2018/02/28 繁盛の黄金律

人時売上高5,000円を目標に据えよう

まず、自店の人時売上高をチェックしてみよう -生業の個店がなかなか長生きできない理由は、儲けが小さいからです。いっとき儲けていても、長生きへの方策を打たないために、やがて姿を消します 

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Vol.78

まず、自店の人時売上高をチェックしてみよう

生業の個店がなかなか長生きできない理由は、儲けが小さいからです。また、いっとき儲けていても、長生きするための方策を打たないために、短命に終わり、やがて姿を消してしまいます。

長生きするための方策は3つです。それは、

  • 主力商品を磨き込み、より高質で売れる商品にし続けること。
  • 調理工程の改善をして、より効率的に質の高い商品を提供できるようにすること。
  •  長寿を支える人材を育て続けること。

この3つです。

「より儲けられるようにする」ということは、生産性を高めるということです。具体的に言うと、高い人時売上高、人時生産性を持つということです。

この点についてはこの連載で以前にも述べましたが、もう一度整理をしてみましょう。売上高を総労働時間で割ったものが、人時売上高です。1人の人間が、1時間にどれだけ売ったのか、ということですね。この場合、時給換算5,000円の店長の労働時間も、時給800円のパートやアルバイトも、同等に合算した総労働時間で売上高を割ります。これが4,000円台ならば合格ライン。5,000円台ならば優良。6,000円以上ならば超優良店ということになります。

人時生産性とは、「1人の人間が1時間にどれくらいの荒利益高を稼いだか」です。つまり、人時売上高に荒利益率をかけたものが、人時生産性になります。例えば、人時売上高が同じ5,000円であっても、荒利益率が70%の店は、人時生産性は3,500円。荒利益率が50%の店は、2,500円になります。人時売上高が高くても、荒利益率が低ければ、手元に残る儲けは少ないことになりますが、「稼ぐ力」を見るためには、やはり人時売上高がひとつの大事な指標になってきます。ですから、人時売上高をどう高めていくかを目標に設定する方針は、間違っていません。

1日中売れる強いコア商品を持つには、「メニューが少ない」ことが前提

極端な話をします。1日1組の客しか取らない超高級ステーキ店があったとします。客単価は5万円。ある日、4人の予約客が来て、3時間滞在。それで店じまいしたとします。支払額は20万円。従業者は、店主と奥さんだけ。調理の前処理に1時間かかったとしましょう。2人合わせた総労働時間は8時間。売上げ20万円を8時間で割ると、その日の人時売上高は何と2万5,000円ということになります。

原価率が40%だったとすると荒利益率は60%ですから、人時生産性は1万5,000円ということになります。こんな日が毎日続けば、超高利益店ということになりますが、そううまくいくものではありません。このような店はノーゲストの日もあるでしょうし、ならせばそういう日のほうが多いことも考えられます。これは極端な例ですが、少人数で高単価商売をやって、それがヒットすれば、人時売上高も人時生産性も高い数字を確保できるということです。しかし、外食店経営がそのように生易しいものではないことは、読者の皆さんは百も承知でありましょう。

どのチェーンでも、また、どの個店であっても、人時売上高を上げるための大原則があります。それは、全営業時間帯に渡って売れる強いコア(核)商品を持っていることです。そして、そのコア商品を中心にメニューが限定されていることです。ひとことで言えば、"専門性のある店"でなければ高い人時売上高を確保することはできません。

コア商品を中心にメニューが限定されていると、同じ商品を繰り返し繰り返し作るわけですから、コンパクトな厨房で、少ない人員で、調理ができるようになります。調理そのものも限定化されますから、調理スキルが上がり、短時間で提供できるようになります。この過程で、商品のクオリティも当然高まっていきます。「売れる時間に、チャンスロスなく、限られた商品がメチャクチャに売れる」ことが、高い人時売上高を確保するための絶対的な条件です。つまり、メニュー数が多いことは、それだけで相当不利ということになります。つまり、二毛作・三毛作のような営業形態を採る店は、人時売上高は高くはならないのが一般的です。地域の時間帯別のニーズに合わせて営業形態を変える……ちょっと聞くともっともな商売のように思われますが、高い人時売上高は絶対に取れません。

もう一度整理してみましょう。高い人時売上高を実現するポイントは、

  •  看板商品=コア商品を持つこと。
  •  メニューが限定されていること。
  • 調理工程が限定されていること。
  • 売れる時間に高回転できること。

この4つです。

さて、皆さんのお店はどうでしょうか。様々な客層、来店動機に対応するために、この原則から外れて、メニュー数が増えていってはいませんか。まずは、「うちの看板商品はこれだ!」というメニューを持たなければなりません。そこが出発点です。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。