更新日:2022.9.8
目次
・“人”を売りにした店づくりで外食の楽しさと価値を伝える
「赤羽大衆肉ビストロLit」(東京・赤羽)
・魅力的なフェアを企画。ブログやSNSで発信し、新たな層の集客に成功
「カモシヤ」(北海道・札幌)
・動画やSNSで“店の入口”を増やし、価値を伝えて利益率アップに成功
「水ノ雅 KYOTO FUSHIMI」(京都・伏見)
コロナ禍が発生してから、飲食店にとって厳しい状況が続いている。しかし、そんな中でもすでに客足が回復し、未来を見据えている店は確実に存在する。第1回は、そんな店の取り組みを紹介。ストーリーのあるメニューや来店客との接点を最大化する取り組みで外食の楽しさと価値を伝えている東京のビストロ、魅力的なフェアをブログやSNSで発信し、新たな層の集客に成功した北海道の居酒屋、非日常の空間を売りに、多くの記念日利用を獲得するなどして、利益率アップにつなげた京都のフレンチの取り組みを取り上げる。
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“人”を売りにした店づくりで外食の楽しさと価値を伝える
東京都北区赤羽1-40-6
https://r.gnavi.co.jp/3krrpfdj0000/
来店客との接点を最大化。多数のファンに支えられる
2018年11月、東京・JR赤羽駅から徒歩3分の場所にオープンした「赤羽大衆肉ビストロLit」。“せんべろ”の聖地としてにぎわう赤羽一番街商店街からすぐの立地で、「最初は和食店を考えていましたが、周辺の飲食店と差別化したいと考え、肉とワインが売りのバルを出店しました」と代表の高野翔氏は話す。現在の客単価は昼が1600円、夜は4000~5000円とエリア平均より高めだが、狙い通り女性とカップルを中心に順調に集客し、常連客には男性も少なくない。
4月は緊急事態宣言の影響で売上が激減したが、「A4黒毛和牛の炙りユッケ重」(1540円)など、人気料理を入れた弁当などを販売し、テイクアウトとデリバリーが予想以上にヒット。また、自宅での記念日需要を見据え、肉料理やパスタなどをセットにした「ホームパーティーコース」(1980円~)も用意した。「外出できないからこそ、特別感のある料理が喜ばれると思いました。スタッフで手分けし、約3000~4000枚のチラシを近隣にポスティング。デリバリーも自分たちで行いました」と高野氏。商品にお礼のメッセージを添えるなど、細やかな心遣いも利用客の心をつかみ、、宣言解除後の来店を促進。早期の客足回復に結び付き、売上は6月時点でほぼ回復。8月からは昨対100%を超えた。
「こういう時だからこそ、来てくれたお客様に家では味わえない体験をどれだけ提供できるかが大事。料理がおいしいのは当たり前で、そこに何を付け足せるかが外食の価値だと思います」と高野氏。そんな考えのもと、“人”を売りにした店づくりで、来店客との接点を増やす。例えばメニューには、地元の人気精肉店から仕入れる肉を使った「牛肉のステーキ2種盛り合わせ」(1782円)や、栄養素が失われないよう、食べる直前に卓上でカットする「まるまるロメインシーザーサラダ」(748円)など、食材や食べ方について説明する料理をラインナップ。必然的に会話が生まれ、スタッフと店を印象付ける。そのほか、記念日のお祝いは店全体を巻き込んで盛り上げるなど、期待を超える楽しさを提供し、ファンを獲得している。「笑顔、挨拶(あいさつ)、言葉、身だしなみ、感謝、他喜(たき―他者を喜ばせる力)、運感(うんかん―運を感じる力)。この『7つの人間力』を大切に、お客様に楽しんでもらうことが仕事だとスタッフに伝えています」と高野氏は話す。
【POINT】ストーリーのあるメニュー
既存のファンに支えられる一方で新規客獲得も重視。Instagramを活用し、料理のほか、来店客の様子を写した画像などを3日に1回の頻度でアップする。「店内の楽しい雰囲気を伝えられることに加え、撮影を了承してくれることが、お客様が店を好きになってくれたという指標にもなる」と高野氏。
【POINT】“楽しんでもらう”ことを徹底するスタッフ
忘年会に向けては、4名以下のグループ用の特別コースや時短コースも計画中。現在堅調な売上は、「お客様を喜ばせることを、真摯(しんし)に積み重ねた3カ月前の行動の結果」(高野氏)であり、今後もブレることなく取り組み続け、さらなる成長につなげていく考えだ。
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魅力的なフェアを企画。ブログやSNSで発信し、新たな層の集客に成功
北海道札幌市中央区大通西11-4-174 53山京ビル1F
https://r.gnavi.co.jp/r24k02tp0000/
新規客とリピーター、対象を分けたフェアを実施
北海道・地下鉄西11丁目駅から徒歩1分。大通りから一本入った閑静な路地にある居酒屋「カモシヤ」は、常時70種以上の銘柄をそろえる日本酒が売りで、周辺で働く40代のアッパーなビジネス層を中心に集客する。平日は男性、週末は女性グループが多く、2軒目として利用する人も少なくない。
今春、緊急事態宣言中の約2カ月間は休業し、解除後の6月より営業を再開。それと同時に、毎週土曜日と祝日の営業時間を17~24時から15~22時に変更して、“昼飲み営業”を開始した。「2次会需要が減少しているので、その分、早い時間の集客に力を入れようと考えました。営業時間を前倒して、15~17時限定の企画を月替わり・日替わりで開催しています」と代表の伊藤貴之氏。例えば9月の昼飲み企画では、15~17時の間は日本酒全銘柄のほか、生ビール、ワイン各種を半額で提供しつつ、グランドメニューにはない各500円の特別料理を6品用意した。気軽に足を運ぶきっかけとなる施策を打ち出すことで新たな顧客を獲得し、9月の売上は昨対比98%まで回復したという。
