2020/08/11 特集

仕事を見直し、効率を高めればロスは減らせる!

コロナの影響が続く今、見直したいのが店舗の「ロス」。さまざまなロスを最小限にできれば、効率良く店舗運営ができ、経営の改善につながる。飲食コンサルタントに、ロスの考え方と削減方法などについて聞いた。

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中西フードビジネス研究所 代表 中西敏弘氏
大学時代のラーメン店でのアルバイトをきっかけに、飲食業界に興味を持つ。卒業後、半導体専門販社に就職するが、飲食業への想いが強く、外食コンサルタント企業へ転職。居酒屋の現場を経験後、コンサルタントとして接客研修や店長教育などを行い、大手焼肉チェーンに転職し、チェーンの経営を学ぶ。その後独立し、2003年中西フードビジネス研究所を設立。「10年後も存在できる飲食企業」を掲げ、多数の飲食店をサポートしている。

今こそロスの削減を意識し、効率の良い運営を目指す

 新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの飲食店が客数と売上の減少で苦しんでいる。収束までは、長期化の様相を呈しており、飲食コンサルタントの中西敏弘氏は、「まずは、赤字の“出血”を止めることが大前提」と指摘。固定費を圧縮するとともに、「様々なロスを見直してほしい」と話す。「飲食店で発生しがちなロスには、食材ロス、人件費ロス、時間ロスなどがあります。売上が上がりにくい今、これらのロスを削減し、出血を最小限にして効率良く店舗を運営することは、大事な視点」と中西氏。

 しかし、「ロスを必要以上に削減してしまうと、経営が守りの姿勢になり、伸びる売上も伸びなくなってしまう危険がある」と中西氏は言う。例えば、食材ロス。コロナの影響で集客が思うようにできないため、売上予測が立てにくく、どうしても食材ロスが起こりがち。とはいえ、仕入れの量を絞りすぎると品切れとなり、チャンスロスとなってしまい、売上が上がらない。中西氏は「事態が収束していない中でも飲食店に足を運んでくれる人は、外食が好きで、飲食店への期待値が高い。また、飲食店を応援したいという思いで来店する人もいるでしょう。そうした人たちに対して品切れを起こすことは、次につながる芽を摘んでしまうことになりかねません」と指摘する。さらに「むしろ、現時点ではある程度の食材ロスを恐れないことも必要」(中西氏)で、コロナ禍であっても売上予測をしっかり行って、ロスの最小化を目指しつつ、「多少のロスが出ても、品切れだけは起こさないという姿勢を堅持することが、今は大切です」と呼びかける。

 そもそも、コロナ以前の平時であっても、FL比率を下げることに気をとられすぎると、サービスの低下から顧客満足度を落とし、売上減につながるケースがある。非常時である現在は、平時よりもコストを下げようとするのは当然だが、「どんな場合でも、来店客を喜ばせるという飲食店の使命を忘れずに、ロスの圧縮に取り組んでほしい」と中西氏は話す。

 では、ある程度の食材ロスが発生することを承知でフードコストをかけた分は、どう調整すればよいだろうか。中西氏は「FLをトータルで考え、食材ロスの分を人件費の圧縮でカバーすることが、現在に限っては有効」と提案。例えば、5人のホールスタッフを4人にするなどだが、「提供スピードが遅れても『飲食店は今、大変な状況』という認識を持つ人も多いので、事前に伝えておけば許してもらえるのでは」と中西氏。「ただし、大幅なサービス悪化につながるような人件費の圧縮はやはり避けるべき」と釘を指す。

 そこで、この機会にぜひ取り組んでほしいのが「時間ロス」削減へのチャレンジだ。「最小限の人員で、いかに早く的確に作業ができるかという視点でこれまでの方法を見直し、作業効率を最大化することが大事です」と中西氏。例えば、オープン準備で本来であれば10分でできる作業に20分かかっているような、なんとなく仕事をして非効率になっているものや、作業工程を見直して「生ビール2杯、サワー3杯を3分で作る」といった、具体的に効率を追求するものなど、さまざまな時間ロスを見直したい。「今まで最善と思い込んでいるやり方を、ほかの方法でできないかなどを考えてみてください」(中西氏)。「時間ロス」を削減できれば、「人件費ロス」を防ぐことにもつながり、コストの削減に大きく貢献できるだろう。

 では、次から「時間ロス」「人件費ロス」の削減方法と、品切れを起こさずに「食材ロス」に取り組むにはどのような施策が有効か見ていこう。

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