更新日:2022.7.20
目次
・“家飲み需要”をキャッチ! 高コスパのテイクアウトが人気
「魚貝 ののぶ」(東京・高円寺)
・超希少酒、飲み比べ、お通し、ペアリングなど、日本酒のおいしさを発信
「和酒海鮮 茶々丸」(栃木・宇都宮)
・メニューと価格を刷新! アピール内容を明確にし、空間の特別感もプラスに
「もぅあしびー」(沖縄・那覇)
売上向上につながる手段の1つである「客単価アップ」。それを実現するには、お店の売りやこだわりを自然な形でアピールし、客単価だけでなく顧客満足度も上げることが必要だ。家飲み需要に応えるテイクアウトで客単価アップに成功した「魚貝 ののぶ」や、希少酒や飲み比べ、ペアリングなどさまざまな日本酒の楽しみ方を提案することで注文数アップにつなげている「和酒海鮮 茶々丸」、メニュー構成や価格・提供方法などを変えた結果、客単価が上昇した「もぅあしびー」の取り組みを紹介する。
“家飲み需要”をキャッチ! 高コスパのテイクアウトが人気
東京都杉並区高円寺南4-8-5 1F
https://r.gnavi.co.jp/rm6w3vu10000/
毎日SNSで情報発信!ランチの弁当も大好評
2016年、東京・JR高円寺駅から徒歩3分の場所にオープンした海鮮が売りの居酒屋「魚貝ののぶ」。「刺身は決して高級品と思わず、気軽に食べてほしいもの」と話すのは、代表の土田宣隆氏。毎朝自ら豊洲市場へ出向いて手頃で良質な魚介類を探し求め、地道に仲卸と信頼関係を築いてきた。リーズナブルに刺身を堪能できる店として地元住民を中心に人気となっている。
【客単価UP!】選べる2種の“家飲み”用「宴会セット」
これまで夜の営業は主に30~40代のカップルや夫婦でにぎわっていたが、新型コロナの影響で来店客が激減。東京都で夜の外出自粛要請が出た4月上旬頃から客足が急激に落ちたことに危機感を覚え、イートインでランチ営業を新たにスタート。さらに惣菜のテイクアウトを行い、売上の確保を試みた。しかし「ランチ客は伸びず、惣菜も作り置きが必要で、売れ残りがロスになる悪循環もあって、かなり苦戦しました」と土田氏。そこで考案したのが、店の売りである刺身を生かした「おうちで宴会セット(3300円~)」だ。「当初は私の好物であるバッテラのテイクアウトを考えていたのですが、それだけでは売上が伸びないと思い、家飲み需要を狙って刺身などを組み合わせることで客単価アップを狙いました」(土田氏)。ほぼ毎日発信するSNSでのアピールが功を奏したこともあり、注文数が急増。1日あたり30セット以上を販売した日も少なくない。さらにバッテラに代えて、ファンが多い名物メニュー「うにかにいくら、のっけ寿司」を付けた4800円の高単価セットも追加販売。新型コロナの影響で、価格変動が激しくなったブランドウニを安く手に入れる工夫もしている。「宴会セットは小さいお子さんがいて夜の来店が難しかったお客様からも好評で、リピーターも多いです」と、土田氏は手応えを感じている。
苦戦していたランチタイム自体はイートインから弁当販売に変えたことで成功。毎日2時間で100食を売り切っており、7月の土用の丑の日は、うなぎ弁当だけで予約200食を含む300食を販売した。「弁当でも、リーズナブルで上質な食材を市場で見つけ、ひと手間加えることでコストパフォーマンスを高めています」(土田氏)。
【客単価UP!】人気ドリンクをテイクアウトでも提供
さらに、期限付酒類小売業免許を申請し、店で人気の高い各種サワーを自宅で再現できる「サワーの素」(600円)や、各種日本酒(600円)を1合瓶で販売。「おうちで宴会セット」や弁当と合わせて複数購入する人も多く、こちらも客単価アップにつながっている。
「できることは何でもやろうと必死でした」と当時の心境を話す土田氏の創意工夫で、現在はコロナ前と同じ売上確保に成功。今後もランチの弁当販売は継続し、「おうちで宴会セット」は夜の店内営業の状況に応じて、常連客を中心に対応する方向で考えている。
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店の売りが伝わる、こだわりのテイクアウト 家飲み・行楽・お祝い事など、ニーズをキャッチ!
