更新日:2024.9.20
年末年始は、家族や親しい友人と自宅で過ごす方も多いと思います。大掃除や年始の挨拶などで何かと時間をとられる時期、自炊ではなく飲食店のテイクアウトやお取り寄せを利用される方もやはり多いのではないでしょうか。そこで、ハレの日などで選ばれているテイクアウトやECを手掛けている飲食店様に、商品や販売の工夫、年末年始に向けた取り組みなどを取材しました。
※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
目次
1.
テイクアウトでも「出来立て」「冷めてもおいしく」にこだわり、記念日利用を獲得
・「GRILL & オーガニックレストラン Bio食堂」(神奈川・秦野)
・ポスティングや営業なども行い、事業の柱として成長
2.
和のエッセンスを凝縮した弁当で人気に。おせちも手掛け、顧客とのつながりを強める
・「アノソラノヒガシ」(滋賀・草津)
・急速冷却機を導入し、安全性を担保しながら作業効率アップ
3.
特別感のあるコース料理をECで販売。記念日利用だけでなく、贈答品としても好評
・「Casita」(東京・青山)
・手書きのカードを添えて、おもてなしの心も表現
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1.テイクアウトでも「出来立て」「冷めてもおいしく」にこだわり、記念日利用を獲得
神奈川県秦野市尾尻932-3
https://r.gnavi.co.jp/37ry31gm0000/
ポスティングや営業なども行い、事業の柱として成長
2013年、神奈川・秦野駅前にオープンした「Bio食堂」。「オーガニックをもっと身近に」をコンセプトに、オーガニック食材を使った料理をリーズナブルに提供しています。「秦野は都心から電車で約1時間という利便性の高い土地である上に、自然も豊か。有機栽培を行う若い世代の生産者が多く、鮮度の良い食材を直接仕入れています」とオーナーシェフの米山亮さんは話されます。客層は主に地元の方が中心で、主婦やファミリー、シニアのほか、周辺に勤務するビジネス層も来店するそうです。
オードブルや弁当、一品料理のテイクアウトを開始したのは2020年3月のこと。「出来立てを食べてほしい」と、ピックアップの時間に合わせて調理することを原則としています。一番人気の「Bioオードブル」(2~3人盛り5,400円、4~5人盛り8,640円)は、テイクアウト開始当初から提供しているそうです。人気メニューや冷めてもおいしく食べられる料理を盛り込み、全9品で構成されています。「テイクアウトは店内営業と違い、料理だけで評価いただくことになるため、お客様をがっかりさせないよう心掛けています。温かいものは温かく、冷たいものは冷たくお渡ししたいため、容器を分けて提供しています」と米山さん。温かい料理でまとまっているので、電子レンジで温め直しやすいのが購入者にも好評だとか。記念日やハレの日での利用が中心で、月に30個程度を販売しており、企業や学校などから、大口の注文が入ることもあるそうです。
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告知はSNSやWeb媒体、チラシで行っていて、SNSでは主に新商品をアピールしています。チラシはスタッフがポスティングを行い、市内の学校や病院にも営業して注文を獲得しているとか。地道な宣伝の効果もあり、現在、テイクアウトは全体の売上の30%を占めているとのこと。「テイクアウトのみ利用するお客様やリピーターも多く、事業の柱として成長しています」と米山さんは笑顔を見せながら語ってくれました。
2021年11月からは店内営業で宴会シーズンに合わせて銘々盛りのコースを開始し、テイクアウトでも同様に1品ずつ仕切られた容器に1名分のオードブルを入れ、メイン料理とセットにして販売することに。「コロナ禍以前のように飲食店で宴会を行う企業は多くないかもしれませんが、企業が社内で食事会を行うケースはありそうだと考えています。配達にも対応していますので、そういったニーズも獲得したいです」(米山さん)。また「Bioクリスマスオードブル」も12月24日、25日限定で販売するそうです。
今後も新たな商品を追加してテイクアウトを続けるとともに、「オーガニックを誰でも食べられるものに」という思いを広げるべく、新規出店も見据えています。
2.和のエッセンスを凝縮した弁当で人気に。おせちも手掛け、顧客とのつながりを強める
滋賀県草津市大路1-16-8 ラポート大路1F
https://r.gnavi.co.jp/a9p4ugux0000/
急速冷却機を導入し、安全性を担保しながら作業効率アップ
滋賀・草津駅東口から徒歩4分、駅前の喧騒から少し離れた静かな通り沿いに佇む「アノソラノヒガシ」は、2013年にオープンした和食店。本格会席を肩肘張らずに楽しめることができ、ディナーではビジネス層、ランチでは周辺に住む女性でにぎわうお店です。
店主の細江史人さんは、10年以上前から当時営業していた店で主に製薬会社向けに弁当の販売を手掛けており、2020年4月から一般にも販売を開始しました。旬の料理をふんだんに盛り込んだ弁当が人気を呼んでいます。ラインナップは「和彩弁当」(2,000円)、「ステーキ弁当」(3,000円)、「贅沢三昧弁当」(4,000円)の3種類。ご飯はすべて土鍋で炊き上げたものを使っています。「和彩弁当」には、煮物、焼き物などを入れ、和食のエッセンスが凝縮されています。「ステーキ弁当」には、黒毛和牛A5のステーキを入れてごちそう感を打ち出すとともに、懐石の八寸を意識した料理を盛り込みました。「贅沢三昧弁当」にはすき焼きを入れ、シニアでも食べやすいように配慮し、容器にはおせちのお重を使い、ぜいたく感のある装いに仕上がっています。人気が高いのは「和彩弁当」「ステーキ弁当」で、記念日のほか会社の宴会、イベントの代わりの食事などとして注文が入るそうです。
