2023/05/19 特別企画

キッチンカーの開業準備、「営業許可証」と「タンクの容量」だけは忘れるべからず

飲食店の新たな展開・副業としても注目度が高まっている「キッチンカー」。まず開業の準備段階で抜けてはいけない「営業許可証」「タンクの容量」についてや、開業資金・資格・諸手続きなど、失敗しないための重要ポイントをまとめて紹介します。

URLコピー

更新日:2023.10.25

固定店舗にはないメリットで販路拡大。キッチンカー(移動販売)を始める人が増加傾向

初期費用が安く、人が集まる場所に移動しながら営業できるなど、固定店舗にはないメリットで注目を集める「キッチンカー」。

コロナ禍の影響から、飲食店が導入する際には助成金が出ることとなり、新規に参入するケースが増えているようです。実店舗の定休日や営業時間外を利用し、家賃をかけずにさまざまな場所で営業できるため、副業として検討されることも多いそう。ここではそんなキッチンカーの開業に向けた、準備段階で忘れてはいけない項目や、必要資金・諸手続きなどについて解説していきます。

目次
・キッチンカー(移動販売)のメリット
・開業資金は、最低でもいくら必要?
・資金調達方法
・開業に向けて購入しておくべきものは?
・いざ準備開始。出店前に必要な諸手続きは?
・「計画」が大事! 商材決め 
・「ニーズに合っている」ことが大事! 出店地決め 
・出店後のポイント! 広く売るコツ

キッチンカー(移動販売)のメリット

低予算、低経費で開業できる

まず、通常の飲食店に必要な家賃が発生しないため固定費がありません。しかも開業初期費用も比較的低額に抑えやすいのが魅力。また、メニューによっては調理から提供まで一人で運営できるため、人件費も最小限に抑えることができます。

売れる場所へと、移動が可能

イベント会場やオフィス街など、確実に人が集まる場所を移動しながら出店できるのは、キッチンカーの大きな強み。オープンしてすぐに売上獲得を見込みやすいほか、立地選びに失敗したと感じたら、場所を変更して再挑戦も可能です。

提供メニューの変更も可能

ランチ需要が高いオフィス街では弁当、大人が集まるイベント会場では酒とおつまみなど、出店場所や時間帯、ターゲットに応じて提供メニューを変更することも可能。利用客のニーズにフレキシブルに対応し、集客を促せます。

自由度が高い

最大のメリットは、自身の都合に合わせて出店計画ができる自由度の高さでしょう。売上目標にもよるが、日時や場所を選んで営業できる点が、副業としても注目される理由の一つです。

【こちらもチェック!】
フードトラック開業のメリットとは?開業時の流れと運営時のポイント
※「テンポス フードメディア」へジャンプします。

開業資金は、最低でもいくら必要?

車の購入資金は250~400万円

一般的な開業資金の相場は300〜500万円とされます。そのうち、もっとも費用がかかるのは車両の購入費。

新車の相場は車両の大きさや積載キッチンの性能などによって250〜400万円ほど。営業許可条件をクリアした設備を搭載し、すぐに営業を開始できる場合が多いのがメリットです。中古車は購入費を抑えられますが、整備や改造に費用がかかる場合があるので注意が必要。いずれも、車両の内装や設備、外装デザインにこだわる場合はより出費が大きくなるので、予算に合わせてご検討を。

レンタルは平日1日3〜5万円、土曜日・日曜日・祝日は7〜10万円ほど。レンタルの場合、車両設備が出店地域の営業許可が下りる条件を満しているかを、必ず確認しましょう。

その他の初期費用は25~30万円

厨房まわりの備品や商品提供用の容器、また営業許可取得にかかる費用や保険料など、諸経費として25〜30万円ほどみておきたところです。

そのほか出店当日の備えとして、駐車場代、ガソリン代、材料費などのランニングコストも数カ月分は確保しておくと安心です。

資金調達方法

金融機関で融資を受ける

銀行などの金融機関で融資を受ける場合は、一定の自己資金を確保した上で事業計画書の作成が必須。もし一般銀行の審査の結果、融資を受けられなかった場合は、日本政策金融公庫に相談してみるという手もあるので、確認してみましょう。

適用のある補助金、助成金を活用する

キッチンカーを開業する際に適用される補助金の例に「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」などがあるので、有効に活用したいところ。

例えば、新たな販路獲得のためにキッチンカーを導入する場合、新型コロナウイルスによる影響を受けた事業主を対象にした小規模事業者持続化補助金を利用できる可能性が高いです。ほかにも自治体ごとにキッチンカーの開業や運営に使える補助金や助成金がありますし、現在使えるものは変わっていきますので、補助金ポータル等で検索してみましょう。

【こちらもチェック!】
【最新版】いま、飲食店が使える補助金&助成金

開業に向けて購入しておくべきものは?

