2019/06/18 特集

Keep Clean!!! 隣の店の、「クレンリネス」。(2ページ目)

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徹底的な油対策と、空き時間の“ちょい拭き”で10年前と変わらない空間を維持!

Case2 【沖縄・沖縄市】ゆくり家 お花

修業時代に身につけた高い掃除意識を店全体で共有

Check! 厨房
油汚れはすぐ落とす! 床掃除は道具や洗剤を使い分け

棚の上方にある調理器具などには、油対策でラップを巻き、什器の一部もアルミホイルでカバー

 那覇市に次ぐ沖縄第2の都市・沖縄市の住宅地で、10年以上愛されてきた居酒屋「ゆくり家 お花」。定評のある料理に加えて、昭和初期の花街を連想させる雰囲気も売りの1つだ。清掃の行き届いた店内は10年前から色あせず、むしろ使い込んだことで生まれる重厚さは、経営する株式会社アシスト・沖縄統括地区長の深川一彦氏と店長の黒坂賢氏が、修業時代に培った掃除への高い意識をベースに店づくりを行ってきた賜物と言える。「東京で修業をしていたとき、上司が求める掃除が、自分が考える掃除より何倍もレベルが高かったのです。最初の1年は叱られっぱなしでした」と黒坂氏は振り返る。だが、その甲斐あっていつの間にか、上司のレベルが自身のものとなった。また、福岡で修業時代を過ごした深川氏も同様の経験をしたことで店の「掃除の基準」が形成され、後輩の翁長氏らに引き継がれてきた。今では、厨房を黒坂氏、ホールを翁長氏が担当して、“キレイ”をキープしている。

デシャップ台は、レンジから離れていても油でべたつきやすい。常に拭いてピカピカに
すっきりと片づけられ、よく磨かれた洗い場。シンクだけでなく、鍋や調理器具も輝きをキープ
デシャップ台下のドリンク冷蔵庫。週に1度は中身を出して内部を洗浄し、整理整頓もする
冷蔵庫は、毎日必ず表面に放水し、汚れと手垢を拭き取る。
菌が繁殖しやすい取手には特に気を配る

 「以前は月に1回、時間をとって大掃除をしていましたが、人手不足で難しくなったこともあり、現在は月曜日に1時間ほど早く出勤し、『掃除強化日』としています」と、黒坂氏は具体例のひとつを語る。平日と週末の終業は午前3~5時だが、日曜日は24時。そのため月曜日は早めに出勤できるからだ。また、週末は平日より汚れやすいので、月曜日の掃除に力を入れることは理にかなっている。と同時に、「毎日の営業中に生まれる空き時間を掃除にあてることにしました」と黒坂氏。例えば、手すり、棚、障子の桟さんなどは、その日最初の来店があるまで、除菌スプレーと雑巾でていねいに拭いていく。この“ちょい拭き”が習慣化したことで、大掃除の必要がなくなったという。ただし「床やトイレは毎日開店前にしっかり掃除します」と翁長氏。特に座敷の半個室は来店客が床に腰を下ろすため、掃除機を念入りにかける。トイレは入口と同様、店の印象を左右するので、細めなチェックと合わせ、特に力を入れている。

Check! 客席
半個室の座敷席の床は掃除機で徹底的に。格子は隅々まで手拭き

半個室の座敷席は、床の上に座布団を敷くスタイル。念入りに掃除機を
黒塗りの障子の桟はホコリが目立ちやすい。雰囲気を損なわないよう、毎日欠かさず雑巾で拭く
通路の掃除は、一片のチリも見逃さないことが至上命令。強めに何度も掃除機をかける
  • 掘りごたつ席の手すりは、雑巾と除菌液で拭く。わずかな空き時間も手を動かす
  • 酒瓶を飾った棚は、毎日瓶を移動させて、雑巾と除菌液で拭く

 また、厨房でも「手があいたら拭く」を徹底。合わせて、油汚れが集中するレンジフードと床は毎日、洗剤で掃除。加えて、床は月に2〜3回のペースで強力な油落とし洗剤を使用。デッキブラシで擦り、洗剤を泡立てて20〜30分放置して汚れを浮かせ、さらに磨くという2度洗いを実施している。「おかげで、厨房の床に残りがちな油の黒シミが、一切ありません」と深川氏は胸を張る。「オープンキッチンでなくてもキレイな厨房で料理したいですね。調理器具もきれいにしておくことで長持ちします」と黒坂氏。実際、厨房の機器や器具はオープン時から使用しているものばかりだ。

Check! エントランス
「店の顔」であるエントランスは特に念入りに。灯篭の砂利も定期的に洗浄

  • 目を引く和のディスプレイも、毎日、隅々まで拭き上げて、店への好印象につなげる
  • 灯篭の砂利は、汚れが目立つ前に定期的に漂白剤に浸けて洗浄。大きなホコリなどは日々チェックして取り除く

 今では、アルバイトスタッフも〝ちょい拭き〞はもちろん、各所の掃除を自発的に行うという。言葉だけでなく、上の立場の人間が率先的に行動で示すことが大切」と深川氏。先輩から後輩へと、行動を通じて受け継がれた掃除のスタイルが、〝キレイ〞の源泉になっている。

ゆくり家 お花【沖縄・沖縄市】
沖縄県沖縄市高原6-13-1
https://r.gnavi.co.jp/f264401/
2018年10月に、オープン10周年を迎えた居酒屋。手間暇かけた創作料理が人気で、店内は昭和レトロのあでやかな雰囲気。畳の完全個室、掘りごたつ式のテーブル席、座敷席などがあり、カップルやファミリー、企業の宴会や接待など幅広く集客する。
株式会社アシスト 飲食事業部 沖縄統括地区長 深川一彦氏(中) 店長 黒坂 賢氏(左) 若頭 翁長竜来氏(右)
和食を修業し、店を統括する深川氏。19歳で上京して洋食を修業した黒坂氏とオープン以来タッグを組み、店の土台を築いてきた。入社2年目の翁長氏は、先達の2人から心技を受け継ぐ。

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