初回公開日時:2023.5.19
固定店舗にないメリットを持つキッチンカー(移動販売)で販路拡大!
初期費用が安く、人が集まる場所に移動しながら営業できるなど、固定店舗にはないメリットで注目を集める「キッチンカー」。
実店舗の定休日や営業時間外を利用し、家賃をかけずにさまざまな場所で営業できるため、副業として始める人も多いようです。ここではそんなキッチンカーの開業に向けた、準備段階で忘れてはいけない
「営業許可証」
の取得や
「給排水タンクの容量」
といった項目や、必要資金・諸手続きなどについて、開業準備の手順に沿って解説していきます。
目次
・キッチンカーのメリットは?
・キッチンカ―で失敗する理由は主に5つ
・①事業計画・資金計画を立てる
・②メニューを決める
・③出店場所の選定・仕込み場所の確保
・④キッチンカ―の入手
・⑤営業許可など各種手続き
・⑥必要な備品の購入
・出店後のポイント! 広く売るコツ
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キッチンカーのメリットは?
初期投資・ランニングコストともに抑えられる
まず、通常の飲食店に必要な家賃が発生しないため固定費がありません。しかも開業初期費用も比較的低額に抑えやすいのが魅力。また、メニューによっては調理から提供まで一人で運営できるため、人件費も最小限に抑えることができます。
販売する場所や時間を変更できる
イベント会場やオフィス街など、確実に人が集まる場所を移動しながら出店できるのは、キッチンカーの大きな強み。オープンしてすぐに売上獲得を見込みやすいほか、立地選びに失敗したと感じたら、場所を変更して再挑戦も可能です。また、出店場所や売るメニューによって“一番売れる時間帯”も異なります。ニーズが一番高まる時間に合わせて出店することも可能です。
提供メニューの変更が容易
ランチ需要が高いオフィス街では弁当、大人が集まるイベント会場では酒とおつまみなど、出店場所や時間帯、ターゲットに応じて提供メニューを変更することも可能。利用客のニーズにフレキシブルに対応し、集客を促せます。
飲食店に比べて開業までの準備期間が短い
飲食店を開業するには、物件を探して厨房設備を購入するなど、トータルで約1年ほどの時間がかかります。一方、キッチンカ―であれば車の購入など必要なステップが少なく早ければ数カ月で開業することが可能です。
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キッチンカ―で失敗する理由は主に5つ
キッチンカ―を開業したものの、うまくいかずに店をたたむことになる例も少なくありません。その主な理由は、
【1】出店場所が悪い(確保できない)
【2】価格設定を間違える
【3】集客ができない
【4】天候や天災などの影響
【5】資金計画が甘い
です。【4】はコントロールしにくいものですが、それでも出店場所を含めて入念な事業計画を立てておけば、リスクを抑えることはできます。以下に紹介する①~⑥の手順に沿ってポイントを押さえながら計画を立てて、事業を軌道に乗せていきましょう。
①事業計画・資金計画を立てる
開業資金はいくら必要?
車の購入資金は250~400万円
一般的なキッチンカ―の開業資金の相場は300〜500万円とされます。そのうち、もっとも費用がかかるのは車両の購入費。
新車の相場は車両の大きさや積載キッチンの性能などによって250〜400万円ほど。営業許可条件をクリアした設備を搭載し、すぐに営業を開始できる場合が多いのがメリットです。中古車は購入費を抑えられますが、整備や改造に費用がかかる場合があるので注意が必要。いずれも、車両の内装や設備、外装デザインにこだわる場合はより出費が大きくなるので、予算に合わせてご検討を。
レンタルは平日1日3〜5万円、土曜日・日曜日・祝日は7〜10万円ほど。レンタルの場合、車両設備が出店地域の営業許可が下りる条件を満しているかを、必ず確認しましょう。
その他の初期費用は25~30万円
厨房まわりの備品や商品提供用の容器、また営業許可取得にかかる費用や保険料など、諸経費として25〜30万円ほどみておきたところです。
そのほか出店当日の備えとして、駐車場代、ガソリン代、材料費などのランニングコストも数カ月分は確保しておくと安心です。
資金調達方法は?