埼玉県のスーパーマーケット前で餃子、フライドポテトを販売する「KY餃子」。厨房設備には鉄板とフライヤーを完備。店前の商材PRがしっかりとできている好例

炊飯ジャーやフライヤーなどの厨房機器

カレーや弁当など温かいご飯を提供する場合は炊飯ジャー、唐揚げやフライドポテトなど揚げたてを提供する場合はフライヤー、温めが必要なメニューには電子レンジなど、商材に合わせた厨房機器を設置しましょう。

なお、調理の熱源に欠かせないプロパンガスは、ガス会社と契約の上、購入を。契約後、指定の場所にガスボンベを持ち込み、ガスを充填してもらいましょう。

【こちらもチェック!】
キッチンカーの開業にオススメの設備・厨房機器を一挙ご紹介!
※「テンポス フードメディア」へジャンプします。

道行く人の目を引く装飾品に注力する

  • 大きなタペストリーは、メイン商材を伝えやすい。必需アイテムの一つ
  • 車正面に立て看板を設置。人が歩いてくる方向を意識して看板などを配置するのも大切なポイントだ

商材の開発に注力するのはもちろんですが、力を入れるべきは「利用客の目を引く装飾」。街中やキッチンカーが並ぶイベント会場では、いかに自店の商品をわかりやすく紹介し、興味を持ってもらうかが売り上げを左右します。購買意欲が湧くようなシズル感のある写真を上手に使い、他店との差別化を図りましょう。

タペストリー、立て看板、のぼりなどの装飾品に力を入れれば、車両の外装費にお金をかけずとも商品をアピールすることができます。収納・携帯性なども考慮して、業態に合うものを選択しましょう。

いざ準備開始。出店前に必要な諸手続きは?

資格と免許、保険

まず、キッチンカーを運営する食品移動販売業者となるには、運転免許証に加え、食品営業許可を取得するための食品衛生責任者の資格が必要となります。食品衛生責任者は計6時間の養成講座を受講することで取得可能で、講習は各都道府県で開催されています。

そのほか自動車保険や、食中毒が発生した時の賠償保険としてPL保険にも加入したいところ。PL保険は出店場所によっては加入が必須の場合もあるので、都度確認が必要です。

必ず、販売地域管轄の保健所で「営業許可証」を取得すること

2021年6月の改正食品衛生法の施行により、キッチンカー営業に必要な許可は「飲食店営業」に一本化、営業許可基準が大きく変わりました。

この営業許可は一度取得すればいいものではなく、出店地域を管轄している保健所で申請する必要があります。また、一つの営業許可で県内全域販売可能な地域と、県内の一部でしか販売できない地域と、それぞれ範囲が異なるため要注意です。出店先を決めたら、必ず管轄の保健所を確認して準備を進めましょう。

キッチンカーの営業許可の基準

営業許可を得るためには、車内の調理スペースが完全に囲われていること、壁・天井・床が掃除しやすい材質であること、食材・器具用と手洗い用に分けた2層のシンクの設置、40L・80L・200Lのいずれかの給水タンクの搭載、冷蔵庫・冷凍庫の設置、洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造の手洗い設備の設置、ふた付き容器収納の設置、ふた付きのゴミ箱の設置、アルコール消毒の設置など、細かく設定された基準をクリアしなければならないことを踏まえておく必要があります。

「タンクの容量」は、要チェック項目

キッチンカーの営業許可基準が大きく変わった項目のうち、給排水タンクの容量(40L/80L/200L)によって提供できる品目が統一されたので注意が必要です。
 
40Lは唐揚げのみ、かき氷のみなど、温めるだけや盛り付けるだけなどの単純調理ができる1品目のみ、80Lは2工程内で調理できる複数品目だ。200Lあれば仕込みも含め制限なし。どんなメニューでも提供可能となります。

「計画」が大事! 商材決め

利益率で売るものを考える視点を持とう

「工夫を凝らした自分だけのメニューを売ってみたい」などの構想もあると思いますが、「初期投資をどれくらいの期間で回収したいか」というところから逆算して、利益率で売るものを考えてみることも大事です。原価や販売、管理のしやすさで売るものを検討してみましょう。