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お弁当を調理するにあたり、「店内では起こりえないトラブルも想定して細心の注意を払っています」と細江さんは言います。2021年春には食中毒を防止するため、急速冷却機を導入しました。「食中毒のリスクを低減させるには、早く温度を下げることがとても重要。急速冷却機を使うことで安全性が増し、加熱調理したものを冷却してすぐに詰められるため、作業効率も上がりました」(細江さん)。
2008年から続けているおせち(27,000円~)の販売も好調だそうです。家族みんなで食べることを意識し、和洋折衷のおせちに仕上げています。さらに急速冷却機の導入で作業効率が上がったことから、従来の二段に加えて三段(37,000円)のおせちも販売可能になりました。「DMやチラシでご案内し、毎年80個ほど販売しています」と細江さん。リピーター中心ですが、最近では新規客も増え、2021年から「BASE」でネットショップを立ち上げて販売を始めたところ、すぐに数件の予約が入ったそうです。
長年続けてきた弁当やおせちの販売が重要な収益源の1つとなっています。細江さんは「今まで培ったノウハウや資産をうまく活用しながら事業を展開し、スタッフが長く働ける環境を作っていきたいです」と語ってくれました。
3.特別感のあるコース料理をECで販売。記念日利用だけでなく、贈答品としても好評
東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山3F
https://r.gnavi.co.jp/3esnch1k0000/
手書きのカードを添えて、おもてなしの心も表現
株式会社サニーテーブルが運営するCasitaグループは、東京の青山、銀座、池袋に展開するイタリアンレストランです。2001年の創業以来、高いホスピタリティーで記念日の利用やビジネス層の接待を多く獲得しています。
コロナ禍を機に以前から構想を練っていたEC事業に本格参入し、2020年4月にECサイトをオープンしました。販売するのはCasita特製のスイーツやカレー、コース料理などです。「Casitaの味や雰囲気をご自宅でもそのまま感じてもらいたいと考えて始めました」と語るのは、ブライダルマネージャーの酒井裕子さん。料理は冷凍で配送し、自然解凍や電子レンジや湯せんなどで調理できるよう工夫することで利用者の手間を抑えつつ、レストランの味の再現性を追求しています。シェフの伊藤洋平さんは、「レストランと違い、私たちの目が届かないところでお召し上がりになるものなので、試作を繰り返しながら配送テストなども行い、改善を重ねました」と語ります。
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店舗ではスタッフが書いたメッセージカードをテーブルに置いて出迎えていることもあり、EC販売の際にもメッセージカードを添えて商品を送付しています。「注文が入ると必ず顧客情報や来店履歴と照らし合わせ、例えば誕生日に近ければお祝いの言葉を書いて同封しています。当店が大切にしているおもてなしの心が伝われば」と酒井さんは語ります。
2020年11月末には、クリスマスや年末年始を家で過ごす人が多いと予想し、家でもフルコースが楽しめる「Casita Dinner Box」(2人用 16,500円)を販売したところ、約150件の注文が入りました。「コロナの感染リスクを考えると、今はレストランにはなかなか行けないというお客様から反響がありました」(酒井さん)。さらに、2021年3月からは3〜4人用の「Casita Italian Home Party Box」(19,440円)、5月には気軽にコース料理が楽しめる「Casita Italian Box」(2人用10,778円)を販売。「Italian Box」はカップルやファミリーを中心に、「Home Party Box」は4人以上のホームパーティーで購入されているほか、結婚・昇進祝いなどの贈答品としても注文があり、スイーツやワインと組み合わせて購入するお客様もいるそうです。
ECサイトの案内は顧客のメーリングリストを活用して配信し、来店したことのある人からの注文が8割を占めています。また、他社のECサイトでも販売を行い、そこから新規の顧客も獲得しているそうです。
2021年の年末年始は「Casita X'mas & New Year Dinner Box 2022」(2人用21,384円)を販売。特別感を演出するためキャビアやトリュフなどの高級食材を使用し、メインには「オーストラリア産フィレ肉のステーキ」を組み込みました。「ステーキは電子レンジで温めるだけでレストランと同じ味わいになるよう、試行錯誤しました」と伊藤さん。酒井さんは「初年度よりも告知や動き出しを早めて販売につなげたい」と話してくれました。
今後は、手軽に調理できるパスタソースやデザートの商品ラインナップを充実させていく方針だそうです。