「静岡県産食材フェア」に先立ち、県食材の魅力を再発見
静岡県とぐるなびが「飲食店と生産者の情報交換会」を開催。「食べる“お茶”セミナー」で食茶の魅力にもフォーカス
連携協定の一環として地産地消、地産他消を推進
静岡県と株式会社ぐるなびは、5月16日、県内の生産者と飲食店関係者が一堂に会する「飲食店と生産者の情報交換会」を開催した。
これは、静岡県とぐるなびが昨年11月に締結した「食と観光に関する連携協定」に基づくもので、静岡県産食材の消費拡大と観光振興のために、ぐるなびが持つ事業インフラやノウハウを総合的に活用することなどが取り決められている。その一環として、7月15日~8月31日に県内と首都圏の飲食店で「静岡県産食材フェア」を行う予定となっており、今回の情報交換会は同フェアの周知を図るとともに、飲食店と県産食材との出合いや、生産者の販路拡大などを目指して企画された。
当日、会場となった「グランシップ(静岡市)」には、静岡県内の飲食店関係者ら約60人が参加。また、静岡県の呼びかけで集まった生産者を含む30団体が出展。開会前から熱気に包まれた。
会の冒頭には、静岡県経済産業部マーケティング課の土泉一見氏が挨拶に立ち、静岡県が量・質ともにトップクラスの水準を誇る「食材の王国」であることを紹介。県産食材のさらなる認知度アップに向けて注力するとともに、「ぐるなびのネットワークを活用し、県内外へ広く魅力を発信していきたい」と語った。
続いて、ぐるなびが「静岡県産食材フェア」について説明。同フェアは、静岡県や首都圏の飲食店が静岡県産食材を使った料理3品(うち1品は茶を使用)を考案し、自店で提供するイベント。静岡県産食材の魅力発信に加え、飲食店にとっては、新メニューの開発や自店の訴求力向上など、チャンスが広がることが紹介され、参加が呼びかけられた。
その後、茶の文化振興や消費拡大に取り組むNPO法人「日本食茶の会」理事長の石川味知子氏が、「食べる“お茶”セミナー」と題して講演。石川氏は、お茶の魅力をその歴史や種類を通して述べるとともに、茶はカテキン、テアニン、ビタミンなどを豊富に含むヘルシーな食材であると強調した。一方で、「茶葉の栄養成分は、浸出液では35%しか抽出されない」とし、効率よく摂取する方法として茶葉を食べることを紹介。海老と茶を炒めた中国の郷土料理や、茶葉を使った「お茶懐石」など和・洋・中の様々なレシピを紹介し、「茶は飲む世界から食べる世界へと広がりつつある」と言及。このほか、基本となるおいしいお茶のいれ方、栄養を無駄にしない水出し煎茶、現在開発を進めている発酵茶などについても触れた。
セミナー終了後は、飲食店関係者と生産者が直接交流し、情報を交換。飲食店のオーナーやシェフらは、各ブースを回って試食しながら食材を吟味し、生産者は自慢の食材をアピールして、活発なコミュニケーションが交わされた。
過去にぐるなびが主催した商品展示会に出展した経験を持つ生産者は、「実際に調理を担当するシェフの意見にヒントを得て、カットやペースト化など野菜の一次加工に取り組んだところ、販路の拡大につながった。今回はさらに多くの飲食店に認知を広げたい」と話し、商品バリエーションの一覧なども配布してアピールした。
また、県内でカフェを営む女性は、「これまで緑茶は提供してこなかったが、今回のセミナーでお茶の効能を実感した。水出し煎茶や、茶葉を使った料理にもチャレンジしてみたい」と話し、茶の生産者と交流を深めていた。さらに、県産食材を使って、県外からの観光客やインバウンドの集客につなげたいといった声も聞かれた。
会場では食材を挟んで活発な情報交換が行われ、盛況のうちに幕を閉じた。