また、基本的に1人〜少人数での営業となるため、手間がかかる上に利用客を待たせるようなオペレーションのメニューは適しません。トッピングやソースで簡単に商材のバリエーションを増やせたり、時間帯や出店場所によって弁当にも惣菜にもなりえるおかず系は、需要も広く見込めるでしょう。

人気の高いメニュー

たこ焼き、クレープ、ワッフル、ベビーカステラといったいわゆる「粉モノ」は、材料の保存がしやすくキッチンカーでは定番のメニュー。必要な分量だけ調理して余った材料は次回の出店でも使えたり、小麦粉や卵など材料によってはワッフルにもベビーカステラにも使用できるなど、材料コストを抑える面で強みはありますが、その分競合店が多く、差別化が難しい可能性も。

そのほか、餃子、唐揚げ、焼き鳥などランチから夕飯の惣菜まで時間帯を問わずに利用できるメニューは人気があります。

【こちらもチェック!】
タコ焼き屋開業に必要な準備とは?開業準備に必要なノウハウ4選
※「テンポス フードメディア」へジャンプします。

キッチンカーで最近人気のベビーカステラ屋をオープンするには
※「テンポス フードメディア」へジャンプします。

仕込み場所、事前準備万端で販売に臨む

給排水の容量タンクが200L未満のキッチンカーは、営業車両内で材料を切る・洗うなどの仕込みにあたる行為は禁止されているので注意。別途仕込み場所を確保するか、冷凍食材やカット済み野菜、缶詰など、仕込みの必要がない食材を使用できるメニューを選択しましょう。

また、給排水の容量タンクが200Lの場合でも、汚染度の高い行為は原則として一次加工所で行う必要があります。トラブルが発生してからでは遅いので、まずは保健所に確認するのが賢明です。

「ニーズに合っている」ことが大事! 出店地決め

その場所で売れるかどうかリサーチを

人の集まる場所で営業できるのが強みのキッチンカーですが、客層と提供メニューの内容がマッチしていなければ売上は確保できません。お弁当や丼ものであればランチ需要の高いオフィス街、たこ焼きやワッフルなどのおやつや軽食は家族連れが多い日中の公園、夕飯や晩酌にもなる餃子や焼き鳥なら夕方のスーパーというように、利用客のニーズをしっかり想定して、販売場所を選択してみましょう。

出店地の例

お祭りや音楽フェスなどのイベント会場は、場所代はかかりますが一定の集客は見込みやすいです。そのほか、学園祭、家族連れが集まる公園、オフィスビルの敷地内、スーパーやドラッグストア、ホームセンターの駐車場など、人が集まる場所は出店の狙い目といえます。

また、マルシェはファーマーズマーケットなどのイベントも多数企画されているので、インターネットで検索するなどしてコンセプトに合ったイベントを探してみましょう。

そのほか、ドン・キホーテの「自由市場」など、企業が募集している貸しスペースを利用するという方法もあります。

出店後のポイント! 広く売るコツ

SNSでPRしよう

準備万端、いよいよ出店!営業の準備が整ったらInstagram、TwitterなどのSNSアカウントを作成し、商材のアピールや、出店予定や営業時間の告知に活用しましょう。

投稿時、出店しているフェスやイベントのハッシュタグ、販売場所の位置情報をタグ付けしよう。そうすることで拡散につながりがりやすくなります。

UberEats(ウーバーイーツ)という手法もある

UberEatsを利用すれば出店先の近隣住民などにまで利用客を拡大できます。週4日+1日3時間以上の出店で5種類以上のメニューの提供があるなど、一定の基準を満たせば登録できるので、条件を確認してみましょう。

通常の飲食店にはないメリットも多いキッチンカー。成功のためには出店場所のリサーチと商材の見極め、出店地域の営業許可申請など、綿密な準備が欠かせません。上記のポイントや注意点が、開業準備のお役に立てれば幸いです。

飲食店の経営や集客は「ぐるなび」にご相談ください!

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。

「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、集客・リピート促進はもちろん、顧客管理、エリアの情報提供、仕入れについてなど、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】

飲食店のオープン・開業時の集客・販促はぐるなびがサポート!

オープン直後でなかなかお店を知ってもらえない、開業前後は忙しくて集客に手が回らない…そんなお悩みはありませんか?

無料から始められる「楽天ぐるなび」はWeb集客だけでなく、インバウンド対策・予約管理から無断キャンセル対策まで、集客のあらゆる課題解決をサポートします。

▶詳細&資料請求はこちらから