忘年会集客アップ！販促チラシや早割特典が成功のカギ

更新日：2024.8.28

飲食店にとって1年で最も集客や売上アップが期待できるのが忘年会シーズン。とはいえ、しっかりコースなどの情報を発信して、効率的に予約を獲得しなければ売上を最大化することはできない。

そこで、秋から準備を始めて11～12月の予約獲得に成功している3店舗を取材。これらを参考に、年末商戦の成功につなげていただきたい。

目次
・SNSとぐるなびの連携を強化してネット予約が大幅増
　ロテヤキ。酒場。 メリケン 豊橋駅前店【愛知・豊橋】

・早期予約割引コースと企業への営業活動で年末の売上アップ！
　チカノミ【東京・立川】　

・下見コースと早割特典の併用で、早い時期の予約獲得に大きな成果
　Toscana‐トスカーナ‐【東京・立川】

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SNSとぐるなびの連携を強化してネット予約が大幅増

ロテヤキ。酒場。 メリケン 豊橋駅前店【愛知・豊橋】

10月はイベントで集客し、忘年会コースをアピール

　愛知・ＪＲ豊橋駅から徒歩４分の通りに、２０１３年10月オープンした「ロテヤキ。酒場。メリケン豊橋駅前店」。３階建てのビル１棟で営業しており、「キッチンとカウンター席のある１階は常連のお客様を、テーブル席や半個室がある２階と最大18名収容できる３階には、新規や宴会利用のお客様を通すようにしています」と店長の長坂直弥氏は語る。料理は、専用オーブンで鶏肉を焼く看板の「ロテチキン」（１８２５円）や「生ハム全部盛り」（１０６９円）のほか、「マルゲリータ」（５２９円）などのピザが３大名物。忘年会シーズンでは、これらの名物を含む飲み放題付き4000円のコースが人気を集め、宴会の予約獲得に成功。20～60代と幅広く集客しており、平日はビジネス層、土・日曜日はファミリーの来店が多いという。

Instagramのフォロワーを増やし、ぐるなびからのネット予約につなげる

　３年前、長坂氏が店長になったときから力を入れているのがInstagramなどでの情報発信。「『いいね！』が多いのは、スタッフが料理を持っている写真です。その投稿にコースや空席情報を付けることで集客につながっていると感じます」と長坂氏。また、店のフォロワーになってくれた人には、「メリケンバッジ」をプレゼントしており、次回これを持って来店すると様々なサービスが受けられる。この取り組みで、Instagramのフォロワーが約1800名まで増加。さらに、昨秋にInstagramからぐるなびネット予約ができるよう設定した。すると、「ネット予約が右肩上がりに増えていきました」と長坂氏。予約全体に占めるネット予約の割合は、以前の4割から７割にまで増え、ぐるなびとの連携に手応えを感じている。

10月に行う周年記念イベントで集客し、忘年会コースをアピール

　これに加えて、忘年会シーズンに向けた取り組みとして行っているのが、毎年10月から数日間開催する周年イベントだ。昨年は10月１日から４日間実施し、スパークリングワインや生ビールを各１０８円にしたほか、通常のメニューにはない手羽先食べ放題（１０８０円）を提供したことで、集客力がアップ。「イベントをきっかけに来店する方の中には忘年会で幹事をする人もいるはず。当店の料理や空間、接客を気に入っていただければ、時期的に忘年会の予約につながりやすいと考え、積極的にアピールしました」と、長坂氏。イベントの情報発信は３週間前から始め、ＳＮＳのほか、常連客数十名へ定期的に送っているメールやハガキでも告知。さらに10月に来店した人には忘年会コースのチラシを配布することで、予約獲得のきっかけを作っている。チラシでは、10～11月に12月の宴会予約をすると、幹事１名分が無料になるなどの早期予約特典も案内しており、この特典はぐるなびの店舗ページにも掲載。こうした取り組みが奏功し、昨年は11月から早い段階で予約が入り、12月の週末は予約で満席。大箱ながら２.５～３回転し、売上を増加させ自信を深めている。

予約特典も記載した忘年会コースのチラシを配布

　今年も10月１日から周年記念イベントを実施する予定で、忘年会コースのチラシも配るという。今年は３大名物の付く４５００円のコースを軸にアピールし、日～木曜日限定で５００円引きにするサービスも付けて、平日の予約を埋めて売上を上げていきたいと考えている。

早期予約割引コースと企業への営業活動で年末の売上アップ！

チカノミ【東京・立川】

SNSやぐるなびで情報発信＆予約促進

　ＪＲ立川駅から徒歩５分の大通り沿いのビル地下１階に立地。２０１７年10月オープンした居酒屋「チカノミ」は、オフィスが多いエリアということもあり、客層は昼夜ともに30～40代のビジネス層が中心。料理は、水産会社で研鑽を積んだ店長の野澤高広氏が市場で目利きをした鮮魚の刺身や、銘柄鶏の炭火串焼などを売りにしている。