金融機関で融資を受ける
銀行などの金融機関で融資を受ける場合は、一定の自己資金を確保した上で事業計画書の作成が必須。もし一般銀行の審査の結果、融資を受けられなかった場合は、日本政策金融公庫に相談してみるという手もあるので、確認してみましょう。
適用のある補助金、助成金を活用する
キッチンカーを開業する際に適用される補助金の例に「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」などがあるので、有効に活用したいところ。
例えば、新たな販路獲得のためにキッチンカーを導入する場合、新型コロナウイルスによる影響を受けた事業主を対象にした小規模事業者持続化補助金を利用できる可能性が高いです。ほかにも自治体ごとにキッチンカーの開業や運営に使える補助金や助成金がありますし、現在使えるものは変わっていきますので、補助金ポータル等で検索してみましょう。
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②メニューを決める
利益率で売るものを考える視点を持とう
「工夫を凝らした自分だけのメニューを売ってみたい」などの構想もあると思いますが、「初期投資をどれくらいの期間で回収したいか」というところから逆算して、利益率で売るものを考えてみることも大事です。原価や販売、管理のしやすさで売るものを検討してみましょう。
また、基本的に1人〜少人数での営業となるため、手間がかかる上に利用客を待たせるようなオペレーションのメニューは適しません。トッピングやソースで簡単に商材のバリエーションを増やせたり、時間帯や出店場所によって弁当にも惣菜にもなりえるおかず系は、需要も広く見込めるでしょう。
加えて、キッチンカ―での販売には通常の飲食店よりも単価を上げやすい“付加価値”があります。それは、消費者の家や職場の近く、イベント会場まで出向いて、できたての料理やドリンクを提供する、という価値です。この価値に加えて、提供スピードや料理のおいしさ、バリエーション、ビジュアルといった要素を加えながら、しっかりと利益を生む価格設定のメニューにすることが重要です。
人気の高いメニュー
たこ焼き、クレープ、ワッフル、ベビーカステラといったいわゆる「粉モノ」は、材料の保存がしやすくキッチンカーでは定番のメニュー。必要な分量だけ調理して余った材料は次回の出店でも使えたり、小麦粉や卵など材料によってはワッフルにもベビーカステラにも使用できるなど、材料コストを抑える面で強みはありますが、その分競合店が多く、差別化が難しい可能性も。
そのほか、餃子、唐揚げ、焼き鳥などランチから夕飯の惣菜まで時間帯を問わずに利用できるメニューは人気があります。
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③出店場所の選定・仕込み場所の確保
その場所で売れるかどうかリサーチを
人の集まる場所で営業できるのが強みのキッチンカーですが、客層と提供メニューの内容がマッチしていなければ売上は確保できません。お弁当や丼ものであればランチ需要の高いオフィス街、たこ焼きやワッフルなどのおやつや軽食は家族連れが多い日中の公園、夕飯や晩酌にもなる餃子や焼き鳥なら夕方のスーパーというように、利用客のニーズをしっかり想定して、販売場所を選択してみましょう。
出店地の例
お祭りや音楽フェスなどのイベント会場は、場所代はかかりますが一定の集客は見込みやすいです。そのほか、学園祭、家族連れが集まる住宅街にある公園、オフィスビルの敷地内、スーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンターの駐車場など、人が集まる場所は出店の狙い目といえます。
また、マルシェはファーマーズマーケットなどのイベントも多数企画されているので、インターネットで検索するなどしてコンセプトに合ったイベントを探してみましょう。
そのほか、ドン・キホーテの「自由市場」など、企業が募集している貸しスペースを利用するという方法もあります。
仕込み場所の確保も重要
キッチンカーで料理などを販売する場合、基本的にキッチンカ―内では最後の仕上げの調理のみを行うことが多いです。給排水の容量タンクが200L未満のキッチンカーは、営業車両内で材料を切る・洗うなどの仕込みにあたる行為は禁止されていることが理由の一つ。また、給排水の容量タンクが200Lの場合でも、汚染度の高い行為は原則として一次加工所で行う必要があります。トラブルが発生してからでは遅いので、まずは保健所に確認するのが賢明です。
そこで重要になるのが、事前の仕込み。ただ、この仕込みを行う場所については、都道府県など自治体ごとに条件が異なりますので、拠点となるエリアの保健所に確認が必要です。また、仕込みを行わなくてもいいように、冷凍食材やカット済み野菜、缶詰など、仕込みの必要がない食材を使用できるメニューを選択するのも一案です。
④キッチンカ―の入手
キッチンカ―の入手については、大きく3つの方法があります。
1)新車を購入する
2)中古車を購入する
3)レンタルする
1)の場合は、コストがかかりますが、業者に製作を依頼することで自分の理想の機能を持たせたり、デザイン性を追求することもできます。
2)は自分がやろうとしているメニューやスタイルにあった車が見つかるかどうかの懸念がありますが、コストは新車より抑えることができます。
