“人”を売りにした店づくりで外食の楽しさと価値を伝える
赤羽大衆肉ビストロLit[東京・赤羽]
来店客との接点を最大化。多数のファンに支えられる
2018年11月、東京・JR赤羽駅から徒歩3分の場所にオープンした「赤羽大衆肉ビストロLit」。“せんべろ”の聖地としてにぎわう赤羽一番街商店街からすぐの立地で、「最初は和食店を考えていましたが、周辺の飲食店と差別化したいと考え、肉とワインが売りのバルを出店しました」と代表の高野翔氏は話す。現在の客単価は昼が1600円、夜は4000~5000円とエリア平均より高めだが、狙い通り女性とカップルを中心に順調に集客し、常連客には男性も少なくない。
4月は緊急事態宣言の影響で売上が激減したが、「A4黒毛和牛の炙りユッケ重」(1540円)など、人気料理を入れた弁当などを販売し、テイクアウトとデリバリーが予想以上にヒット。また、自宅での記念日需要を見据え、肉料理やパスタなどをセットにした「ホームパーティーコース」(1980円~)も用意した。「外出できないからこそ、特別感のある料理が喜ばれると思いました。スタッフで手分けし、約3000~4000枚のチラシを近隣にポスティング。デリバリーも自分たちで行いました」と高野氏。商品にお礼のメッセージを添えるなど、細やかな心遣いも利用客の心をつかみ、、宣言解除後の来店を促進。早期の客足回復に結び付き、売上は6月時点でほぼ回復。8月からは昨対100%を超えた。
「こういう時だからこそ、来てくれたお客様に家では味わえない体験をどれだけ提供できるかが大事。料理がおいしいのは当たり前で、そこに何を付け足せるかが外食の価値だと思います」と高野氏。そんな考えのもと、“人”を売りにした店づくりで、来店客との接点を増やす。例えばメニューには、地元の人気精肉店から仕入れる肉を使った「牛肉のステーキ2種盛り合わせ」(1782円)や、栄養素が失われないよう、食べる直前に卓上でカットする「まるまるロメインシーザーサラダ」(748円)など、食材や食べ方について説明する料理をラインナップ。必然的に会話が生まれ、スタッフと店を印象付ける。そのほか、記念日のお祝いは店全体を巻き込んで盛り上げるなど、期待を超える楽しさを提供し、ファンを獲得している。「笑顔、挨拶(あいさつ)、言葉、身だしなみ、感謝、他喜(たき―他者を喜ばせる力)、運感(うんかん―運を感じる力)。この『7つの人間力』を大切に、お客様に楽しんでもらうことが仕事だとスタッフに伝えています」と高野氏は話す。
【POINT】ストーリーのあるメニュー
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まるまるロメインシーザーサラダ 748円/栄養素を逃さないよう来店客の目の前でカット。こうした料理のストーリーを伝えることで店を印象付けている -
牛肉のステーキ2種盛り合わせ 1782円/低温調理で火入れしたタンとハラミの2種盛り。提供 時には仕入れ先や低温調理法の効果などを説明する
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メルティー 1,100円/タマゴ型のチョコドームに熱々に溶かしたソースをかけると、中からケーキが登場し、思わず歓声が上がる -
タマゴ型のチョコドームの周りには、飴細工で鳥の巣をイメージ。記念日の演出には欠かせないサプライズデザートだ
既存のファンに支えられる一方で新規客獲得も重視。Instagramを活用し、料理のほか、来店客の様子を写した画像などを3日に1回の頻度でアップする。「店内の楽しい雰囲気を伝えられることに加え、撮影を了承してくれることが、お客様が店を好きになってくれたという指標にもなる」と高野氏。
【POINT】“楽しんでもらう”ことを徹底するスタッフ
忘年会に向けては、4名以下のグループ用の特別コースや時短コースも計画中。現在堅調な売上は、「お客様を喜ばせることを、真摯(しんし)に積み重ねた3カ月前の行動の結果」(高野氏)であり、今後もブレることなく取り組み続け、さらなる成長につなげていく考えだ。
東京都北区赤羽1-40-6
https://r.gnavi.co.jp/3krrpfdj0000/