低アルで酸味のある味わいが人気!クラフトサケ、ペアリング専門店にも注目
若者の“酒離れ”が叫ばれているが、一方で日本酒にハマる若い人も少なくない。新しい顧客を獲得するため、酒造も日々努力・進化を重ねており、毎年さまざまなトレンド商品が生み出されている。そこで、日本酒専門Webメディア「SAKETIMES」の編集長・小池潤氏にインタビューを実施。近年のトレンドや注目の酒造・商品、そして日本酒の提供に力を入れている飲食店について話をうかがった。
SAKETIMES(https://jp.sake-times.com/)
2014年に創業した、国内最大級の日本酒専門WEBメディア。日本酒の魅力の伝え手として、酒蔵の紹介や蔵元・杜氏のインタビュー、専門用語の解説、業界の最新ニュースなど、日本酒体験を豊かにする情報を配信している。これまでに配信した記事は6,700本を超える(2024年6月14日現在)。
目次
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日本酒の近年のトレンドは?
└「低アル」&「酸味」がキーワード
└「クラフトサケ」が人気急上昇中
└「夏酒」のトレンドは3つ
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日本酒のトレンドをけん引する飲食店は?
└「恵比寿maen」(東京・恵比寿)
└「EUREKA! (ユリーカ)」(東京・広尾)
└「日がさ雨がさ」(東京・四谷三丁目)
└「和食日和おさけと」(東京・日本橋ほか)
└「ふしきの」(東京・神楽坂)
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日本酒を広げるために飲食店に期待することは
└呑まない人も楽しめる工夫を
└ストーリーも重要。でもそれ以上に・・・
└外国人にも日本酒を楽しんでもらうために
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日本酒の近年のトレンドは?
「低アル」&「酸味」がキーワード
まず挙げられるのが「低アルコール」です。主に若者や女性を対象に、いかに飲みやすい日本酒を造るか、いかに日本酒に対するハードルを下げるかといったところに酒蔵が注力し、その結果、低アルコールの商品が増えています。日本酒のアルコール度数は15~16%が一般的ですが、ワインに近い12~14%のものが増えていますね。度数が1%低くなるだけでも、飲んだときの印象は大きく変わります。
またここ数年、味の方向性としては「酸味」を意識した商品が流行しています。爽やかで飲みやすいという面もありますが、特に和食以外とのペアリングを提案しやすいことが大きな理由だと思います。例えば、栃木県さくら市の「せんきん」は比較的アルコール度数が低く甘酸っぱい日本酒が得意な酒蔵で「モダン仙禽 亀ノ尾」はその代表例といえます。また、香川県観音寺市にある「川鶴酒造」の「讃岐くらうでぃ」は6%という低アルコールかつ乳酸菌飲料のような甘酸っぱいにごり酒で、香川名物のスパイシーな骨付き鶏に合う日本酒として開発されたものです。
もともと日本酒自体が、食事に合わせることで力を発揮する食中酒としての魅力を持っていますが、どんな料理やおつまみにも合うかわりに無難なペアリングになってしまうことがありました。突出した個性があるほうが新しい食べ合わせを考案しやすく、ワインのペアリングのように、80点ではなく200点を目指したペアリングを提案できます。日本酒もこうした感動するような体験を提供してファンを増やしていくために、多くの酒蔵がバランスの取れた味わいから個性的な味わいの商品に力を入れているように感じます。
「クラフトサケ」が人気急上昇中
「クラフトサケ」の勢いも見逃せません。クラフトサケとはハーブや果物などの副原料を発酵過程で取り入れた醸造酒のことですが、ベースは日本酒なので、日本酒らしさがありつつもこれまでにない新しい味わいが表現されています。酒税法上は清酒ではなくその他の醸造酒に区分されるため、製造免許が比較的取りやすく、新しい造り手がどんどん増えてきています。ただ、クラフトサケは製造量が少ないため、どうしても1本あたりの価格が高くなってしまい、飲食店で取り扱いにくいという課題があります。それを解決すべく、秋田県男鹿市の「稲とアガベ醸造所」が飲食店向けに価格を調整した新ブランド「交酒 花風(こうしゅ はなかぜ)」を2024年の2月にリリースしました。このような流れが進めば、今後はより多くの飲食店にクラフトサケが置かれるようになるのではないかと期待しています。
「夏酒」のトレンドは3つ
夏季限定の「夏酒」も日本酒全体のトレンドと同じく、度数を下げて飲みやすくしたものが人気です。例えば、先述の「せんきん」は夏にはさらに爽やかな味わいの「かぶとむし」を発売しています。
一方、夏はソーダ割やオンザロックを提案する酒蔵も多く、すいすいと飲める「低アルコール」「ソーダ割」「オンザロック」が夏酒の3つのキーワードといえるでしょう。割ることを前提にアルコール度数を高く造った日本酒もあるくらいなので、飲食店さんも自由な発想で日本酒をアレンジしていただき、そのお店ならではの付加価値をつけてほしいと思います。
日本酒のトレンドをけん引する飲食店は?