3)もコストを抑えることができますし、うまくいかなければ返却できるのがメリットです。まずは3)で試しながら、自分にとって理想のキッチンカ―とはどういうものかを模索するのもいいかもしれません。
また、主なキッチンカ―の車種としては、
・軽トラックベースのキッチンカー
・1tトラックベースのキッチンカー
・1.5tトラックベースのキッチンカー
の3種類があげられます。出店を予定している場所のスペースや搭載したい機能などによって大きさが変わってきますので、出店計画に合った車種がどれかを考えるとよいでしょう。
⑤営業許可など各種手続き
資格と免許、保険
まず、キッチンカーを運営する食品移動販売業者となるには、運転免許証に加え、食品営業許可を取得するための食品衛生責任者の資格が必要となります。食品衛生責任者は計6時間の養成講座を受講することで取得可能で、講習は各都道府県で開催されています。
そのほか自動車保険や、食中毒が発生した時の賠償保険としてPL保険にも加入したいところ。PL保険は出店場所によっては加入が必須の場合もあるので、都度確認が必要です。
必ず、販売地域管轄の保健所で「営業許可証」を取得すること
2021年6月の改正食品衛生法の施行により、キッチンカー営業に必要な許可は「飲食店営業」に一本化、営業許可基準が大きく変わりました。
この営業許可は一度取得すればいいものではなく、出店地域を管轄している保健所で申請する必要があります。また、一つの営業許可で県内全域販売可能な地域と、県内の一部でしか販売できない地域と、それぞれ範囲が異なるため要注意です。出店先を決めたら、必ず管轄の保健所を確認して準備を進めましょう。
キッチンカーの営業許可の基準
営業許可を得るためには、車内の調理スペースが完全に囲われていること、壁・天井・床が掃除しやすい材質であること、食材・器具用と手洗い用に分けた2層のシンクの設置、40L・80L・200Lのいずれかの給水タンクの搭載、冷蔵庫・冷凍庫の設置、洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造の手洗い設備の設置、ふた付き容器収納の設置、ふた付きのゴミ箱の設置、アルコール消毒の設置など、細かく設定された基準をクリアしなければならないことを踏まえておく必要があります。
「タンクの容量」は、要チェック項目
キッチンカーの営業許可基準が大きく変わった項目のうち、給排水タンクの容量(40L/80L/200L)によって提供できる品目が統一されたので注意が必要です。
40Lは唐揚げのみ、かき氷のみなど、温めるだけや盛り付けるだけなどの単純調理ができる1品目のみ、80Lは2工程内で調理できる複数品目だ。200Lあれば仕込みも含め制限なし。どんなメニューでも提供可能となります。
⑥必要な備品の購入
炊飯ジャーやフライヤーなどの厨房機器
カレーや弁当など温かいご飯を提供する場合は炊飯ジャー、唐揚げやフライドポテトなど揚げたてを提供する場合はフライヤー、温めが必要なメニューには電子レンジなど、商材に合わせた厨房機器を設置しましょう。
なお、調理の熱源に欠かせないプロパンガスは、ガス会社と契約の上、購入を。契約後、指定の場所にガスボンベを持ち込み、ガスを充填してもらいましょう。
このほか、テイクアウト用の容器や箸、フォーク、スプーンといったカトラリーも提供するメニューに合ったものを用意しましょう。
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キッチンカーの開業にオススメの設備・厨房機器を一挙ご紹介!
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道行く人の目を引く装飾品に注力する
商材の開発に注力するのはもちろんですが、力を入れるべきは「利用客の目を引く装飾」。街中やキッチンカーが並ぶイベント会場では、いかに自店の商品をわかりやすく紹介し、興味を持ってもらうかが売り上げを左右します。購買意欲が湧くようなシズル感のある写真を上手に使い、他店との差別化を図りましょう。
タペストリー、立て看板、のぼりなどの装飾品に力を入れれば、車両の外装費にお金をかけずとも商品をアピールすることができます。収納・携帯性なども考慮して、業態に合うものを選択しましょう。
出店後のポイント! 広く売るコツ
SNSでPRしよう
準備万端、いよいよ出店!営業の準備が整ったらInstagram、TwitterなどのSNSアカウントを作成し、商材のアピールや、出店予定や営業時間の告知に活用しましょう。
投稿時、出店しているフェスやイベントのハッシュタグ、販売場所の位置情報をタグ付けしよう。そうすることで拡散につながりがりやすくなります。
UberEats(ウーバーイーツ)という手法も
UberEatsを利用すれば出店先の近隣住民などにまで利用客を拡大できます。週4日+1日3時間以上の出店で5種類以上のメニューの提供があるなど、一定の基準を満たせば登録できるので、条件を確認してみましょう。
通常の飲食店にはないメリットも多いキッチンカー。成功のためには出店場所のリサーチと商材の見極め、出店地域の営業許可申請など、綿密な準備が欠かせません。上記のポイントや注意点が、開業準備のお役に立てれば幸いです。
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