新型コロナをきっかけにテイクアウト市場が急拡大
株式会社ぐるなび総研(代表取締役社長 滝久雄)が、その年の世相を反映し、象徴する〝食〞を選ぶ「今年の一皿」。去る12月8日、都内でその記者発表会が行われ、2020年は「テイクアウトグルメ」が選ばれた。
「今年の一皿」は、日本の優れた食文化を後世に継承していくことを目的に2014年から発表されており、今回で7回目。審査はまず、ぐるなびが保有する掲載店舗数約50万店(うち有料加盟店舗数約5万店)が発信する情報と、1935万人のぐるなび会員、月間5600万人のユニークユーザーの閲覧履歴などを組み合わせたビッグデータから、検索回数などの一定条件を満たした40ワードを、話題となった食のキーワードとして抽出。その後、ぐるなび会員へのアンケート、メディア関係者の審査を経て、2020年は「シャインマスカット」「代替肉」「テイクアウトグルメ」「ノンアルコールドリンク」の4つがノミネートされた。ここから、「①その年に流行または話題となった」「②その年の社会の動きと関係が深く、世相を反映している」「③食文化の記録として、後世に受け継ぐ価値がある」という条件を満たしていることを確認して、「今年の一皿」実行委員会が最終承認・決定した。
「テイクアウトグルメ」が選定された背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、テイクアウト需要が高まったことがある。新たにテイクアウトを始める飲食店が急増し、さまざまなジャンルのメニューが登場。外出自粛やテレワークへの移行、オンライン飲み会の増加など、社会が大きく変化する中、テイクアウトグルメが、消費者が外食の楽しさや飲食店の存在価値を再認識するきっかけとなったことも挙げられた。さらに、今後も外食を楽しむ方法としてテイクアウト利用が継続し、新しい日本の食文化として定着する兆しがみられていることもある。
また、例年受賞関係者に記念品が贈られるが、2020年は、テイクアウトグルメを通じて食卓に豊かさをもたらした全国の飲食店へ贈られることに。記者発表会では、グルメリポーターとして活躍するタレントの彦摩呂氏が、飲食店の代表者として受け取った。
30年間のリポーター活動の中で、約2万店の飲食店を訪れている彦摩呂氏は、「2020年は大変苦しい1年だったが、そんな逆境の中でも〝お客様に喜んでもらおう〞という気持ちが飲食店の皆さんにはある。飲食店は日本経済の母。その愛情が素晴らしいテイクアウトグルメを生み、今回の受賞につながったのだと思う」とコメント。また、「新型コロナの収束後もテイクアウト需要は続いていき、イートインとテイクアウトを消費者が選べるようになるのでは」とも話した。
2020年 今年の一皿「テイクアウトグルメ」
その他ノミネート
パフェやサンドイッチなど、シャインマスカットを使ったメニューや商品が増加。外食控えの中で手軽にぜいたく感を味わえる高級食材として、消費者の需要も増えた
健康志向の高まりを受け、大手食品メーカーが参入。外食チェーンでも取り入れる店が出てきた。また、環境保全などの効果への意識が高まり、新たな食材として広まっていくことが期待されている
運動機会の減少、在宅時間の増加とともに健康意識が高まり、関心が集まった。すでにポピュラーなビールだけでなく、ワインやカクテルなど、種類が増えて味も進化した
このほか、ムック本「行列のできるテイクアウト」で編集長を務めた株式会社枻(えい)出版社の笹木靖司氏、飲食店向けテイクアウト包材などを提供する伊藤忠商事株式会社の通自(つうじ)順也氏、株式会社ぐるなびの松尾大によるトークセッションも行われ、それぞれが注目したメニューや、包材の発展の可能性、テイクアウトグルメのさらなる進化への期待などが語られた。