「MAEN Sake pairing restaurant」(東京・恵比寿)
日本酒とフレンチの完成度の高いペアリングを体験できるレストラン。料理と日本酒をそのまま組み合わせるのではなく、日本酒にチーズからとっただしを加えたりといった遊び心のあるアレンジをして提供しています。そのアイデアが斬新で、日本酒の可能性を広げてくれるお店です。
「MAEN Sake pairing restaurant」
東京都渋谷区広尾1丁目 EbisuHirooSquare7階 1
https://www.instagram.com/maensakepairing/
「EUREKA! (ユリーカ)」(東京・広尾)
日本酒ペアリングのカリスマ的存在である、「GEM by moto」元店主の千葉麻里絵さんがオープンした店。千葉さんならではの独創的なペアリングが面白く、日本酒にスパイスを入れるなど、「これは何が入っているんだろう?」「なぜこの料理と合うんだろう?」と考えさせてくれるので、それが新たな発見につながっています。
「EUREKA!」
東京都港区西麻布4-11-28 麻布エンパイアマンション 2F
https://www.instagram.com/eureka.sake/
https://r.gnavi.co.jp/4x8038an0000/
「日がさ雨がさ」(東京・四谷三丁目)
今、盛り上がっているのが長野県の日本酒。もともと酒蔵の数が日本で2番目に多い日本酒大国ではありますが、世界的な日本酒コンテストで多数入賞したりと、レベルが一段と上がってきています。「日がさ雨がさ」は長野県の日本酒の品ぞろえが都内随一。その魅力を存分に知ることができます。
「日がさ雨がさ」
東京都新宿区四谷3-9-11 四谷シンコービル7F
https://higasaamagasa.com/
https://r.gnavi.co.jp/85uh1wc60000/
「和食日和おさけと」(東京・日本橋ほか)
和食×日本酒という王道スタイルで都内に店舗を増やしている、日本酒業界の中でも心強い存在。銘柄のラインナップもバランスが取れていて幅広いニーズに応えています。スタッフさんも日本酒に詳しく、どなたにおすすめを聞いてもしっかり答えが返ってくるところも頼もしいです。
「和食日和おさけと」
東京都中央区日本橋1-3-13 東京建物日本橋ビルB1
https://www.osaketo-washoku.jp/
https://r.gnavi.co.jp/9y8m8vr20000/
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「ふしきの」(東京・神楽坂)
懐石料理と日本酒のペアリング専門店。通常ペアリングというと料理とお酒の組み合わせですが、こちらは酒器にもこだわり、料理・日本酒・酒器の3つの要素を掛け算した高度なペアリングを提供しています。酒器で日本酒の味わいが変わるということを体感できるお店です。
「ふしきの」
東京都新宿区神楽坂4-3-11 神楽坂つなしょうテラス 2F
https://fushikino.com/
https://r.gnavi.co.jp/85fcnz4m0000/
日本酒を広げるために飲食店に期待することは
呑まない人も楽しめる工夫を
日本酒にこだわっている飲食店には日本酒好きと一緒に行くという方が多いと思うんですね。でもいろんな人に日本酒を飲んでもらうためには、日本酒を飲み慣れてない方や、そもそも日本酒が得意じゃないという方にも来てもらえるような、一緒に楽しめる空間や環境づくりが大切ではないでしょうか。例えばノンアルコールメニューを増やしたりして、飲める人と飲めない人がともに楽しめる工夫をするなど、日本酒のある場に出入りする方々の幅を広げる工夫が必要なのではないかと思います。
また、近年は日本酒のラベルもポップでモダンなデザインのものが増えています。例えば群馬県高崎市の牧野酒造は県内最古の酒蔵ですが、「macho(マッチョ)」シリーズというマッチョな男女やゴリラが描かれたとてもインパクトのあるラベルの商品をリリースしています。ラベルはお客さんとの最初の接点。目を引くラベルが手に取るきっかけになる可能性もありますね。
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ストーリーも重要。でもそれ以上に……
酒販店や飲食店、メディアが日本酒の魅力を伝える際、酒蔵の歴史や社氏の思いといった背景の情報を重視する傾向にあります。製造技術の向上とともに、日本酒の品質が高くなっているという前提の中で、単なるおいしさにプラスする魅力として、背景にあるストーリーを伝えることがトレンドになっていると思うんです。もちろんストーリーも大切ですが、最終的には味わって感動してもらうものなので、ストーリーを重視しすぎて味への注目がおろそかになってしまっては意味がありません。飲食店はグラス単位でいろいろな銘柄を飲むことができ、日本酒の魅力を体験するには一番いい入り口です。ストーリーと味わいの魅力をバランス良く伝えることで日本酒ファンを増やしていってほしいと思います。
外国の方々にも日本酒を楽しんでもらうために
都内の飲食店の様子や海外の日本酒コンテストの結果を見ていると、さらっとした飲みやすい日本酒よりも、しっかりとした味で個性のある日本酒のほうが外国の方々に評価されている印象です。普段からワインをはじめとした洋酒を飲み慣れている方々にとっては、複雑な味のほうがなじみやすいのかもしれません。
また、日本酒は飲用温度帯が広いことが特徴の一つです。温めて食事と一緒に飲むお酒は世界的に見ても珍しいですし、温度の違いによって呼び方が変わるのも日本酒ならではの文化といえます。それから、搾ったばかりの生酒のようにフレッシュ感を味わうものも、ほかのお酒では多くありません。こうした日本酒特有のカルチャーを伝えて、日本酒だからこそできるユニークな体験を提案できれば、外国の方々にももっと日本酒を楽しんでもらえるのではないでしょうか。
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