超希少酒、飲み比べ、お通し、ペアリングなど、日本酒のおいしさを発信
栃木県宇都宮市池上町2-1 プラチナビルB1
https://r.gnavi.co.jp/ethp2gv20000
料理が選べるお通しや、希少酒で客単価アップ
栃木・東武宇都宮駅から程近い「和酒海鮮 茶々丸」は、日本酒通の間では知られた存在だ。「王道の人気銘柄から入手困難な希少酒まで味わえる」との評判を聞きつけ、遠方から足を運ぶ人も多いという。「料理に合わせた酒を出す店は多いですが、うちは逆。主役は日本酒なので、まず最初に銘柄を選んでもらうことが多いです。酒を売るには説明が大事なんです。なぜ、その銘柄をおすすめするのか、お客様のタイプやリクエストに対して臨機応変に、理論や裏付けとなる事実を伝えています」と語るのは、自身も大の日本酒好きという、店主の椎名孝弘氏。
【客単価UP!】お通しの主役も日本酒! プラス2種の料理からの選択制
椎名氏の言葉を具現化したのが、3種の日本酒それぞれに料理を合わせた「マリアージュセット」(3080円)だ。日本酒の嗜好を探るため、まず来店客に好きなフルーツを聞くという。「例えば、ナシやレモンであればすっきりした辛口の中から、マンゴーが好みなら原酒系のまったりした酒を、というように、フルーツの味とリンクする銘柄を提案して選んでもらいます。そして、それに合う料理を、その日の食材の中からアレンジして提供します。時間をかけて酒と料理を決めていくため、店が比較的空いている時だけ、このセットの注文を受けています」と椎名氏。このセットがリピーターづくりに一役買っている一方、客単価アップにつながっているもう1つのセットが「お通し」だ。価格は770円と通常のお通しより高単価だが、おすすめの日本酒に、牡蠣またはネギトロが付いているのでお得感があり、お通しのシステムや日本酒の説明をする中で来店客との距離が縮まり、次のオーダーにつながりやすいという効果もあった。ポテトサラダなど、定番お通しを出していた頃に比べ、客単価は確実に上がったという。
また、日本酒の全国新酒鑑評会などでしかお目にかかれない超希少酒の提供も、客単価アップにつながっている。「日本酒を絞る際、酒袋から自然にしぼり落ちた雫を、斗とびん瓶で採取したものを『袋吊り雫酒』や『斗瓶囲い』などといいます。蔵元はこうやって日本酒のいちばんおいしいところを抽出して、斗瓶で熟成させ、一合瓶に詰め替えて全国の鑑評会に出品します。そして、余った分をお願いして、当店が仕入れさせてもらっています」と、椎名氏は酒へのこだわりを話す。これらは市場には出回らない超希少酒ゆえに値段が付けにくく、時価で提供。そのあたりの事情を日本酒通のリピーターは心得ており、「入手困難な銘柄を味わいたい」という好奇心も相まって、値段を気にせずに注文する人が多い。
【客単価UP!】「ここでしか飲めない」日本酒を数多くラインナップ
【客単価UP!】希少銘柄、人気銘柄、地元銘柄などの充実飲み比べ
「客単価は意識しますが、何より日本酒のおいしさを知ってほしいし、日本酒を敬遠しがちな若い人たちにも飲んでもらいたい」と椎名氏。今後は外国人と一緒に蔵を巡り、その後に店で飲んでもらうなど、日本酒の魅力をより広く、積極的に発信するつもりだ。
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注文したくなる!おすすめドリンク~飲む楽しさを提案して、売上アップ~
メニューと価格を刷新! アピール内容を明確にし、空間の特別感もプラスに
沖縄県那覇市久茂地2-12-24
https://r.gnavi.co.jp/f603800/
厳選食材を客席でおすすめ。好みの調理法で提供
那覇の繁華街・久茂地に店を構える「もぅあしびー」。代表の新川唯和氏は「現在はコロナ渦でお客様の数が減っていますが、ここ3年で、メニュー構成や価格・提供方法などを変えてきた結果、客単価は上昇しました。新たなチャレンジをした成果です」と話す。
【客単価UP!】自慢の食材は、見せる!説明する!
【客単価UP!】ターゲット別にメニューブックをリニューアル
店は2011年に「地元の人が行く沖縄料理屋」をコンセプトにオープン。方向性が変わったのは2017年3月、寿司職人で現専務取締役の八幡昌樹氏の入社がきっかけだった。当時のメニューを見て「このクオリティでこの価格はもったいない」と感じた八幡氏は、新川氏にメニュー刷新と価格の見直しを提案。「それまで、沖縄料理と“居酒屋料理”が同居していたメニューブックは、沖縄料理に絞ったものを当時客層の約7割を占めていた観光客向けに製作し直し、価値に見合った価格に変えました」(八幡氏)。これが成功し、客単価は3000円台前半から4000円近くに上昇した。
【客単価UP!】熟練料理人による手間暇かけた料理
一方で、八幡氏の技術を生かし、地元客向けには魚を中心とした新メニューを多数開発。加えて、新鮮な野菜などと共に鮮魚をケースに入れて来店客に見せ、好きな調理法を選んでもらうスタイルにした。「魚を一尾丸ごと買ってもらう形で、一尾980円からに設定しました」(八幡氏)。八幡氏が率先して客席で魚をすすめることで、他のスタッフの接客スキルも向上。こうした戦略で客層が変わり、地元客が半数を超えてきたと感じた新川氏は、会席料理の導入を模索。「2019年5月の創業8周年祭で提供した寿司会席が好評だったので、料理人と向き合えるカウンター席限定の寿司会席コースを作りました」(新川氏)。また、和食の料理人が2019年末に入社したことで、さらなる本格的な会席料理の提供が可能になり、おすすめ料理も増えていった。そんな最中、新型コロナの影響が拡大。売上が厳しくなる中、カウンター席の性格を他の席とさらに分けようと考えた。「1店舗の中に、居酒屋と本格的な和食の店があるイメージです」と新川氏。4・5月は休業を余儀なくされたが、6月からの営業再開時には、カウンター周りを割烹風にリニューアルし、6000円、8000円、1万円の3コースを考案。接待・デート・記念日などの利用があり、ドリンクを合わせると客単価は8000円~1万円となり、店全体の客単価は5000円を超えた。
「料理がおいしいのは当たり前。そこに、BGM、店内の温度、スタッフの接客など総合的な空間づくりが伴ってこそ、高い単価をいただけるのではないかと思います」と八幡氏。「うまく方向性を変えられたことで、観光のお客様だけに頼らない店づくりができました」(新川氏)と、効果を実感している。
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