更新日:2024.3.14
調理技術の自負心が、独立失敗の最大要因
独立開業で失敗する人が、後を絶ちません。特に、料理の修業をしっかり積んだ人が、独立に失敗するケースが多いように思われます。なぜそうなるかというと、自分の腕(技術)を過信してしまうからです。
外食商売で大事なことは、立地と価格です。この2つで大きな失敗をすると、ほかのどのような成功要因も吹き飛んでしまいます。長年の修業でつちかった調理技術なんて、立地と価格の重大さの前では、何ほどのこともないのです。しかし、自らの「腕」を過信する人は、こう考えます。「俺の作る料理は一級品だ。たとえどんな悪い立地でもお客を呼んでみせる」。悪立地、何するものぞ、と胸を張るのです。
価格の例として、自分が修業していた店では、ディナーの客単価が2万5,000円だったとします。お客は大企業の接待が中心だったとしたら、同じ客単価を想定して商売するのは、あまりにも無謀ですよね。そんなお客を呼べる場所は、大都市でもごく一部に限られます。しかも、修業した店は、長い年月をかけてコツコツと顧客を育ててきた結果、今日があるのです。「腕では親方にだって負けない」といった自負だけで、とんでもない場所で高単価商売をやったら、失敗は目に見えています。腕に自信のある料理人ほど独立に失敗するというのは、そういうことです。
参考店を設定すること。「第三者の目」の観察力を導入すること
店の立地ですが、家賃のほんのちょっとの違いで、「これくらいの距離の差ならなんとかなるだろう」と安い物件を借りると、致命傷になります。
駅から同じ距離であっても、通りのこちら側とあちら側で、天と地ほど集客力に差が出てしまいます。徒歩でたった1分の違いでも明暗が分かれます。今は、ぐるなびなどでこの立地のハンデは軽減されましたが、それでもほんのちょっとの立地違いが、致命的な差を生むことがあると肝に銘じでおきましょう。基本的に、家賃の安すぎる物件には手を出すな、です。安物に好立地なしです。
価格も同じことがいえます。自分はどういう商売を目指すのか、どういう客層(正確には来店動機)をつかまえようとしているのか、そのフィギュア(像、想像図)を確定することが、独立にあたってまずやらなければならないことです。このフィギュアの確定にいちばんよい方法は、「ああいう店をやりたい」という、実際の営業店を見つけることです。いわゆるベンチマークですね。その「ああいう」の内容は、立地、客層、店の規模、店構え、食材と料理の内容、価格、サービスの中身、といった具合にすべてが含まれます。
だからといって1店舗に絞る必要はありません。メニュー構成はあの店、価格はあの店、サービスはあの店、と多岐にわたっていいのです。でも、コアの店はひとつに絞らなければなりません。そして、コアの店が、なぜ人気があるのか、なぜその人気が長続きしているのか、なぜあの顧客を誘引しているのか、それらを徹底的に検証していかなければなりません。このコアの店の検証をベースに、サブの参考店の細かい部分を採用していくのです。この過程を経て、ようやくフィギュアが具体的になっていくのです。
焦りは禁物です。腰を据えて検証しましょう。そして、ここで大事なのは「第三者」の目です。飲食業の知識があり、経験もあり、また観察力を持つ友人(や先輩)を自分の目指す参考店に連れて行き、見てもらうのです。そして、忌憚(きたん)のない意見を言ってもらうのです。自分では思ってもみなかった考え方、知識・情報が得られます。見落としていたものは補強してくれますし、また、自分が思い描いていたフィギュアに、致命的な欠陥があることも判明する場合があります。「あばたもえくぼ」で、ほれ込んでいたものの、実は参考店自体に大きな問題アリということが、発見されることもあります。この場合も、立地との兼ね合いを、片時も忘れてはいけません。
フィギュアを確定するときに、自分の頭の中だけでこねくり回さないことです。「第三者の目」も入れて、広い視野で観察しなければなりません。
自己過信は、見えるものまで見えなくさせてしまいます。この過信こそが、独立成功の最大の敵なのです。健闘を祈ります!
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