新潟県の食材を使って、東京のシェフが新メニューを披露
日本各地の生産者が、自慢の食材を消費者に直接販売する、都市住民参加型の市場「マルシェ・ジャポン」。2009年秋から全国で行なわれているこのマルシェで、9月2日(日)、シェフが出品されている農産物を使った料理を提供する「青空シェフの日」のイベントが初めて開催された。会場となった東京・恵比寿のガーデンプレイスには、生産者のブースに混じって、2人のシェフがキッチンカーで参加。マルシェに出品した生産者の食材で新メニューを披露した。
参加したのは、会場近くの恵比寿にある2つのレストランの看板シェフ。「Herb & Wine Bistro Elder」の藤縄潤氏と「Antica Osteria della Magicamente」の佐藤 崇行氏だ。食材を提供したのは新潟県の生産者たち。新鮮な新潟野菜や魚沼産コシヒカリ、もち豚、南蛮海老(アマエビ)、桃などが、シェフの手によって、新しい料理へと変身した。
シェフ・生産者・消費者の交流で、日本の食文化の発展を展望!
当日は時折、雨が落ちるあいにくの天気。それでも近隣住民や観光客ら老若男女が多数集まり、採れたての農産物や珍しい加工品を買い求めた。各地のブースが並ぶ中でも、今回出店数の多かった新潟県のブースでは米、枝豆、菜種油、ベビーリーフなどを販売。消費者に新潟産品の特徴と、生産者の取り組みをアピールした。
2人のシェフは、朝からキッチンカーで料理の総仕上げ。初めてとなる新潟県産素材のみのメニューを振る舞い、店と新潟食材をアピールして、来場者の関心を集めた。「Elder」代表の野村俊介氏は、「1つの県にフォーカスしてメニューを作るのは初めて。うまく仕上げることができ、ランチメニューへの導入を検討中です」と語り、「Magicamente」の佐藤シェフも「東京の市場では手に入らない食材も多い。ぜひ、今後も使っていきたいですね」と話してくれた。生産者の一人である「長岡やさい耕房」の竹内剛氏は、「東京のシェフと消費者に、直接、生産物を届けられた意味は大きい。新潟にはいいものがたくさんあるので、さらに広めて、販売ルートの拡大につなげたい」と意欲的だ。もちろん、シェフの料理はすべて完売。また、「青空シェフの日」開催後も、シェフと生産者の交流が続いているという。
「青空シェフの日」は、シェフが料理教室や試食会を通して客と交流する「シェフの日」を、生産者・消費者との交流へ発展させた企画だ。生産者にとっては食材を広める機会に、シェフにとっては新しい食材と出会うきっかけとなる。両者のコラボレーションは、産地の活性化と日本の食文化発展の土台。今後、マルシェではもちろん各地のイベントでも開催が予定されており、さらなる発展が期待されている。直近では、10月21日(日)に群馬の高崎駅前で開催される「高崎音楽祭」への出展が決定。高崎市の飲食店のシェフが、高崎市の食材を使った料理をふるまう、地産地消スタイルの「青空シェフの日」を開催予定だ。