【POINT】こだわりの日本酒でファンを獲得
また、9月の連休にはワイン酵母で醸した希少な日本酒を特別に提供するなど、常連の日本酒ファンに向けたフェアも開催。「昼飲みの企画やフェアは、従来の客層とターゲットが異なります。そのため、新規客とリピーター、それぞれに向けて多様な施策を打ち出し、飽きられない店づくりを心がけています」(伊藤氏)と、その狙いを語る。加えて、日本酒2杯と料理2種をセットで提供する「マリアージュセット」(1280円)も定期的に内容を変え、リピーターに好評だ。
【POINT】何度も来たくなるイベントやフェア
フェアやイベントの情報は、ブログやそれに連携するFacebook、Instagramで発信。「多い時は姉妹店と合わせて1日3~4回ブログを更新。内容が決まる前に日程だけ告知するなど、細かく情報を上げ続けることで期待感を高めています」と伊藤氏。戦略的な情報発信により、昼飲み限定のフェアなどは開店からすぐに満席になるなど、周知に成功している。
売りの日本酒は道内の9つの酒屋から仕入れ、全国から多彩な銘柄をそろえる。「日本酒ファンを増やしたい」(伊藤氏)という思いから、蔵元と一緒にイベントも開催。2020年10月1日からの9周年フェアでは、秋田の蔵元「大納川(だいながわ)」と作ったオリジナルのスパークリング純米吟醸を、2日間限定で1杯サービス。さらに、同蔵元の6銘柄を390円で提供して、好評を博した。
10月中には忘年会コースを打ち出す予定で、「2020年は鍋のない構成を考えていますが、希望するお客様には提供できるよう、鍋の開発も同時に進めています」と伊藤氏。また、通常の宴会コースにも付く飲み放題には、道内産の日本酒全銘柄に加え、道外産の日本酒も数種含んでおり(コースの価格によって銘柄数は変わる)、日本酒好きに喜ばれている。「いつ行っても何かやっている店と思ってもらえるよう、常に違うことを仕かけていきたい」と話す伊藤氏。今後もさらなるファン作りに努めていく。
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多様化する店のスタイル&空間・空き時間活用法 異業種とのハイブリッド、ゴーストレストラン、間借り・間貸しetc.――
動画やSNSで“店の入口”を増やし、価値を伝えて利益率アップに成功
京都府京都市伏見区京町1-244
https://r.gnavi.co.jp/r6a10pbw0000/
非日常の空間を売りに、多くの記念日利用を獲得
2019年4月にオープンした「水ノ雅 KYOTO FUSHIMI」は、近鉄桃山御陵前駅から徒歩5分の場所に立地。“京フレンチ”をテーマに、フランスのリヨンで修業したシェフの独創的なフランス料理と、京都・伏見の蔵元、齊藤酒造の代表銘柄「英勲」をはじめとする日本酒やワインとのマリアージュを提案する。食に意識の高い人をターゲットに、昼は40~60代の女性、夜は接待利用のビジネス層を中心に集客。また、齊藤酒造創業者の元邸宅を改装した空間は、日本庭園を望むテーブル席や個室を備え、築150年の町家で過ごす非日常感が記念日の利用につながっており、連日予約が入る盛況ぶり。カップルやファミリーを多数獲得し、ホールケーキと乾杯のスパークリングワインが付くディナーコースも8000円から用意している。
「“高級”ではなく“上質”を目指し、京都や伏見という土地のストーリーに沿った料理と、それを伝えるサービスを心がけています」と代表の青山聡尚氏。野菜は全て地元の契約農家から仕入れ、ドレッシングには酒粕を使用。コーヒーも伏見の「マルトシ珈琲」に独自にブレンドしてもらったものを提供する。コロナの影響で3月からは店内の客席を減らし、テイクアウト弁当(1000円~)も販売。この弁当で店を知って来店する人も多く、人気だったカレーは現在、コースのシメの「一口カレー」としても好評だ。
本格的に店内営業を再開する前には、損益分岐点の見直しに着手。ただし、食材など材料費は下げす、営業体制とシフトを調整し、人件費の削減に成功した。「アルバイトを含むスタッフ全員と面談し、しっかりコミュニケーションを取って理解を得ることができました」(青山氏)。同時に、より価値のある料理を打ち出しながら、ランチ、ディナー共にコース価格を上げた。それにも関わらず来店客の満足度は高く、コース価格にプラスの料金がかかるメインを選ぶ人も多い。「その料理の価値をしっかり伝えることができれば、価格が高くてもお客様の満足度は上がると実感しました」と青山氏。客数がまだ以前ほどには戻らない中で、客単価と利益率アップを実現している。
【POINT】客単価アップを実現するコース料理
一方、販促面ではSNSを積極的に活用。Instagramには料理や食材の写真のほか、来店時をイメージできる動画などを、内容に合わせたBGMを付けて投稿する。また、テイクアウト弁当の掛け紙にはQRコードを記載して、店のYouTubeチャンネルに誘導。「SNSや動画は“店の入口”を増やすのに有効です。写真や動画で店の雰囲気を伝えることができ、ブランディングにもつながると思います」と青山氏。発信頻度より内容を重視し、動画の再生回数も細かくチェックして、販促に生かしているという。
【POINT】店への入口を増やす仕かけ
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