歴史ある清水寺で、秘書の心得と感性を磨く貴重な機会に
「こちら秘書室 スキルアップセミナー」が京都で初開催。京都のみならず全国から、会員と“ボス”が参集
日本の伝統文化に通じる一流秘書の精神を学ぶ
5月30日、京都・清水寺で「こちら秘書室 スキルアップセミナー」が開催された。このセミナーは、接待にふさわしい飲食店探しなど、秘書業務をサポートするぐるなびの会員制サイト「こちら秘書室」が、会員の実務能力向上、キャリアアップのために行っているもの。2011年にスタートし、これまで東京、大阪を中心に実施してきた。
51回目となる今回は「日本の伝統文化から紐解く一流秘書の心得」をテーマに、初めて京都で開催。通常は会員のみが参加できるが、今回は会員の“ボス”(上司・社長)の同行も受け付け、会場となった清水寺の大講堂円通殿には約90名が集まった。
講師には、人材育成コンサルタントで、京都で日本の伝統文化や気遣いに関する研究を続ける能町光香氏(株式会社リンク 代表取締役)を招聘。能町氏は、外資系企業で約10年間、上級管理職を補佐する秘書を務めた経験に基づき、一流秘書の条件として①純粋性②口が堅い③心遣い④品位を保った明るさ⑤感情の安定性⑥自然体での対人対応力⑦迅速な意思決定⑧担当役員の「パートナー」として働けることを提示。具体的なエピソードを交えて一流秘書の心得を詳しく紹介したうえで、「人工知能の登場などで秘書の地位が脅かされるのではといった懸念の声も聞かれるが、人心の機微を感じ取り、ボスや会社が求める以上の仕事をすることは、人にしかできない。優秀な秘書のニーズは、今後ますます高まっていくでしょう」と強調した。
また、「秘書に必要とされる精神は、茶の湯の心得に通じている」とも話し、茶人が大切にしている「和敬清寂(わけいせいじゃく)」を秘書業務に重ねて解説。処理能力やスキルの高さだけではなく、和敬清寂が表す純粋な精神や互いを敬う姿勢の大切さも説いた。
続いて、清水寺執事補で泰産寺住職の森清顕(せいげん)氏が登壇。京都市から「京都観光おもてなし大使」を任命され、京文化の発信にも尽力する森氏は、僧侶の世界でも秘書と同じように気遣いや機転が求められることを、ユーモアも交えて紹介。また「おもてなしの肝は、技術よりも、人の心に対して想像力を働かせること。相手の心をケアするためには、自分自身の心が健康でなければならない」と話し、自身の心をリラックスさせる方法を3つ用意しておくよう勧めた。さらに、「物事の判断基準としてエビデンス(根拠)が重視される時代だからこそ、自身の直感に耳を傾けてほしい」とも語った。
セミナーに参加した秘書会員からは、「明日から仕事に活かせるポイントが聞けて、大変参考になった」「秘書業務の奥深さをあらためて感じた。教えていただいた心得を身に付けて、一流秘書を目指したい」など、前向きな声が聞かれた。
セミナー終了後、参加者たちは森氏の案内でライトアップされた清水寺の境内を回り、本堂を参拝。能町氏や森氏、また秘書同士で交流しつつ、貴重な夜の拝観を満喫していた。
特別限定講座 日本の伝統文化から紐解く一流秘書の心得
能町 光香 氏
青山学院大学卒業後、外資系企業の秘書として活躍。2013年に「一流秘書養成スクール」を創設し、上司のパートナーとして活躍できる人材の育成に尽力。秘書の地位向上、活躍の場の拡大を目指し、マネジメント層に対しても情報発信する。
セミナーでは、秘書に求められる心得を説くとともに、「自分自身の個性をもっと大切にして、強みを打ち出していくべき。その姿勢が成長にもつながる」とエールを送った。