忘年会コースに早期予約割引を付けて予約を促進！

　オープン初年は、10月に開業して認知度が上がる前に忘年会シーズンを迎えたこともあり、予約獲得に苦戦した。そこで、「翌年は早めに忘年会の予約を取る準備を始めました」と専務の西川洋右氏。まず、ぐるなびの担当営業の提案を受け、10～11月末までに12月の予約をすると割引になる「忘年会早割コース」を店舗ページで打ち出した。用意した忘年会早割コースは、「寒ぶりのしゃぶしゃぶコース」（通常５３００円→早割５０００円）、「味わい鍋コース」（通常４２００円→早割３９００円）、「満足牛コース」（通常４９００円→早割４６００円）の３種類。さらに9～10月にかけて、それまで名刺交換やネット予約で得た顧客情報を基に、常連客が勤めている近隣企業を中心に宴会利用を促す営業活動を行った。「10月はほぼ毎日、アイドルタイムを使って回りました。秋のコースと忘年会コースのチラシを配りつつ、早期予約割引についても案内しました」と西川氏。この地道な活動が実を結び、秋のコースだけでなく、営業に行ったその場で忘年会の予約をしてくれるケースもあったという。忘年会コースのチラシは、10月からランチの常連客にも配布するほか、近隣のホテルにも置いてもらい、宿泊客にもアピール。こうした対策を実施した結果、10月中に12月の週末の予約がほぼ埋まり、２０１８年の売上は11月が前年比１７０％、12月が１４０％に。「営業活動によって10月の宴会予約も予想以上に獲得できました」と西川氏は笑顔を見せる。

忘年会コースのチラシをランチに配布＆外回り営業に活用

　忘年会シーズン以外の時期も、３５００円以上のコースを予約すると、乾杯用スパークリングワインの無料サービス、または飲み放題30分延長のどちらかを選べるクーポンをぐるなびに掲載しており、クーポン利用者のほとんどが後者を選択。満足度を高めることで、店の好感度を高め、忘年会シーズンの利用につなげている。

Instagramでの情報発信にも注力！

　「忘年会の準備は、早く始めた方がいいと実感しました。今年も10月から営業回りと平行して早期予約割引コースをアピールしていく予定です。昨年よりも早い時期に具体的なコース情報を発信できるよう、コース内容を決め、様々なツールを使って発信力も高めていきたいですね」と西川氏。現在の課題はＳＮＳでの情報発信。ぐるなびなどからのネット予約が増えていると感じたため、Instagramからぐるなびのネット予約への連携も始めた。しかし、フォロワーの数や投稿に対する「いいね！」の数は思うように伸びておらず、「もっと情報発信の頻度や質を上げないといけない」と西川氏。昨年同様の地道な営業活動や早期予約特典の打ち出しに加え、ＳＮＳでの情報発信にも力を入れ、年末商戦に挑んでいく。

下見コースと早割特典の併用で、忘年会シーズンの早い時期の予約獲得に大きな成果

予約の取り方を工夫し、平日の利用を促す

Toscana‐トスカーナ‐【東京・立川】

　１９６０年創業の「Toscana‐トスカーナ‐」は、長年にわたって地元・立川の人に愛されてきた洋食店。店舗は１.３階の３フロアで、１階はカジュアルな雰囲気のテーブル席。２階が個室（最大40名と16名の２部屋）、３階が最大65名での貸切利用も可能なフロアになっている。客層は10～70代と幅広く、その多くが近隣に勤めるビジネス層と地元住民だ。

忘年会の下見コース＆早期予約特典で予約獲得！

　忘年会シーズンの早い段階での予約獲得対策として数年前に始めたのが、9～10月限定で打ち出す「忘年会下見コース」だ。これは、名物の「じっくり煮込んだこだわりビーフシチュー」やピザなどが入る忘年会コース（５０００円）に近い内容を、期間限定３９８０円で提供するもの。「お客様にとってはお得なだけでなく、料理や空間などを確認いただく機会になりますし、店にとっては早期の予約を得るきっかけになると考えました」と店長の結城星余氏。ただ、当初は割引のみだったこともあり、9～10月の集客にはつながったものの、そこから忘年会の予約には直結しなかった。そこで翌年から、下見コースで来店した人に対して、早期の予約特典として、「忘年会コースの料金割引き」「飲み放題１時間延長」「メインの肉をランクアップ」などを来店時に口頭で提案することにした（特典内容は、予約人数などに応じて店が決定）。これにより、その場で予約が入ったり、下見コースの利用者から後日あらためて予約が入ることも多くなった。「特に大人数の忘年会の幹事様は、早い時期から店を探していると感じます。下見コースと早割特典によって、３階の貸切予約も早めに獲得できるようになりました」と、結城氏は手応えを語る。また、幹事と一度顔を合わせていることもあり、無断や直前のキャンセルもほとんどないという。

ぐるなびの「席のみ予約」では生ハムサービスをアピール

　これに加えて、売上の最大化を狙った予約獲得策も行う。12月の週末の予約は、６名以上で５０００円以上のコース利用に限定しており、「少人数や５０００円未満のコースを希望されるお客様には、平日に変更していただければスパークリングワインのサービスや、飲み放題１時間延長などの特典が付くと提案して、できるだけ平日を埋めるようにしています」と結城氏。こうした取り組みを続けた結果、昨年12月の売上は、前年比１１３％の１３５０万円に。11月も前年比１１０％で、ともに過去最高となった。「今年も忘年会の下見コースを打ち出し、早期予約獲得につなげたい」（結城氏）と、忘年会シーズンに向けて戦略を練っている。

店舗外やトイレなどで宴会利用を促す

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