女性生産者が育てた野菜を女性料理人が華麗に調理

農林水産省が推進する「農業女子プロジェクト」と35歳以下の才能豊かな料理人を発掘する「RED U-35」が、女性をキーワードにコラボイベントを東京・銀座のフランス料理店「MASQ」で開催した。

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料理の説明を聞きながらコース料理を楽しむ参加者たち。生産者と料理人の双方から話を聞き、一品一品に込められた思いに触れた

こだわりの食材を使ったランチコースを参加者が堪能

2013年、農林水産省の取り組みとして、今後の農業を支えていく女性農業従事者を支援する「農業女子プロジェクト」が発足。一方、同年、株式会社ぐるなびは、35歳以下の才能豊かな料理人を発掘するコンペティション「RED U-35」をスタートさせた。

この2つのプロジェクトは、形は違えど、次世代の若者をサポートし、日本の食を発展させるという意味で目的は同じ。今回、“女性”をキーワードに両者のコラボイベントが、2014年11月22日、東京・銀座のフランス料理店「MASQ」で開催された。

「★キラキラ★野菜に恋する大人女子の賞味会」と題されたこのイベント。2014年「RED U-35」で一次審査を通過してブロンズエッグを手にした「MASQ」の女性シェフ・齋藤芽公氏が、「農業女子プロジェクト」のメンバーである5人の女性生産者が育てた生産物を使ってランチコースを作り、参加者に振る舞うという内容だ。

次世代を担う女性のコラボイベントということもあり、参加者は20~30代の女性が中心。今回食材などを提供した女性生産者の中から中島沙織氏、遠藤政子氏、小高律子氏、松本知恵氏の4名も参加し、一緒にコース料理を堪能した。

まず、遠藤氏が生産するはちみつを使ったウエルカムドリンク「フレンチ75」で乾杯。齋藤シェフのブロンズエッグ獲得メニュー「畑のロッシーニ」に続き、中島氏が育てたルッコラとバジルを使った「マティーニ」、同店オリジナルメニュー「冷・パエジャ・オードブル」、中島氏の赤・緑からし菜、カキ菜を使った「フォアグラ・サラダ ア・ラ・モード」が供された。松本氏が生産したトマトを使った「ブラッディー・サム」で口直しをした後、「和牛サーロインステーキ」の提供前には、齋藤シェフが客前でステーキを調理するパフォーマンスを披露。ステーキの横には、遠藤氏の里芋、ゴボウ、ネギが添えられた。シメは小高氏が育てた菊芋を使い「菊芋といくらの米飯」を提供。そして、当日参加できなかった寺山佐智子氏が作った味噌を使った「MASQキラキラデザート」が最後を飾った。

当日は、一皿ごとにスタッフからメニューの説明があり、合わせて女性生産者が自己紹介と野菜の解説を行い、参加者は真剣に耳を傾けていた。

参加した女性生産者たちは「自分の作った野菜がすてきなメニューになって感激です」と、手塩に育てた食材がどう調理されるのかを体験できた喜びを語った。最後に齋藤氏が「今後も、農業女子の方々のように活躍する女性と交流を続けたい」と力強く挨拶し、約3時間のイベントは幕を閉じた。

最後に記念撮影を行った女性生産者4名と齋藤芽公シェフ。右から松本知恵氏、遠藤政子氏、齋藤氏、中島沙織氏、小高律子氏。お互いの食材や料理に対する思いを知り、働く女性として刺激を受けた様子
参加者のテーブルを回る齋藤氏。特徴ある野菜を使ったコース料理についてていねいに説明。参加者からは「応援しています」と温かな声もかけられた
参加した女性生産者は、自身が育てた生産物や現場での取り組みについて説明。パッケージ企画や商品開発など、女性の視点が活かされる分野にも話が及んだ
サプライズ演出として、参加者の前で「和牛サーロインステーキ」を調理した齋藤シェフ。手際よく焼き上げる様子に参加者からは拍手が沸いた
コースのドリンクは、「MASQ」の大竹直哉氏が担当。2015年1月に行われるバーテンダーの世界大会に日本代表として挑む氏が、その腕を披露

農業女子×女性料理人による★キラキラ★スペシャルランチコース(一部)

フォアグラ・サラダ ア・ラ・モード

中島氏の赤・緑からし菜、カキ菜を柚子胡椒のジュレで和え、フォアグラとの調和を楽しむ一皿

ブラッディー・サム

ジンに松本氏のトマトを使ったトマトジュースを合わせたドリンク。梅昆布茶を使ったムースで香りをプラス

和牛サーロインステーキ

ステーキの脇には、遠藤氏の里芋、ゴボウ、ネギに軽く火を通したものをカップに入れて添えた

菊芋といくらの米飯

小高氏の菊芋をピクルスにし、いくら入りの炊き込みご飯に合わせた。シャキシャキ感がアクセントに

MASQ キラキラデザート

ガトーショコラ、チーズケーキ、バニラとサツマイモのアイスをクレープで包んだ。隠し味は寺山氏の味噌