲得と販路の拡大に手応えをつかみ、活気に充ちたイベントは盛況のうちに散会となった。

目当ての食材のブースを探したり、各ブースをていねいにチェックする参加者で、試食会会場は最後まで大賑わいとなった
ホタテなどの魚介類や、トマト、葉野菜のほか、肉、米、キノコのほか調味料、飲料、さらに菓子製品など加工品まで様々な商品が出品された
満席となった東京での基調講演会場。生産者との信頼関係を築くための取り組みや、今後の飲食店の方向性を示す講演に、参加者は真剣に聞き入った
講演を今後の店舗経営のヒントにすべく、熱心にメモをとる来場者。講演後の質疑応答では、人材不足など自店が抱える悩みを講演者に率直にぶつけた
各ブースに立てられた生産者の顔入りポスター。食材の購入などの条件を満たした店舗に進呈される予定
試食をすすめる生産者と、自店メニューでの使用の可能性を探る参加者。試食から商談に発展し、長期にわたる取引に発展することもある
名刺交換をする生産者と飲食店の参加者。新たな出会いをビジネスチャンスに変えるべく、会場の各所で同様の光景が見られた

試食会に出展した生産者の声

鈴香園鈴木 芳彦 氏出展商品俺んちベリー(食用ほおずき)※10月より出荷予定「ぐるなびに声をかけていただいて、何もわからないままに参加したのですが、出展して本当によかった。すごく楽しいです。出品した食用ほおずきは、見たこともない人が多く、言葉で説明するだけでは、その魅力は伝わりません。しかし、こういう会場で大勢の人に食べてもらえると、大きな反応があります。おかげさまでいくつかの飲食店さんと、今後につながるお話しができました。チラシも200枚以上配ることができました」
株式会社 千興ファーム倉光 敏行 氏出展商品鮮馬刺しB赤身ミニ約100g(馬肉)「すでにぐるなびを通じて様々な飲食店と出会い、30社近くと取引をしています。私たちは屠畜(とちく)から真空包装まですべて自前で行うので、鮮度と安全性には自信があります。こういうイベントでは、その思いを飲食店の方々に直接、伝えられるのでとても助かります。今回は約30の飲食店さんと名刺交換をし、15店くらいは取引が決まりそうです。こうした顔が見える展示会はインパクトが大きいので、一層広げていただけるとうれしいですね」

東京と大阪の両会場で飲食店経営者らによる講演も実施!

基調講演

「自然に人が育つ。塚田農場の人材育成」

株式会社エー・ピーカンパニー 営業本部 執行役員 事業部長 天野 裕人

生販直結の仕入れルートなどを武器に、成長を続ける「塚田農場」の経営戦略を紹介するとともに、生産者の思いを従業員に共有させるために行う取り組みにも言及した。

「東京の居酒屋が地方を活性化させる!
『アンテナショップ飲食店』という挑戦」

株式会社fun function 代表取締役社長 合掌 智宏

「ご当地酒場 北海道八雲町」など、店名に市町村名を冠した「アンテナショップ飲食店」の立ち上げ経緯や、埋もれた特産品を売り出す戦略について、映像を交えて語った。

特別講演

関西食文化研究会×ぐるなび特別講演

「お客様を虜にする!生産者と料理人のおいしい関係」

イル・ギオットーネ オーナーシェフ 笹島 保弘氏(写真上 中央)

株式会社 嶋石 代表 石割 照久氏(写真上 右)

株式会社ジオード 代表取締役 フードコラムニスト 門上 武司氏(写真上 左)

京都のイタリアンシェフ・笹島氏と、「石割農園」の10代目・石割氏が、関西食文化研究会コアメンバーの門上氏を交えて“生産者とシェフのおいしい関係”をテーマにトーク。参加者は、笹島、石割の両氏の出会いが生んだ料理を試食した。