食分野の専門メディア14社で構成する外食産業記者会が、外食業界でその年に活躍した人や話題になった人を表彰する「外食アワード」。このほど「外食アワード2020」の受賞者が発表され、6月30日、東京・池袋で開催された「居酒屋JAPAN 2021」にて表彰式が行われた。会場には、“外食の今”を象徴する豪華な顔ぶれが並んだ。
アワードの表彰は3つの部門別に実施。まず、外食事業者部門で選出されたのが、近藤正樹氏(日本KFCホールディングス株式会社 代表取締役社長:表彰式時点では退任し顧問)、浜倉好宣氏(株式会社浜倉的商店製作所 代表取締役)、田川翔氏(株式会社ギフト 代表取締役社長)、吉見悠紀氏(株式会社ゴーストレストラン研究所 代表取締役)の4名。また、中間流通・外食支援事業者部門として、竹川敦史氏(株式会社フードサプライ 代表取締役社長)、跡部美樹雄氏(株式会社ミートエポック 代表取締役社長)が選出された。食材事業者部門は、今回は該当者無しとなった。
表彰式の際に挨拶に立った外食産業記者会・代表幹事の川端隆氏は、コロナ禍での受賞者選定に際し、記者から多くの意見が出たことを紹介しつつ、「未曾有の事態の中で、それぞれの得意分野で業界に勇気を与えてくださった方々を選出した。受賞者の活躍をより多くの人に知っていただき、業界に携わる方々の希望になれば」と語った。
また受賞者とあわせて、その年を象徴する「外食キーワード」も発表。2020年は以下の5つの言葉が選ばれた。
コロナ禍
2020年2月ごろから感染者が急増した新型コロナウイルスで、世界的に経済が停滞したこと。日本でも4月に政府が緊急事態宣言を行い、飲食店は22時以降の営業を自粛するように要請があった。5月末には国レベルの宣言は解除されたものの、東京都や大阪府、愛知県など、自治体レベルでの営業自粛要請もあり、外食業界は大きな影響を受けた。
テイクアウト・デリバリー
コロナ禍で三密(密閉、密集、密接)を防ぎながら、ビジネスを広げる手法として注目された。テイクアウトとデリバリーの両方に強いファストフードはもちろん、大手から個人の居酒屋までテイクアウト商品を開発し、店頭で弁当などを販売したが、労力を使った割には利益にならないケースも少なくなかった。ただ、イートインスペースを持たず、テイクアウト・デリバリーだけで営業する「ゴーストレストラン」が増えるきっかけになった。
Go Toイート
農林水産省主導で実施された飲食店支援策。同種のものに観光業界支援のために国土交通省が実施したGo Toトラベルがある。Go Toイートは、指定された予約サイトから予約すると、ランチで1人500円、ディナーで同1,000円分のポイントが付与されるオンライン予約事業と、購入した金額に25%のプレミアムが付く食事券事業がある。当初は混乱もあったが、オンライン予約事業は人気が高く、飲食店の営業の後押しとなった。
唐揚げバブル
数年前からの唐揚げ専門店人気に加え、コロナ禍によるテイクアウト・デリバリー需要の高まりで、あらゆる企業、店が唐揚げビジネスに参入した。最大手は「かつや」系の「からやま」だが、すかいらーく系の「から好し」が後を追い、ワタミの「から揚げの天才」も参入している。既存厨房を使い、唐揚げのゴーストレストランとしてビジネス展開する企業も後を絶たず、飽和状態ではないかと危惧する声もある。
フェイクミート
大豆を中心とした植物由来のタンパク質を使った食品。「代替肉」「植物肉」とも言われる。大豆タンパクを使った肉類似商品は古くからあるが、米国でベンチャー企業が次々登場し、日本でも販売する企業が増えている。「モスバーガー」や「焼肉ライク」など、外食業界でも導入が進んでおり、将来的には4,000億円市場になるとの声も。ただ、現状では利用者は限られており、欧米のような大きな市場に育つかどうかは懐疑的な意見もある。